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魔弦の使徒 目指せ一流、魔族少女の冒険者ライフ!  作者: ゆん。
第四章 ケモリア防衛作戦!

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60/91

それぞれの戦い!合流、そして突入準備

ついに今回で60話目になります。楽しんで頂ければ嬉しく思います。

「皆さん急ぎましょう!早くしないと街が危ない!」


「分かってるさ!だがこっちの方が近い!道は俺達に任せてくれ!」


「そうよ!ここの森は私達の育った森!私達の庭のような物よ!」


 皆が各地で戦っている中、スノウは戦士達と一緒にケモリアの街に向かっている。戦士達は慣れた足取りで森を駆け抜け、スノウもそれに続いていく。


「……この感じ、敵の気配だ!一度しゃがめ!」


「は、はい!」



 三人は草木の生い茂る場所に体を伏せ、周りの様子を窺う。すると側から騎士達の声が聞こえてきた。








「おい!早くしろ!向こうの方が手間取ってるようだ!獣人が暴れまくっているらしいぞ!」


「クソ!何で俺達が反対に行かなきゃならないんだ!足止めを食うわけには行かないんだぞ!」


 そう言って走っていく騎士達。その奥から、金属のぶつかる音や風の音が三人の耳に流れて来た。









「獣人……ナッツさん!?どうしよう、助けに行かないと!」


「待て!今行ったらケモリアの街に間に合わなくなる!」


「でもこのままでは!」


 焦りながら騎士達を追おうとするスノウ。それを見た女性の戦士が彼女の肩を押さえて止める。



「スノウ!気持ちは分かるけど、向こうには鬼の人も一緒に居るはずでしょ!それに……ナッツは弱い子じゃ無い。私達と同じ、ケモリアの戦士だから!仲間を信頼して、今出来ることをやるのよ!」


「皆さん……。……そうか、そうだよね。今、私がやるべき事は!」



 スノウは大きく深呼吸し、戦士達の方へ向き直った。


「ケモリアの街へ!道案内、お願いします!」


「よっしゃ任せとけ!ここを通れば早く着く!」



 三人は森の中を抜け、敵を避けながら最短ルートでケモリアへと走って行った。













 ◇◇◇


「お頭急げ!さっきの音は間違い無く攻撃の音だ!ヒューマニアの奴らが来たんだ!」


「分かっています!首輪の件、きっちりとお返ししてやりましょう!」


「いたぞ!ヒューマニアの騎士だ!」


「全員でかかれ!一人も逃がすな!」



「「「「ウォーーーー!」」」」



 各地での戦いの中、リン率いるゴブリンの戦士達の士気は高まっていた。頭であるリンの一件ももちろんあるが、今はそれだけではない。事情を理解し、和解の道を選んでくれたケモリアの人々への恩返しをすべく、彼女達は街に向かっていた。



「覚悟しろ!ヒューマニアの騎士め!」


「よくもお頭を酷い目に合わせたな!全員倒してやるぞ!」


「な、何だ貴様らは!?ギャァァァァァァ!?」


 居合わせた騎士に向かって棍棒やナイフを突き立て、必死に攻撃する。頑丈な鎧に身を包む騎士も、不意打ちでは対応できず、その場に倒れ込んだ。


「よし!このまま騎士を倒しながら、街まで帰還します!皆の者、進めー!」


「「「オーーーーーー!!」」」


 ゴブリン達は一直線にケモリアに進む。その過程で居合わせた騎士達を一人残らず薙ぎ倒し、怒涛の勢いのまま街の門に向かっていった。













 ◇◇◇



 スノウ達は無事にケモリアの門に到着した。戦士達の索敵と道案内のお陰で、ほとんど消耗すること無く辿り着けたのである。



「よし!敵を避けてここまで来れたぞ!にしても、敵の数が多かったな。それにこの感じ、さっきまでヤバい奴らが戦っていたのか……?」


「そうね。スゴいピリピリした感じ。この分だと、街の中も危ないかもしれないわ。スノウ、追いつけてる?」


「問題ありません!早く入りましょう!」


「だが、門を開けなくちゃならない。力ずくで登ってもいいが……。っておい!?何だこれ!?」


 門を開けようと城壁に近づく三人。すると城壁に巨大な穴が空いているのが分かった。丸く空いた大穴は、一度に何人も入れる程の大きさになっている。それを見た三人は顔が真っ青になった。






「大穴が開いてるじゃない!?敵がもう中にいるのなら、これは危険な賭けになるわよ!」


「……いや、そんな事言ってる場合じゃない!中の皆が危ないんだ!俺は行くぞ!」



 三人が突入を考えていると、森の奥からガサガサと、何かがこちらに近づいて来る音がした。


「まさか敵か?ここまで上手く避けたつもりだったが!」


「仕方ないわよ!こんな状態で完璧な索敵は出来ないわ!」


「お二人は中をお願いします!ここは私に任せて下さい!」



 スノウが雷鳴剣を構えて、敵を待ち受ける。やがてそこから勢い良く、誰かが飛び出してきた。


















「皆さん!無事でしたか!」


「その声は、リンさんですか!」


「スノウさん、ケモリアの皆さんも!良かった!」


 飛び出してきたのはリンとゴブリンの集団である。ケモリアへ帰還すべく、ひたすら敵を倒しながら直進してきたようだった。





「皆さん、街の中には入れないのですか?」


「いや、入れない事は無いが危なすぎる。ここに来るまでにあれだけの敵が居るなら、中も危ないと考えるのが自然だろう。」


 ケモリアの戦士達は中を覗き、耳を澄ます。すると中から沢山の悲鳴が聞こえてきた。それを聞き、戦士は拳を強く握りしめる。


「だがそんな事言ってられない!ここは俺達の居場所なんだ!早く入らないと仲間が!」


「でも、迂闊に入れば私達も危ないわよ!もし私達がやられたら、誰が皆を助けるのよ!?」


「ストップ!ちょっと落ち着きましょう!はい!深呼吸!」


 スノウの提案でここに居る皆が大きく息を吸い、吐いた。だが、状況が状況であり、落ち着ける状態では無い。それは彼女も分かっていた。


「そうだ!お二人が索敵すればどうですか?敵の大まかな位置って分かりませんか?」


「それも手だが、焦ってる今の俺達じゃまともに出来ないと思う。下手を打てば全滅だし、あまりにも不確定すぎる。」


「そうですか……。」







「あ、あのー。」


 皆が悩んでいると、リンが自信なさげにそっと手を上げた。


「どうした?いい方法があるのか?」


「いえ、その……これだけ人数がいれば、無理矢理突入しても良いのでは?」


「ちょっと正気なの!?もしも全滅したらどうするのよ!?」


「で、ですから、先に私達の仲間が周りを偵察します。積極的に制圧しようとしてるなら、狙うは街の中心。外側は手薄になるはず。それを確認できれば、皆で一気に押しこんで……!」





 それを聞いたケモリアの戦士は少し考え、すぐにリンの下に駆け寄った。


「確かに、それなら行けるかもしれない!頼んでいいか?まず中を探って、突入のタイミングを教えてくれ!」


「分かりました!それでは、お願いします!」


「おう!任せてくれ!」



 偵察を担当する二人のゴブリン。その手に棍棒を持ち、早速中の様子を探るべく、大穴の側に近寄っていく。



「じゃあ行ってくるぞ!皆は何時でも入れるようにしておけよ!」


「ああ!よろしく頼む!」





 そしてゴブリン達はそっと大穴から街へ突入するのだった。



「皆待ってろよ!必ず成功させて、助けに行くからな!」

今回も読んで頂き、ありがとうございます。

続きが気になる、おもしろかったと感じて頂ければ幸いです。

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