それぞれの戦い!渾身の一打!
皆が各地で戦っている中、オルガとナッツはケモリアへ向かう為、必死に走っていた。
「ナッツ君、一気に突っ込むぞ!」
「うん!僕に任せてよ!」
オルガとナッツは二人で固まり、騎士の集団を突破するべく木々の間を走る。それを前方、後方から騎士が追跡する。
「ここで始末しろ!街へ行かせるな!」
「オラ!くたばりやがれ!」
騎士が槍を突き出しオルガを攻撃する。そこにナッツが割り込み、手斧で槍を受け止めた。
「今だよオルガ!」
「ああ!この一撃で仕留める!」
ナッツの後ろからオルガが飛び掛かり、襲った騎士の頭に拳を叩き込んだ。男は勢い良く吹き飛び、後ろにいた騎士も巻き込み倒れ込んだ。
「怯むな!銃部隊、構え!」
「「おー!」」
「じ、銃!?危ない!オルガこっちに!」
突っ込んでくる騎士とは別に、他の騎士は銃を構え、二人に狙いを定める。それに気づいたナッツはオルガの手を引っ張り、木の陰に隠れた。
「そんな所に隠れても無駄だ!蜂の巣にしてやる!」
「皆の者、撃て!」
騎士達が一斉に銃を撃ち出す。飛び出した魔力の弾丸は木々を貫き、たちまち倒してしまう。二人はその場にしゃがんで弾丸の雨を凌いでいた。
「オルガ、どうする?」
「そうだな……俺の新技を試すか!ナッツ君、俺はあそこの木に登るから、敵を引きつけておいてくれ!出来るか!?」
オルガは近くにあった一番高い木を指差し、ナッツに指示を出す。ナッツは驚いた顔をしていたがすぐに真剣な顔になり、その指示を引き受けた。
「う、うん。でも上手く出来るかな……ううん!迷ってる暇なんかない!やってみるよ!でも早くしてね!」
「よし、この銃撃が終わったら……行くぞ!」
「おい!弾切れだ!魔力を込め直せ!」
「今だよオルガ!早く行って!」
「任せておけ!そっちもしばらく頼むぞ!」
弾丸が止まったタイミングで、二人は同時に飛び出した。ナッツは敵陣に直接、オルガは一番高い木へそれぞれ走る。
「あの鬼、何を考えている!?先に始末しろ!」
「お前達の相手は僕だ!オルガの所へは行かせないぞ!」
ナッツは手斧を振りながら騎士達に立ち向かう。騎士達も剣や槍で攻撃するが、特訓の成果か、相手の動きを見てから素早く回避することが出来ている。
「すばしっこい奴め!さっさと捕まえろ!」
「お前なんかに捕まるもんか!こっちだこっち!」
「オラ!死ね!」
「痛え!何しやがるこの野郎!」
「お前が先だろうが!」
ナッツが動き回り、敵の同士討ちを狙っている間にオルガはひたすら木を登っていた。やがて頂上に辿り着き、下を見下ろすと、ナッツのお陰で敵は一箇所に固まっていた。
「よし!今行くから待っててくれよ!」
オルガはグローブを握り締め、魔力を腕に集め出した。その間にもナッツは敵陣を引っ掻き回している。
◇◇◇
「こっちこっち!そんなんじゃ捕まらないよ!」
「おい!そっち行ったぞ!早く捕まえろ!」
騎士達の攻撃を避けながら、頭を殴り、胴を蹴り、足を引っ掛ける。手斧の攻撃も利用し時間稼ぎを続けていた。
「どうだ!僕だってやれば出来るんだ!……ヒャッ!?」
「今だ!捕まえろ!」
攻撃を避ける際、足を滑らせ転んでしまった。すかさず騎士達が押し寄せ、ナッツは捕まってしまう。
「このガキ……随分暴れてくれたな!たっぷりお礼をしてやる!」
すると騎士はナッツを殴りつけ、倒れた所に蹴りを入れる。
「痛い!何だよ!先にやったのはそっちじゃないか!」
「黙れ獣人ごときが!人間様に逆らうんじゃねぇ!」
「ちょ、何をするのさ!?」
「人間様と獣人の差を教えてやるのさ!」
そう言って騎士はナッツを持ち上げ、木に叩きつけた。
「いだっ、痛いよ!……ううん!全然痛くない!お前達の攻撃なんか、ちっとも痛くないぞ!」
「コイツ!おい皆、コイツをやっちまえ!」
「「ああ!!」」
「う、うわあぁぁぁ!」
ナッツに集まり攻撃を加えていく騎士達。そこにいたのはもはや「騎士」ではなく、ならず者の集まりだった。
「き、効かないよ!僕達は強いんだ!お前達なんかに負けるもんか!」
「まだ言うか!それならこれはどうだ?」
すると騎士は唐突に剣を投げつけた。それはナッツの隣にある木に深々と突き刺さる。
「あ……な、何だよ!そんなの、怖くないぞ!」
ナッツは強がるが、彼の体は震えていた。
「さあ、これで最後だ!何か言い残す事はあるか?あれば聞いてやるぞ?」
周りの騎士達も見世物を見るかのように、ナッツのいる木の所に集まってきた。
「い、い……。」
「ん?命乞いか?残念だがそれは聞けないなー!」
「今だよオルガーーー!!ドカンとやっちゃえーーー!!」
「な、何!?」
◇◇◇
「行くぞナッツ君!ハァァァァァァァァァ!」
木に登っていたオルガが、ナッツの言葉を合図に飛び降りた。空中で加速をつけ、勢い良く騎士達の下に降りていく。
「う、上から来るぞ、気をつけろ!」
「かかってこい、串刺しにしてやるぜ!」
下では騎士達が武器を構えて待ち構える。対するオルガは拳を構え、標的を見据えて尚も落ち続ける。
「練習通りにやればいい!タイミングは地面にぶつかる瞬間だ!」
オルガは修行で得たタイミングに合わせ、着地の瞬間に魔力を全部解放する。
「シールド展開!砕き割れ!剛破拳!」
拳が地面に接する直前にシールドを展開。それは地面につくと同時に周囲を砕き、弾けた岩石の破片が騎士達に襲いかかる。
「ギャァァァ!よ、鎧を貫通したァァァ!」
「あ、あり得ない!何だその威力は!?」
次々と倒れる騎士達。破片が当たらなかった者も、地面が揺れて態勢を崩していた。そこにすかさずオルガが接近、片っ端から殴りつける。
「く、来るなへぶっ!?」
「お、おまちょ!?」
「ギャッ!?」
「さあ、お前達全員殴り飛ばしてやる!覚悟しろ!」
◇◇◇
少し経ち、この場に居た騎士達は全員のびていた。オルガとナッツはお互いにハイタッチをしながらこの状況を眺めていた。
「や、やったよ……。僕達にも出来たんだ!早く街に行かないと!」
「ああ!だが、今は休んだ方がいい。今行っても足手まといになるだけだ。……ありがとうな、ナッツ君!」
オルガは笑顔でナッツの頭をそっと撫でた。
「そうでしょそうでしょ!僕が一番活躍したんだ!オルガにだって負けてないよ!」
「だな!さあ、少し休もう。早く休んで皆の所へ向かうんだ!」
二人は木に寄りかかり、深呼吸をしながら体力の回復を急ぐのだった。
「ん?この銃は……?」
オルガは騎士達が倒れている中、一つの銃を見つけた。気のせいか、それはキラキラと輝き、まるで自分を持って行けと言っているように見えた。
「……戦利品か。一つ貰っておくかな。」
オルガはその銃を取り、ポケットにしまうのだった。
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