戦いの始まり!
ここは崖の上の拠点。ヒューマニアの騎士達が進軍の準備を終え、この場のリーダーであるジェイに報告をしていた。
「ジェイ様!進軍準備完了しました!」
「ご苦労!いよいよ攻めるぞ!お前達は直接ケモリアに行け!俺は後方から支援する!」
「え……前には出られないのですか?」
「当たり前だろう!指揮官が前に出てどうする!ここはお前達が進撃してこい!」
「は、はい。」
そして騎士達がケモリアに向かった後、ジェイは手元にアクセサリーを持って来た。御子から貰った乗り物のアクセサリー、彼はそれに魔力を込める。
「おおおおおお!」
大量に魔力を込めた後、アクセサリーを頭上に掲げると、それはキラキラと輝き出した。あまりの眩しさにジェイが目を閉じ、次に開けた時、そこには大型の乗り物が現れていた。堅牢な装甲を纏い、上には大砲が取り付けられている、巨大な乗り物である。
「こ、これが[戦車]!す、凄え!これさえあれば俺は無敵だ!早速使ってみるか!」
ジェイが天井によじ登ると、そこには入り口と思われる丸い蓋があった。そこを開けて中に入ると、モニターがセットされた椅子が備え付けられていた。
「よし!このモニターで対象を捕捉、操縦桿のボタンで発射、と。さあ始まるぞ!俺の復讐が!全員皆殺しにしてやるぜ!」
そして彼はケモリアの街に狙いを定め、操縦桿のボタンを押し込むのだった。
◇◇◇
「こちらは異常無しです!そちらはどうでしたか?」
スノウはケモリアの戦士達と周りを巡回中である。特に異常は無い為、休憩する為に彼らに声を掛けた。
「ええ、問題無いわ!そろそろ戻ろうかしら?」
「俺も帰るかな。一度昼休憩の時間にしたい。」
「分かりました!それでは他の方と交代して、一度お昼にしたいです!私もお腹が空きました!……ん?」
呑気に会話をしていると、大きな空を丸い物体が飛んでいるのが見えた。それは高度を落としつつ、自分達の頭上を超えていく。
「今の何かしら?何かの動物かしらね?」
「この辺は食べ物が豊富だからな。丸くなった鳥でも飛んでるんだろ。」
「にしては大きかったような。まあ、とにかく戻りましょう!」
そして皆がケモリアに帰還しようと足を進めた時……
ドガァァァァァァァァァン!
「……へ?」
「な、何だ今の音!?」
「さっきの鳥が飛んでいった先……ケモリアの街です!敵襲です!すぐに戻りましょう!」
「ああ!」
突然の爆音、それが響いてきたのはケモリアの街方面。スノウ達は慌ててケモリアに向かうのだった。
◇◇◇
「よし!この辺りは設置完了!いやー!中々疲れましたな!ちょっと休憩しますか!」
カゴの索敵装置を森の中に仕掛け、切り株に腰を掛けるレオン。街にはセインが居る事もあり、少しリラックスしている様子である。
「しかし、ヒューマニアの奴らには警戒を怠らぬようにしなければ。皆が居るから平気だとは思うが……。」
そう言いつつおにぎりを食べるレオン。呑気にしていられるのは皆への信頼の証でもあった。
「うむ!やはり旨い!これを食べたらまた始めますかな!」
おにぎりをガツガツと頬張り、水を飲んでいると……
ドガァァァァァァァァァン!
「な、何事だ!?この近くか!」
突然の爆音。音のした場所をすぐに探る。
「この方角……街の方か!仕掛けて来たのか……!よし!すぐに向かうぞ!」
カゴを背負い慌てて走り出したレオン。しかしその直後、今仕掛けたばかりの索敵装置から、光と音が辺りを照らし、鳴り響いた。
「こ、これは……まさか!?」
レオンが周りを見渡すと、いつの間にか騎士達が囲みを作り、彼に迫っていた。
「皆の者!撃てー!」
「おーーー!」
騎士達は一斉に銃を構え、発射の態勢に入る。それを見たレオンはカゴを放り投げ、背中の斧を持ち出し応戦の構えを取った。
「この獣王、不覚をとったか!だが、そんな物で私を倒せると思ったら大間違いだ!さあ、相手をしてやろう!」
レオンは雄叫びを上げ、騎士達に向かって走って行った。
◇◇◇
「オルガ!今の音って!」
「あれだけの爆音、仕掛けて来たと考えた方が良いな!戻るぞナッツ君!レオン達と応戦するんだ!」
周囲の確認をしていたナッツとオルガ。爆音が響いてきたのはケモリアの方角である。事態を確認する為、慌てて街へと向かっていた。
「で、でもどうして!?僕達ちゃんと見張りはしてたはずだよ!?」
「相手の方が一枚上手だったんだろう。ケモリアには門が2つあっただろう?」
「うん。」
「ゴブリン達が襲ったのは片方、ちょうど俺達が迎撃した方だ。それで、その依頼の理由……レオン達が手を離せないって言ってたのはどっちの門だ?」
「こっちの門だよ!だからここを優先したんだ!ゴブリン達が来たあっちの門は直したし、ちゃんと警戒してるし……あっ。」
ナッツは何かに気づいたのか、ハッとした顔でオルガを見ていた。
「まさか……。」
「ああ、向こうの門は一通り警戒してるから、今はこっちに重点を置いている。敵はこの門から仕掛けて来ると思ってたからな。まさか、ゴブリン側をもう一度狙うとは……。」
「あっちはスノウ達が居るよね!?大丈夫かな……?」
「ケモリアの街の近くにはリンやセインも居るはずだ。きっと大丈夫さ!とにかく俺達も急ぐぞ!」
「うん!」
二人はケモリアに駆けていくのだが、その矢先、何故か大勢の騎士が目に入った。
「冒険者共がいたぞー!始末しろー!」
「「おおーーー!」」
「ど、どど、どうなってるの!?あっちの門を攻めてるんじゃないのオルガ!?」
「相手はニ枚も上手だったって事か……。両方狙って来るとは!行くぞナッツ君、やるしかないんだ!」
「分かった!やってやる、やってやるんだ!」
向かって来る騎士達に向けて、オルガとナッツも走り出す。ケモリアとヒューマニア、戦いの幕が上がり、それぞれが動き始めるのだった。




