合流、近づく戦いの時
「フンッ、フンッ、フンッ!」
「オルガさん、ただいま戻りました!」
「スノウ!お帰り!数日ぶりか?」
オルガが拳を木に打ち込んでいると、スノウ達がケモリアに戻って来た。皆を見渡すオルガだが、ふと知らない人物が居ることに気がついた。
「そっちの人は?協会で言ってた増援の人か?」
「いえ、違うんですよ。こちらの方はですね」
「おお!この人がオルガか!スノウ達から話は聞いているぞ!俺はセイン、冒険者協会の依頼でやってきたんだ!……もう解決してたけどな。とにかくよろしくな!」
オルガにとっては初めて会う人物……セインが軽く自己紹介をすると、その手を固く握り上下に振り回した。
「そうか、君がゴブリン達の話で言っていたセインか!ならセイン、よろしく頼む!」
「おう!任せてくれよ!」
「あ、あのさオルガ……。」
「どうしたナッツ君。気になる事でもあったか?」
しばらくして、ナッツが口を開いた。そこからはどこか焦りと恐怖が滲んでいるようだった。
「ここしばらくはどう?外の様子は変わりない?やっぱり攻めてくるのかな……?」
「何とも言えないが、攻撃への備えはだいたい出来てるよ。城壁は修理出来たし、こっちにはレオン達も居るからな。」
「そっか……。僕、少しは強くなったつもりだけど、上手く行くかな?何か不安だよ……。」
「ナッツ君、前も言ったが俺達がついてるぞ!皆でやればきっと大丈夫だ!」
オルガの力強い応援を受け、ナッツは安心したような顔を見せた。
「そ、そうだよね!僕達なら大丈夫だよね!うん、頑張るよ!」
「ああ!」
ナッツが元気を取り戻した所で、スノウが手をパンパンと叩き、注目を集めた。
「はい!それでは、皆さん揃ったことですし、再び持ち場につきましょう!分担はどうします?」
「こっちの修理は終わったから、俺も見張り番をやろうと思う。ナッツ君、どうだ?一緒にやるか?」
「うん!怪しい奴は僕がすぐに見つけ出してあげるよ!」
「ああ!期待してるぞ!」
スノウの呼びかけに応じ、まずはオルガとナッツが周辺の見張りを買って出た。二人は街の中に入り、ゴブリン達が攻撃した城壁とは反対の門に向かっていった。
「それでは、私はゴブリンの皆と警戒にあたります!スノウさんとセインさんは?」
「リンも外を見てくれるんだろ?なら俺は中に居るよ。全員出ちまったら手薄になるからな。」
「了解しました。私はケモリアの皆さんと周りを確認します。何かあったらすぐに連絡を!」
「おう!」
「はい!」
スノウ達三人も一旦別れ、それぞれの持ち場に歩いていった。警戒態勢は万全。いつ襲撃があっても問題無しの布陣であった。
◇◇◇
「クスクス。ねーねー。ケモリアの街、今回は落とせると思う?」
「問題無いでしょう。強いアーティファクトをお渡ししてあります。上手くやってくれると思いますが。」
「でも心配だよねー。奴らも警戒してるだろうし。」
ヒューマニアの御子は謁見の間で、召使いと会話していた。ケモリアを落とすべく騎士にアーティファクトを与えたのだが、上手くいくかは疑問視していた。
「んー。やっぱり不安かな。……よし、強いのを送る事にしよう!早速向かってもらってよ!」
「承知致しました。すぐに手配致します。」
すると召使いは一瞬で姿を消し、その場には御子だけになった。
「クスクス。おもしろくなってきたね。誰が勝つのか楽しみだよー!ま、今はのんびり待つことにしようかな?」
戦いの時は確実に近づいている。ヒューマニアにとっては重要な作戦。しかし謁見の間には、それを見世物のように楽しむ御子の笑い声が響いていた……。




