裏で進む陰謀!
ゴブリンの集落に来てから数日。スノウとセインが特訓を続ける中、ナッツとリンも特訓に励んでいた。
「そりゃ!えいっ!」
「甘いです!そんな攻撃では敵は倒せません!」
戦いの練習、ナッツは斧を振るうが、リンは的確に手元を叩いて斧を吹き飛ばす。
「もっと相手を見て!何をしてくるか予想してみて下さい!」
「難しいよー!コツとか無い?」
「これはもう慣れるしか無いですし、とにかく練習です!ドンドンやりましょう!」
ナッツは深呼吸して、再びリンに向き直る。それを見てリンはナッツに突撃し、また打ち合いを始めるのだった。
「よし!かかってこーい!早く強くなって、一人前になるんだ!」
「その意気です!」
◇◇◇
「皆!今日はお疲れ様ー!」
「お疲れ様でした!」
四人は今日の特訓を終え、現在食事中である。料理を頬張りながら、それぞれの成果を報告し合っていた。
「まずは俺達からだな。スノウはアーティファクトの使い方のコツ、掴めてきたよな?」
「はい。まだ難しいですが、最初に比べればだいぶ良くなりました!」
スノウは立ち上がり、雷鳴剣を構えた。魔力を送り込むと同時に技を放つ。
「そこっ!プラズマカッター!」
普段使うスノーカッターの要領で技を出すと、雷を纏った斬撃が空を飛ぶ。それは練習用の丸太に当たり、パチンと音がした後に消えてしまった。
「あっ。もっと魔力を込めなきゃ駄目ですかね?」
「基本が分かれば後は練習だけだ!そのうち使いこなせるようになるさ!」
「僕の方は接近戦の練習だよ!弓を使う事はあるけど、あんまり手斧は使ってこなかったんだ。でもやってみると意外と動けたよ!」
「君は獣人だからな。目も耳も良いだろうし、適正はあるだろうな!」
「そうなんです!ナッツ君は才能の塊なんですよ!何といってもゴブリンキングたる私と打ち合えるんですから!凄い逸材です!」
「お、おう……。」
ナッツの自慢とリンの力説を聞きながら、料理を食べるセイン。皆の成長をそれぞれが感じる事が出来、上々の成果と言えるだろう。
「そうだ!復興の方は進んでますか?城壁の修理はだいたい終わったようですが。」
「はい!連絡係の仲間が言うには、今は防衛用の罠を準備してるとのことです!」
スノウとリンは和やかに話しているが……
「それならぼちぼち戻ろうよ!早速成果を見せてやるんだ!」
「俺もついていくぞ!ヒューマニアの奴らに一発ガツンとキツイのをお見舞いしてやる!」
「ちょっと、やめてください!こちらから仕掛けるのは厳禁です!」
ナッツとセインは二人で盛り上がっていた。それをスノウが慌てて制止する。戦力差がある以上、まともに勝負しては勝てないのは誰から見ても明らかだった。
「そっか……悪いなスノウ。何か盛り上がっちまった。とにかく俺もケモリアに行くぞ!手伝いなら任せとけ!」
「はい!お願いします!セインさんがいれば頼もしいです!」
そして四人は食事を終え、今日の疲れを癒やす為に眠りにつくのだった。
◇◇◇
「ふーん。そっかそっか。ケモリアを落とすのには失敗しちゃったんだー。」
「も、申し訳ありません!」
「それに[従属の首輪]まで壊されちゃったんだねー。」
王都ヒューマニアにある巨大な城、その謁見の間。ここで国を治める御子が見下ろしていたのは、先日スノウ達から逃げ出してきた騎士である。頭を下げ、ガタガタと震えながら謝罪を口にしていた。
「あそこは邪魔なんだよねー。冒険者協会を潰す為にも、絶対に壊しておきたいんだけど……どうする?」
「……は?」
「いやぁ、もう一度やってみる?それとも……ここで死んじゃう?」
「ヒッ!?」
「アハハ!酷い顔してるね?」
突然の御子の発言に恐れおののく騎士。それを見た彼女は笑いながら話を続けた。
「それで、どうする?ケモリア、今度こそ落とせそう?」
「も、もちろんです!チャンスを、もう一度チャンスを下さい!」
「うん!やる気は必要だよね!それなら、これを貸してあげるよ!持ってきてー!」
そう言って御子は召使いを呼ぶと、召使いはトレーを持って騎士の下に現れた。トレーには大きな乗り物を象ったアクセサリーが置いてある。
「こちらをお使い下さい。」
「こ、これは……?」
「βクラスのアーティファクト、[戦車]です。これを使えば城壁は壊せるでしょう。後は……あなた次第です。」
「は、はっ!!必ずやケモリアを落としてみせます!」
「それじゃ、頑張ってねー!」
御子がそう言うと、上からベールが降りてきて、彼女の姿を隠してしまった。騎士は横を見るが、先程までいた召使いも消えていた。
「な、何が何でも成功させてやるぞ……!俺の命の為にもな……!」
騎士は一人呟き、ケモリアに攻め込む準備をすべく、謁見の間を後にするのだった。




