意外な仲間は聖剣使い?
「いや、本当に済まなかった!危うく君達を斬る所だったんだ!謝罪させてくれ!」
「い、いや、何もそこまでしなくても……。」
「そ、そうですよ……。間違いは誰でもありますし……。」
ゴブリンの集落にある広場。ナッツとリンは、そこで土下座をしながら謝る少年……セインをじっと見つめていた。
「いや、完全に俺のミスだ!ちゃんと話を聞いていれば!あの子にも酷い事をしてしまった!」
「お、落ち着いてよ!分かった、分かったからー!」
◇◇◇
数分後。落ち着いたセインは二人から話を聞くことにした。
「しかし、君がゴブリンキングとは……。ゴブリンには人型の者もいるの知ってはいたが、王様とは思わなかったよ。」
「よく言われます……。」
「それで、セインはリンをやっつける為にここに来たんだね?」
「ああ。ゴブリンキングが悪さをしてるっていうから、慌ててここに向かったんだが……。もう解決していたとはね。」
セインは頭をかきながら申し訳無さそうにしていた。
「しかし、これなら俺の出る幕は無いな!少し休憩したら帰る事にするよ。取り敢えず、水を一杯貰えないかな?」
「あ、はい!あちらの建物になります!」
「いや、冷や汗がたくさん出て、喉が渇いてしまったんだ。少し頂きます!」
リンが集落の井戸を指差しセインに教えると、彼は一目散に井戸に向かっていった。
「よ、良かったね、悪い人じゃなくて。」
「はい!これで一安心です。落ち着いたら私達もご飯にして、それから防衛準備を……。」
「……あ!それだけどさ……。」
「?」
◇◇◇
「いやー!新鮮な水は美味いな!ありがとう、頂いたよ!」
口を濡らしたセインが戻って来た時、何故かナッツは怒った顔をして、彼を睨みつけていた。
「ど、どうした君!?やっぱり怒ってるのか!?」
「そうだよ!訳も言わずにいきなり襲って来て、怖かったんだから!」
激怒しているナッツをみてたじろぐセイン。だが言い返す事は出来ない。攻撃したのは事実だからである。
「だから、セインにも手伝ってもらうよ!」
「手伝う?何を手伝えばいいんだ?」
「それはね……。ケモリア防衛準備の手伝いだよ!」
「ケモリア……防衛?」
「はい!つまり……こういう事なんです!」
突然出てきた言葉に首を傾げるセイン。そこからリンが、今までの出来事を簡単にまとめて話すのだった。
◇◇◇
「つまり、こういう事なんです!」
リンが話し終わると、セインはプルプルと震えていた。
「や、やっぱり駄目かな……?危ないもんね。ごめんね、さっき怒ったフリをしたのは、手伝ってもらえればって思って……。」
「……せん。」
「えっ?」
「許せん!なんて奴らだ!!」
急にセインが握り拳を上に突き上げ、大声を張り上げた。
「そんな酷い奴らがいるのか!?ケモリアの人達も、ゴブリンの皆も酷い目に合わされて……!分かった!俺も手伝う!こういう事態には人手が必要だろう!」
「い、いいんですか!?相手は貴方と同じ人間ですよ!?」
「そんなの関係無い!どんな奴にも、そこにある国を潰す権利などあるものか!俺が鉄槌を下してやる!」
「そ、それでは!」
「何から始めればいいか教えてくれ!早速……。」
グゥーー。
ナッツ達から響いた音。それはお腹から鳴っていた。
「そういえば、僕達ご飯を食べるつもりだったんだよね。」
「あの、良ければセインさんも一緒に食べますか?」
「……本当か!それなら是非食べさせてくれ!俺も腹ペコなんだ!」
「では、続きは食べながらにしましょう!こちらです!」
そして三人は集落の食堂に向かっていった。
◇◇◇
「ちょっ、抜けない!?どうすればいいのよ!?早く抜けないと!」
スノウは地面に埋まったまま、抜け出す事が出来ないでいた。手は動くので雷鳴剣を使って地面を削ってみるが、なかなか抜け出せない。
「あーもう!皆気づいてよ!」
体を動かしたくても、しっかり嵌っている為動かない。何度も何度も試しても上手くいかない。
「んーーー!」
遂に我慢出来なくなったスノウは、自分の魔力を大量に雷鳴剣に注ぎ込む。
「あーーー!抜けろーーー!」
自分の全魔力を込めた雷鳴剣を地面に思いっ切り突き刺す。すると……。
ドガァァァァン!
「ヒャッ!?何ですか!?」
「あっちの方向!スノウの居る場所だ!」
「何!?敵襲か!俺も行くぞ!」
食堂の入口で急に爆音が聞こえた為、慌てて戻って来た三人。その場所に行くと、そこには黒焦げになったスノウがいた。




