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魔弦の使徒 目指せ一流、魔族少女の冒険者ライフ!  作者: ゆん。
第三章 獣の街、ケモリアへ

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ランク昇格!ケモリア防衛へ!

「グー。グー。」


「すー。すー。」


「頭痛い……。飲み過ぎたか……。」


 パーティーの次の日。レオン達三人はそれぞれ酔い潰れ、床に寝転がっていた。レオンとリンはすやすや眠っている中、オルガは頭を抱えて苦しんでいた。


「オルガさん!大変です大変です!早く起きて下さい!」


「悪い。今日は酔ってて動けないんだ。」


「早くクエスト達成の報告をしなきゃ!起きてよー!」


 スノウとナッツがオルガを叩き起こす。それから報告の準備をしていると、あっという間に午後になってしまった。





 ◇◇◇


「これでよし!リンさん!痛くないですか?」


「はい、大丈夫です。でもこれでいいんでしょうか?」


 スノウはリンを椅子に座らせ、手首を緩く縛っていた。クエストのターゲットだったので、形だけでも拘束しているように見せる必要があるのだ。


「一応体裁は整えないとな。じゃ、始めるか。スノウ、撮影を頼む。」


「はい!それではモニタ君セット!」


 今回の依頼達成の報告の為、モニタ君を起動し冒険者協会に連絡を取る。もちろん相手は……。







「きみ達!久しぶりフミャ!元気フミャか?」


 マネージャーのフーシャである。頭にネコの帽子を被り、食事をしている最中なのか、顔には野菜のくずがついていた。


「フーシャさん!依頼達成しました!確認をお願いします!」


「承知フミャ!何か証拠を見せて下さいフミャ!」


「了解です!オルガさん、お願いします!」


「ああ。ほら、こっちに来てくれ!」


 フーシャの映像に現れたのは青髪の少女である。彼女は目を輝かせた。


「フミャ?その子は救出した子フミャね!頑張ったフミャね!ところでゴブリンキングはどこフミャ?」


「はい!ここです!私、ゴブリンキングのリンと言います!」


「えっ。」


 フーシャの目の前の少女がゴブリンキングと聞き、明らかに驚いていた。それを察したのか、レオンもモニタ君の前に立ち、映像に映り込んだ。


「いや!間違い無くゴブリンキングです!私が保証しますぞ!」


「おお!その声は!レオンフミャ!お久しぶりフミャー。」


「久しぶりですなマネージャー!今回、彼女達のお陰で無事、ゴブリンキングを討伐出来ましたぞ!」


「えっ。討伐?その子がゴブリンキングフミャよね?」


「実はこれには訳がありまして……。聞いてもらえますか?」


「フミャ。かかってくるフミャ!どんな意見もキチンと聞いてあげるフミャ!」


 自信満々に胸を張るフーシャ。スノウ達は彼女に向けて、今回起きた事について説明するのだった。








◇◇◇


「つまり、その子は操られて街を襲っていた。それで、今回の事件にはヒューマニアが関わっていた。って事であってるフミャ?」


「その通りです。」


 さっきの自信満々とは反対に、フーシャは何か考え事をしているようだった。


「なるほどフミャ。……それではまず、今回の依頼達成をもって、きみ達をDランクに昇格と致しますフミャ!」



「やったー!ランクが上がったぞー!」


「やりましたね!これからも頑張りましょう!」


「ああ!まあ程々にな。無理しないのが一番だ。」


 三人はそれぞれ喜んでいるが、フーシャは浮かない顔で頭を抱えていた。


「だが、奴らの行動が全く読めない以上、当分警戒は必須だろう。」


「ですね。だからフーシャさん、しばらく私達はケモリアに滞在しようとおも」


「駄目フミャ。」


「えっ……フーシャさん?」


「絶対駄目フミャ。今すぐ帰ってくるフミャ。」


 さっきと違い、その言葉には怒気が込められていた。


「何故ですか!?また何か起こるかもしれないでしょう!ここは警戒しないと!」


「それはこっちでやるフミャ。きみ達は帰ってくるフミャ。」


「でも……。」


「いいフミャか?きみ達は無事に依頼を達成したフミャ。それでいいフミャ。これ以上口を挟むのは良くないフミャ。」


「だが、俺達は今現地に居るんだ。こっちの方が対応し易いだろう?」


「きみ達の予想が正しければ、今後ヒューマニアは本腰入れてケモリアを落としにくるフミャ。そしたら大変な事フミャ。はっきり言って、きみ達では足手まといになるだけフミャ。」


「なっ!そんな事!」


「とにかく駄目フミャ。早く協会に帰って来るフミャよ。」








◇◇◇


「ど、どうしよう?ここは帰るべきなのかな?」


「どうだろうな。少なくとも依頼は達成したんだ。ここで帰っても問題は無い、が……。」


 フーシャの話を聞き終わり、ナッツは不安そうにしていた。オルガも悩んでいるようだった。しばらく沈黙が続き、重苦しい空気が流れる。……それを破ったのはスノウだった。


「いえ!私はここに残ります!」


「ええっ!?本気フミャか!?危ないフミャよ!」


「それでも、困っている人を放っておくなんて出来ません!それに、ここはナッツさんの故郷なんです!そんな悪い人達なんかに負けたら、皆どうなるか分かりませんし、人手はたくさんあったほうが良いでしょう!」


「で、でも……。」


「……そうだよね!決めた!僕もここに残る!皆と一緒に戦うよ!」


「フミャ!?」


「……だったら俺も残らないとだな。二人だけでは不安だし。」


「ほ、本当に残る気フミャか!?……ハァ。」


 フーシャも説得しようとしたが、三人は絶対にここに残るつもりである。その様子に折れたのか、フーシャは溜め息をつきながら、三人の方を向いた。


「どうしても残る、って言うフミャね……。それなら条件があるフミャ!何が何でも生き残って、それでケモリアも守って、協会に帰って来るフミャ!約束出来るフミャ!?」


「「「もちろん!」」」


 三人が同時に答えると、フーシャは手元の資料に目を通しながら話し始めた。


「では、きみ達はレオンと協力して、防衛態勢を整えるフミャ!こちらからは高ランクの冒険者を増援に派遣するから、到着するまでは手出し無用!こちらから仕掛ける事は絶対に避けるフミャ!」


「了解です!」


「任せておけ!」


「僕も頑張るよ!」


「という訳フミャ!レオン、三人の事、よろしくお願いしますフミャ!」


「お任せあれ!必ず無事に帰れるよう、全力で戦いますぞ!」


「それじゃ、こっちは冒険者を派遣する手続きをするから、何かあったら報告してフミャ!」













◇◇◇


 スノウ達の連絡が終わり、モニタ君の通信を切ったフーシャ。彼女はケモリアに派遣する冒険者の選定作業にすぐ取り掛かった。


「誰を送るべきか。本腰を入れてくれば、王都の精鋭が出て来るはず。並の冒険者では歯が立たないわね。誰を呼ぼうかしら……。」


 手元の書類を見て悪戦苦闘していると、部屋をノックする音が聞こえた。


「マネージャー、いるかしら?」


「あっ……今取り込み中フミャー!ご用件は後でお願いしますフミャー!」


「私よ私。入るわね。」


 ドアを開けて入って来たのは、メイド服を着た、緑髪の女性である。


「何かあったの?怖い顔して?」


「今ケモリアで起きてる事について悩んでるフミャ。誰に増援に行ってもらうか、悩むフミャー。」


「……それじゃ、やっぱり。」


「フミャ。あの子、残る気まんまんだったフミャよ。やっぱり良い子フミャね。」


「そっか。……ねぇ、その増援、私が行こうか?」


「フミャ!?」


 女性の突然の申し出にビックリするフーシャ。一方の女性はやる気に満ち溢れていた。


「今出れる冒険者って、私くらいじゃないかしら?確かに危険だけど、今の私ならきっと大丈夫よ。それに……あの子が頑張ってるなら、私も頑張らないとね!」


「フミャ……。それならお願いしていいフミャ?私もやりたい事あるし……。」


「任せてよ!準備が出来たらすぐに向かうわね!」


「お願いフミャ!全員無事に戻って来てフミャよ!」


「了解よ!」







 女性は部屋を出てすぐに走り出した。もちろんケモリアに急ぐ為だが、どうやらそれ以外にも、急ぐ理由があるようだった。


「やっと会える……!今行くから、待っててよ!スノウさん!」

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