事情聴取、黒幕の狙い?
次の日、早起きしてストレッチを済ませたオルガの目の前には、体が寝た時と逆になっているナッツと、ベッドの外に転げ落ちているスノウの姿が映っていた。
「お前ら!起きろ!朝だぞ!」
「ねむいよー。後5分ー。」
「私は10分ー。お疲れ様ですー。」
「……ハァ。」
それから10分。オルガが再びストレッチを終え部屋に戻ると……。
「あっ!オルガ!どこ行ってたの!?そろそろ街役場に行かないと!」
「オルガさん、リラックスも良いですけど、今日は重要な日ですよ!早く行きましょう!」
「……ハァ!?」
そして3人は素早く支度を済ませ、レオンの待っている役場に向かうのだった。
「おお!来ましたな!それではこちらにお着き下さい!」
レオンは椅子を持ってきて、3人を座らせる。3人の前には、ケモリアの住人や戦士、昨日捕まえたゴブリンの一団、そして黒幕と思われる騎士が居た。
「それでは、始めますかな。3人も立ち会って頂ければと。そして気になる事があれば教えて下され!」
「了解だ。俺達も気になるし、付き合うよ。」
「僕に任せて!レオンおじさんは泥舟に乗った気分でいてよ!」
「それを言うなら大船、ですね。それでは皆様、よろしくお願いします。」
3人は軽くお辞儀をし、事情聴取がスタートするのだった。
「まずは君達からだ。隠し立てせずしっかりと答えて貰うぞ!」
レオン達が向き合ったのはゴブリンキングの少女、リンである。首輪が外れたとはいえ、今はスノウが作った氷の手錠で手を押さえている。
「は、はい。よろしくお願いします。」
「では質問だ!ゴブリンの諸君、何故襲って来たのか、理由を答えて貰おう!我らからすれば、諸君とは特に敵対しては居ないと思う。だが、そちらには恨む事情があるかもしれない。何故この様な事になったか、理由を教えてくれ。」
「そ、そりゃ俺達だって、直接恨みがあった訳じゃ無いけど……。お前達はお頭を酷い目に合わせようとしてたじゃないか!第一、お頭を討伐依頼に手配しておいたのはそっちかもしれないのに、そんな事言われても困るよ!」
「そうだぞ!お頭を守る為なら、俺達は命懸けで戦う覚悟があるんだ!」
ゴブリン達は一斉に声を上げ始めた。それを見て、レオンは頭に手を当てている。
「……確かに討伐依頼は出した。だが、それはそちらが先に仕掛けてきたからだろう?」
「そうだぞ!俺達は手を出していないじゃないか!」
「私もやってないわよ!」
ケモリアの住人達は怒り出した。先に攻撃されたのに、お前達のせいと言われたのだ。皆納得いかない様子だった。
「ちょっと口を挟ませて下さい!気になる事が出来ました!」
「スノウ殿!何が気になったんですかな?」
「ゴブリンさん達は、あの子の討伐依頼が出たから街を襲った。ケモリアの皆さんは、街が襲われたから討伐依頼を出した。……ではリンさん、質問いいですか?」
「えっ、はい。」
スノウはリンに向き合い、質問をした。
「もしかして、貴方にケモリアを襲うよう指示を出したのは、あそこに居る騎士じゃないですか?」
「……はい。そうです。討伐依頼が出てるから、ケモリアを落とさないとお前の命は無いって言われました。」
「その時には、もう首輪がついてたんですか?」
「はい……。」
「やっぱり……そこの騎士がケモリアを襲うよう仕向けていたんですね。」
スノウはリンの言葉を確認するとスッと立ち、縛られている騎士へ向かっていく。
「どうしてそんな事をしたんですか?」
「お、俺が答えると思うなよ!俺は誇り高い、王都ヒューマニアの騎士だ!お前達のような怪物に話すつもりはない!」
「ヒューマニア……ですと!?」
「何でケモリアにヒューマニアの騎士が来てるんだ……?」
レオン達は驚愕の表情で大声を張り上げた。他の住人もソワソワとしている。そこには恐れの表情があった。
「語るに落ちたな。お前達はヒューマニアの誰かの命令で、ケモリアを壊滅させるつもりだったという事だな。」
今度はオルガが立ち上がって騎士の腕を掴む。
「さ、さっきも言ったが何も話す気はないぞ!それに、俺に酷い事をしてみろ!ヒューマニアの冒険者達を敵に回す事になるぞ!」
「何が何でも教えてもらうぞ。でないと……。」
「ヒッ!ま、待ってくれよ!殺さないでくれよ!」
「だったら早く話せ。別に命まで取るつもりは無い。」
「ほ、本当か?」
騎士が何かを期待するような目でレオン達を見つめている。その仕草にレオンは困惑の表情を浮かべていたが、やがて溜め息をつきながら首を縦に振った。
「……承知した。その代わり、洗いざらい話してもらうぞ!ヒューマニアが何を考えているのか、を!」
レオンは斧を持ち、騎士の目の前に置いてから、話を聞くことにした。皆の視線が集まる中、騎士は言葉を紡ぎ始めた。
「俺達の目的は……冒険者協会を潰す事だ。」




