戦いの後、残った謎
二人が門の中に入ろうとした時、側の森から声が響いてきた。
「お、お前ら!よくも俺達のお頭を!」
「何でお頭を酷い目にあわせた!理由を言え!」
森から出て来たのはゴブリン達である。彼らは二人を包囲しながら、ジリジリと門に迫っていた。
「しまった……存在が完全に頭から消えていた!どうするナッツ君!?」
「こうなったら僕が戦うよ!オルガは街の中へ!」
ナッツが弓を持ってオルガの前に出る。ゴブリン達もそれぞれ、棍棒やナイフなどを持ち、前に進んできた。
「お前達!どうしてって言ってたが、この状況を見てたなら分かるだろう!?先に仕掛けてきたのは彼女の方だ!」
「そ、そうだそうだ!その子が攻撃してきたから、僕達も攻撃したんだよ!だいたい、話し合いって言ってたのに、どうして攻撃したのさ!」
「そ、それは……。でも、お頭を酷い目にあわせたのは事実だろ!」
「覚悟しろ!お前達二人ともここで倒す!」
ゴブリン達は武器を振り上げて二人に襲いかかる。だがオルガは動けず、ナッツも手が震えて弓を引くことが出来ない。
「あ、あわわわ!弓が引けないよー!」
「皆ー!やっちまえー!」
「ウォォォ!させるかァァァァァァ!」
「へぶっ!?」
ゴブリンがナッツに剣を振り下ろす寸前、横から飛んできた斧がその剣を弾き飛ばした。
「な、何だと!?」
「二人とも、大丈夫でしたかな?」
オルガ達の前に立っていたのは、レオンである。地面に刺さった斧を持ち上げて、ゴブリン達を睨みつけていた。
「ここからは我々が戦いましょう!全員懲らしめてくれるわ!」
「く、くそっ!向こうのリーダーが来るなんて……。」
ゴブリン達が後ずさりするが、間もなく他の獣人達も集まり、素早くゴブリン達を囲みながら距離を詰める。
「さあ、観念して、大人しく捕まるんだな!」
「覚悟しなさい!コテンパンにしてやるわ!」
続々と戦士達が加わり、完全に戦況は決まった。
「ま、参った!降参だ!でも、今回俺達は本当に話し合いに来ただけなんだよー!」
「それについてはこっちでじっくり話を聞いてやろう!皆、この者達を街の役場に連れて行くぞ!」
「「おおーー!」」
獣人達はあっという間にゴブリン達を拘束し、街の中に戻って行く。オルガとナッツはそれをボーっと見つめていた。
「助かった……。レオン、ありがとうな。」
「さすがおじさん!あんな簡単に捕まえちゃうなんて、凄いや!」
「いや!二人が頑張ってくれたから、我らが間に合ったんだ!こちらこそ礼を言わせて下され!」
「皆さーん!お待たせしました!ってあれ?もう終わってる?」
しばらくするとオルガ達の下にスノウが慌ててやって来た。しかし目に映るのは地面に出来た穴と満身創痍の二人、レオンの姿だけだった。
「スノウ!遅かったな。何かあったのか?」
「いえ、レオンさんに異変を伝えた後、万が一に備えて街の人を避難させてたんです。急がないととは思ったんですが……。」
「いや、こちらもかなり危なかった。レオンが来なければ突破されてたかも知れない。判断としては間違ってないと思うぞ。」
「ありがとうございます。それで、大声を上げてた方が居ましたが、やはりゴブリンキングですか?」
「まあ……確かにその通りなんだが……。」
言葉を濁すオルガ。その様子を見て、スノウは何かを察したようだった。
「……訳ありですね。その方は今どちらに?」
「木に縛り付けてある。今は気絶してるが、何かおかしいと思うんだ。」
「おかしい?」
「そうそう!はじめは話し合いをしようって来たんだけど、一度森に帰ってまた来た時には、いきなり襲ってきたんだ!」
「ちゃんと話が通じてたんですね。それではやはり事情があるはずです!」
ナッツもオルガに言葉を付け足し、それを聞いたスノウは手をポンと叩いた。
「一度その方からも事情を聞いてみましょう!早速案内お願「アアアアアアアアアアアア!!」……えっ?オルガさんどうしたんです?」
「もう起きたのか!?こっちだスノウ!ゴブリンキングはこっちに縛ってる!」
「は、はい!」
足を引きずりながら歩くオルガ。その横でスノウが彼を支え、目的の木に歩いて行くのだった。




