情報収集/裏に潜むモノ
投稿を再開しました。不定期投稿になりますが、よろしくお願い致します。
オルガが街の門に走って行ってしばらく後。スノウはナッツと一緒に街の中を歩いていた。
「ねえ!僕達も早く行かなきゃ!いつゴブリン達が来るか、分からないんだよ!?」
「それはオルガさんに任せてあります。まずは被害を確認しないとですよ。……よし!あの人に聞いてみよう!」
スノウは街の市場で商売をしている商人を見つけ、声をかけた。
「すみません!ちょっとお聞きしたいことが……。」
「おっ、君はクエストを受けたって子だね?うん、何だい?」
商人は品物を陳列しながらスノウに言葉を返す。
「最近、ゴブリンが襲ってくるって聞いたんですけど、何か被害って出てるんですか?」
「被害ねぇ……。被害って言う程じゃ無いけど、外の建物とか城壁が狙われてる気がするのよねー。壁があれば中まで入れないから……。」
「なるほど。ありがとうございます。」
スノウはお辞儀をして、その場を後にした。
それから聞き込みを続けている二人。何人かの住民に話を聞いた後、スノウは首を傾げ、考え事をしていた。
「何か気になる……。襲撃してるって言っても、被害は街の外の設備だけなんですね。」
「だって、中まで入るには城壁を壊さないといけないんだよ?流石にそこまでは来れないって事じゃないかな?」
「或いは、中を攻めるつもりはなくて、何らかの意図があって攻撃してきている、とかですかね?」
「何だか混乱してきたよ……。とにかく!まずはゴブリン達をやっつけて、攻撃をやめさせなきゃ!」
「……ですね!よし!私達もオルガさんの所に移動しましょう!」
「うん!」
そして外の防衛のため、二人はオルガの元に走っていった。
「お待たせしました、オルガさん!」
「お!お疲れ様。話を聞いてみてどうだった?」
「はい。やっぱり中は狙われて無いみたいです。外の城壁なんかを攻撃してるようですね。」
「そうか。てっきり魔法や弓矢で中を狙っていると思っていたが、外だけか……。」
「オルガー!見張りは僕がやるから、しばらく休んでていいよ!」
「ありがとう。それなら少し休憩してくるから、しっかり頼むぞ!」
二人の話が終わると同時に、ナッツは見張り台に登り、自身も周りの観察を始めるのだった。
◇◇◇
「皆さん、準備は出来ましたか?」
「ああ、何時でも出撃出来るぜ!」
ここはゴブリンの集落。そこには遠征の準備を整えたゴブリンの大群と、それを率いる頭の少女の姿があった。
「今回の私達の目的は、分かってますね?襲ってしまった冒険者さん達への謝罪です。まずはこちらにお連れします。その後のおもてなしで、私達への不安を取り除いてもらいましょう!」
「でもお頭、俺達が勝手に攻撃したのに、来てくれるのか?」
「それは……とにかくやるしかありません!それでは、皆さんは先にケモリアの方に向かって下さい!」
「了解だ!行くぞ皆ー!」
「「「おーー!」」」
先頭のゴブリンに連れられて、皆は集落から外に飛び出して行く。それを見届けた少女は、再び自分の居城へ向かった。
「何勝手な事をしてるんだ?」
「……っ!」
少女がふと後ろを見ると、そこには人間の男が立っていた。騎士の装備を身に着けた男……その手には、小さい機械が握られていた。
「お前達は俺達の言う通りに、ケモリアに攻撃を繰り返せばいいんだよ。そうすれば俺達の仕事も捗るんだ。」
「ふざけないでください!私達は誰かと敵対するつもりなんてない!ただ森の奥でひっそりと暮らせればそれで良かったんです!」
少女は騎士を睨みつける。その目には人間への憎悪が籠もっていた。
「そんな怖い顔すんなよ。暴れているゴブリンキングの討伐依頼が出た、って事を教えてやったのは、俺達だぜ?命の恩人に感謝して欲しいものだな!」
「それも貴方達に言われたから……!」
「人のせいか?王の癖に外に散歩に出て捕まるとか、どうしようもないクズだな!ま、お陰でお前とその手下どもを自由に使えるようになったんだがな!感謝するぜ!そのマヌケさによぉ!」
「この……!……っああああああああああああああああ!!!」
我慢できずに騎士に飛びかかろうとする少女。しかし、一瞬でその勢いは止まり、絶叫しながら地面に這いつくばってしまった。
「本当ゴブリンって馬鹿だよなぁ。その首輪がある限り、俺達には逆らえないんだ。さっさとケモリアを落としてこいよ。でないと、首が飛ぶぜ?」
「ハァ……ハァ……ハァ……。」
少女はよろめきながら立ち上がり、居城の外に歩いていく。
「頑張れよー!マヌケなゴブリンの王様よぉー!」
後ろから聞こえる侮辱。それを聞きながら、少女は仲間と合流する為、侮辱の言葉から遠ざかる為に走り出した。
「……うぅ。みんなぁ……。ごめんなさい……ごめんなさい……!」
走りながら謝罪をつぶやく少女の目からは、涙が流れていた……。




