出発、ケモリアへ
市場の入り口でスノウとオルガを待っていたナッツ。すると、二人がそれぞれ別の道から入り口に戻ってきた。
「お、来たね!どうだった?掘り出し物市は?」
「はい!色々見ました!それで思い切って、アーティファクト買っちゃいました!」
「お前もか。俺も買ったんだ。戦略の幅が広がるかもと思ってね。」
「へぇー。どんなのどんなの!?僕にも見せてよ!」
「はいどうぞ!これになります!」
ナッツの呼び掛けに応じて、二人はアーティファクトを見せる。それを見たナッツの目はキラキラしていた。
「いいなー。僕もアーティファクト買いたいなー。しっかりとお金を貯めないと!」
「なら、その為にも今回のクエスト、バッチリとこなしていこう!」
「はい!」
三人でトレジャールの門を出ようとした時、ある人物に声を掛けられた。そこに立っていたのは、スノウの案内をしてくれた門番である。
「君達!マネージャーから話は聞いたぞ!遂に昇格試験らしいな!頑張れ!」
「はい、頑張ります!そう言えば、門番さんはランクってあるんですか?私達がクエストに行く時、だいたい門の近くに居ますよね?」
「それは内緒だ!俺と同じランクに来たら教えてあげるから、頑張って来なさい!期待してるぞ!」
「ええ!行ってきますね!」
スノウ達は門番との会話の後、フーシャが手配してくれた馬車に乗り込む。動き出した馬車に揺られながら、3人はケモリアへの道を進んでいく。
「ケモリア……どんな所なんだろう?初めてですから何かソワソワしちゃいます。」
「ケモリアは自然の中で生きる獣人達の街なんだ!でも、獣人だけじゃなくて、色んな種族の人達も暮らしてるよ!王都みたいな乱暴な所じゃ無いから大丈夫だよ!」
「……王都?また知らない地名が出て来たな……。」
「王都ヒューマニア。強いアーティファクトを集めているらしくて、他国の侵略もしてるって噂だよ。僕はまだ行ったことが無いけど。」
「一応頭に入れておこう。もしかしたら、そこ関連のクエストもあるかもしれないからな。」
◇◇◇
馬車に揺られて数時間。3人がウトウト眠っていると、突然騎手が大声を張り上げた。
「お客さん!大変だよ!敵襲だ!」
「何!?敵襲!?どういう事だ!」
「ゴブリンだ!何でこんな所にいるんだ!?まだケモリアから随分と離れているのに!」
「仕方無い。俺が出よう!丁度試したい物もあるしな!」
「いたい!」
「な、何するんだよー。」
「敵襲だ!さっさと起きろ!迎撃するぞ!」
すやすやと眠っている二人を叩き起こして一緒に外に出るオルガ。周りを見ると、そこには複数のゴブリンが立っていた。奥には更に大勢が固まっている。
「これが目的の馬車だ!中にいる奴は皆殺しにしろ!」
「「「オーーー!」」」
「……数が多いな。早速コイツの出番と言うわけだ!」
オルガはグローブを手に装着し、ゴブリンに向かっていく。
「な、何!?速い!」
「鍛えてるからな!」
「ギャッ!?」
オルガは近くにいたゴブリンを掴み、集団に投げつける。ゴブリン達は一目散に散らばり、回避するが、オルガはそこを狙って一体ずつ攻撃していく。
「そこだっ!」
「ギェェ!」
「何だコイツ!聞いてないぞ!」
ゴブリン達は予想外の事態に慌てて逃亡しようとする。だが、その後ろにはスノウとナッツが回り込んでいた。
「貴方達、一体何の目的があって来たんですか!?場合によっては痛い目にあってもらいます!」
「黙れ!お前らみたいなガキに捕まるものか!」
ゴブリンは棍棒を持って二人を襲う。それを慎重に避けながら、スノウは相手の腕を掴んだ。
「新技です!フローズンショット!」
ゴブリンを放り投げ、すかさず片手に魔力を集中する。そして魔力の玉を作り、相手に投げつけた。
「ガハッ!」
「捕まえた!さあ観念してください!」
放った玉が当たった部分が凍りつき、ゴブリンの動きを止める。そこをすかさずロープで縛り上げ、地面に押し付けた。
「や、ヤバいぞ!みんな逃げろー!」
一人の号令で、慌てて逃げ出すゴブリン達。この場に残されたのは、三人とゴブリンだけだった。
「もう逃げられないぞ!さあ、どうして俺達を襲ってきたのか、教えてもらおうか!」
「な、何の事だか分からないな。俺達はただここを通りがかっただけで、仕掛けて来たのはそっ」
「悪いな、俺は今機嫌が悪いんだ。場合によっては……。」
オルガは地面に拳を打ちつける。すると業音と共に地面にヒビが入った。
「お前の体にもヒビが入るかもしれないなぁ。」
「ひ、ヒィィ!」
ゴブリンは恐怖のあまり顔が真っ青になっている。それを見たスノウは、優しく話しかけた。
「お願いします。どうして私達を攻撃したのか、話してもらえませんか?悪いようにはしませんから。あの人にも貴方に手出ししないように言っておきますよ。」
「そ、そこまで言うなら……。」
すると、しょうがないという顔をして、ゴブリンが話を始めた。
「お、俺達がお前達を襲った理由は……。」




