掘り出し物市、新しい武器!
依頼を受けて少し後。3人は獣の国、ケモリアに向かう前に街の市場を訪れていた。
「なあ、何で市場に来たんだ?」
「それはね!今日は掘り出し物が売り出される日なんだ!ここならポーションとか予備の武器とか、色々安く売ってるんだよ!」
「ナッツ君は詳しいな。なら、ここで準備をしてから向かうか。」
「うん!こっちこっち!」
「ちょっ、早い!待って下さい二人ともー!」
ナッツはオルガを引っ張って駆け出していく。それをスノウも追い、市場に突撃することになった。
トレジャールの市場は多くの人で賑わっていた。スノウは近場の露店に並べられたアイテムを手に取り、驚愕の顔を浮かべていた。
「こっちは薬草に、訓練用の剣です……!確かに安い!私が他のお店で見るときより安いですよ!」
「失敗作とか使用期限の近いものも混じってるんだ!でも、冒険者はすぐに使っちゃうから、あんまり気にしない人が多いんだ。」
スノウは安い商品を見て回り、使えそうな物を探している。すると、市場の中心に人だかりが出来ているのを発見した。
「あれは?何か始まるんでしょうか?」
「あれは掘り出し物市だよ!珍しいアイテムや、アーティファクトが売られてる事があるんだ。」
「「アーティファクト!?」」
「そ。アーティファクトって色々種類があるから、自分が使わない物は売ったりすることもあるんだ。」
「何か勿体ない気がします。せっかく手に入れたのに。」
「だが、使わん物を持っててもしょうがないだろう。誰かが使ってくれるなら、結果的に役に立つ訳だ。」
しばらく商品を見ていた3人。するとオルガは提案を出した。
「どうだ?ここは一つ、自由行動にしないか?人目を気にせずに好きな物を買っていこうじゃないか!」
「賛成です!私、色々見て回ってきますね!」
スノウはそう言って掘り出し物市に走っていった。一方のオルガは彼女とは別の方向に歩き出した。
「俺も色々回ってみるか。ナッツ君はどうする?」
「僕は入り口で待ってるよ。必要な物は揃えてるし。」
「そうか……。それなら俺達で行ってくるから、留守番を頼むよ。」
「うん!任せてよ!」
◇◇◇
「あっ、これは……。」
掘り出し物市を見て回り、スノウの目は一つの商品に向かっていた。
「[雷鳴剣]……雷のナイフ、ですか?」
「おっ、お嬢さん、これが欲しいのかい?」
「あ、ちょっと興味がありまして。これっていくら位ですか?」
「これね……5万ゴールドだね。」
「ご、5万……高いけど、届かない額では……。」
店主から提示された金額と自分の財布を見比べているスノウ。店主は構わず説明を続ける。
「これは一応、αクラスのアーティファクトなんだよ。でも、ナイフだからね……皆欲しいのは、こう、もっと派手な武器なのさ。」
「……。」
「それで売りに出されたのを、俺が仕入れたわけ。どうするお嬢さん?」
悩んでいるスノウ。すると気のせいか、自分を選んでくれと言わんばかりに、雷鳴剣がキラッと輝いた気がした。
「……このアーティファクト、私が買います!」
スノウは財布からゴールドを取り出し、店主に渡す。彼はこれにびっくりしていた。
「ほ、本当にいいのか!?一応アーティファクトだが、そんなすぐ決めちまって……。」
「はい!私、雷にもちょっと適性があるんです。大物よりも、軽い武器で練習したいなって、ちょうど思ってたんです!」
「そうか……。それなら、ハイ!これはお嬢さんの物だ!ついでに鞘も付けとくよ。これに入れるといい!」
店主はゴールドを受け取り、雷鳴剣をスノウに手渡す。スノウはそれを握り、手触りを確認していた。
「やっぱり!しっくり来ます!これは私にとっての掘り出し物だーー!」
「お嬢さん!他のお客さんがびっくりするから、声は程々に頼むよ。」
「ごめんなさい……。何か興奮しちゃいました。」
そして雷鳴剣を鞘に入れ、店主にお辞儀をしてからその場を後にした。
「これからよろしくお願いしますね!」
買った剣に挨拶をするスノウ。それに合わせて、雷鳴剣がキラッと輝いた気がした。
◇◇◇
「このグローブ……悪くない。着け心地も硬さも丁度いい!おじさん、これは?」
オルガが手に着けたのは金属がはめ込まれたグローブ。手の甲の上には一枚の板がついていた。
「おっ、兄ちゃん良い物に目をつけたね!これはαクラスのアーティファクト、[シールドグローブ]!ただ殴るだけじゃなくて、そこの板から魔法の盾を出す事が出来る!緊急の防御にはもってこいの一品だよ!」
商品の良さを熱弁する店主。しかしオルガはそれを聞いて首をかしげた。
「確かにいい物だが……たったの3万ゴールドか?」
「ああ、拳ってのは殴るのが当たり前だろ?盾なんか無くても問題無いから、誰も使わないんだ。」
「それで安売りか。なら、俺が買ってもいいか?」
「おっ!ありがたい!それならオマケでこれもやるよ!」
店主がオルガに渡した物は、グローブについているものと同じ、金属の板である。
「いいのか?これも貰ってしまって。」
「いいってことよ!応急用の板だから、傷んできたら交換してくれ。板は魔力があれば直せるが、こういう予備はあって損する事はないから、持ってってくれ!」
「ありがとう!遠慮なく使わせてもらうよ。」
オルガは店主にお辞儀をした後、グローブと予備の板を受け取り、店を出た。
「さて、そろそろ皆と合流するか。一度戻らないとな。」
オルガは手に入れたグローブを大事そうに抱えながら、市場の入り口に駆けていくのだった。




