昇格試験!
冒険者のダンジョン研修が終わってしばらく後。スノウとオルガは二人で冒険者協会に向かっていた。
「ついに初の昇格試験だな。だいぶクエストも受けたし、最初に組んだ時より力もついてきたんじゃないか?」
「ですね!ここが一つ目の山場、絶対に成功させましょう!」
「ああ!」
二人は意気揚々と受付に向かう。そこではいつも通り、クリスがクエストの受付を行っていた。ふとスノウは、そこで一人の女性を見かけた。
「気をつけてくださいね。……さん。」
「心配し過ぎよ。すぐに終わらせるから安心して。」
「しかし、今回はBランククラスの依頼です。油断しないように、ね?」
「忠告感謝するわ。それじゃあ、行ってきます!」
フードを深く被り、どんな風貌かは分からなかったが、そこで二人はすれ違った。
「あ、失礼します!」
「……!!」
身体が掠りスノウは謝罪したが、その女性は何事も無かったかのように、その場を後にした。
「あの人、凄く強そう……。あんな風に早くなりたいなあ!」
「だったらもっと強くなるぞ!……って本題からズレてるよな。まずは昇格試験だ。」
「……忘れてた!行きましょう行きましょう!」
「クリスさん!おはようございます!」
「おはよう二人とも!今回いよいよ昇格試験でしょ!?早速マネージャー連れてくるから!」
「お願いします!」
協会に着いた二人はクリスに声をかける。すると彼女はフーシャを探しに奥に入っていき、すぐにフーシャを捕まえて戻ってきた。
「眠いフミャ。お休みなさいフミャ。」
「駄目です!依頼の説明をお願いします!」
「依頼……?……あっ、フミャ!?二人とも昇格試験フミャね!?忘れてたフミャ!」
「忘れてたのか……。」
「そんな日もありますよね。」
フーシャは協会の奥で顔を洗い、目を覚ましてから改めて説明を始めた。
「フミャ!それではきみ達に昇格試験を言い渡すフミャ!一応説明すると、昇格試験は上がるランクのクエストを受けてもらうフミャ!ちょっと難しいから、しっかりと警戒しながら遂行するフミャ!」
「あれ、私達Fランクですけど、Eランクのクエストも受けてますよ?一ランク上なら普段と変わらないのでは?」
「まあ、そう思うフミャよね。上のランクに慣れてれば、そのランクの昇格試験も楽になるフミャ。無理のない範囲で挑戦して、力をつけとくフミャ。それでは発表フミャ!きみ達が受けるクエストは……これ!」
そう言ってフーシャらは二人に依頼書を手渡した。
「獣の街ケモリアからのクエスト!ゴブリンキング討伐フミャ!」
「獣の街?」
「フミャ!獣人の皆様が暮らしている街フミャ。ここが最近ゴブリン達の襲撃を受けてるから、やっつけて欲しいフミャ!」
「私達だけで!?出来ますかね……?」
「もちろん二人だけじゃ無いフミャ。他にも昇格試験を受ける子がいるから、一緒にお願いするフミャ。それではこちらにどうぞフミャー!」
フーシャが呼ぶと、一緒にクエストを受ける冒険者が部屋の奥からやって来た。……そこで現れたのは小さい手斧を持った、獣の耳を生やした冒険者だった。毛皮で出来たコートを被った、茶髪の少年である。
「さ、挨拶して下さいフミャ。頑張るフミャよ!」
「は、はい!」
「僕はナッツ・スクワール!今注目の冒険者!……になる事を目指してるんだ。よろしくね!」
自己紹介をした少年……ナッツは、深々と頭を下げた。
「私はスノウ・ミストホワイトです!よろしくお願いしますね!」
「俺はオルガ・オーガル。よろしく頼む!」
3人がそれぞれ挨拶すると、フーシャは笑顔で3人に宣言した。
「それでは、昇格試験を開始するフミャ!成功目指して頑張って下さいフミャ!」
「はい!」
その後三人は受付で手続きを終え、クリスと会話をしていた。
「クリスさん!今回のゴブリンキングって、どんな相手なんですか?」
「ちょっと待ってね……よし!いいかな?ゴブリンキングは名前の通り、ゴブリンの王様よ!頑強な肉体と武器を扱う頭脳を併せ持つ強敵!これを倒せれば冒険者としては一人前ね!」
「一筋縄ではいかなそうだ。しっかりと準備をしてから行くか。」
「きっちりと準備しなよ!もしもがあったら大変だから!」
まだ見ぬ強敵の話を聞いて、武者震いしているオルガ。そんな彼を見て、スノウも決意を固めていた。
「必ずクエストを成功させて、獣人の皆さんの平和を取り戻します!」
「うん!僕も頑張るよ!」
「その意気よ!皆ならきっと出来る!頑張ってね!」
こうしてスノウ達の、新しい冒険が始まるのだった。




