氷の魔槍
「お前はここで仕留める!これ以上皆を傷つけるな!」
「ギ、ギェェ……。」
スノウから放たれる魔力にギガマンティスは一瞬怯んでいた。彼女が一歩近づくと、自分は一歩下がる。しかし、すぐにこの状況に慣れ、再び彼女に鎌を向けた。
「ギェェェェ!!」
振り下ろされる鎌。しかしそれは槍に防がれた。スノウは必死に槍で受け止め、押し込まれない様に抵抗していた。
「このっ……そこだっ!」
「ギェェ!?」
彼女が槍を振り上げると、その衝撃でギガマンティスがバランスを崩した。
「アイスバインド!」
「ギェ……ギェェェェェェェェ!!」
すかさず氷で両腕を拘束する。攻撃の手段を失い、抵抗出来なくなったギガマンティスは、先程までの勢いが無くなり、後ろを向いて走り出した。
「逃がすものか!」
スノウは背を向けた敵に向けて槍を構え直す。先端に一気に魔力を集中し、敵に向かって投げつけた。
「穿て、フリージングランス!」
「ギェェ!?」
投げられた槍は吸い込まれるようにギガマンティスに命中し、体を凍らせる。
「ギェ……ェェ……。」
一気に凍った体にはだんだんとヒビが入り、しばらくすると轟音と共に崩れ落ちる。それと同じタイミングでスノウもその場に倒れ込んだ。
「ハァ……ハァ……。勝った……。勝ちました、よ……。」
「スノウ……しっかりしろ!」
「ちょっと!これどういう事よ!?」
後ろから現れたのはレイである。ようやく合流した彼女が見たものは、大怪我を負っている四人の姿だった。
「やっと合流したか!頼む、早く教官の所に……!」
オルガが言い切る前に、ダンジョンの入口側の通路から足音が響いてきた。
「見つけたぞ!大丈夫か君達!」
「私は大丈夫よ!それより皆を!大怪我してるのよ!」
「了解だ!すぐに転移する!」
合流したガルスは皆に転移水晶を握らせ、魔力を込める。すると体が光りだし、その場から消えていった。
「次は君だ!早く水晶を使いたまえ!」
「ええ!」
ガルスに促され、レイも水晶を使って転移を開始する。やがてこの場には誰も居なくなり、残されたのは凍ったギガマンティスの欠片だけになった。
「……遅い。やはり私も行くべきか!……ん、これって!?」
クリスが皆の帰りを待ちわびていると、目の前に光の束が現れる。そこから出てきたのは、ガルスと取り残された5人だった。
「皆、無事だったのね!……って、酷い怪我じゃない!やっぱりギガマンティスに!?」
「できるだけ早く協会に戻るぞ!救護班を呼ぶ準備をしてくれ!」
「それはもう終わってるわ!皆さん、お願いします!」
「「ハッ!」」
事前にクリスが手配していた救護班が、ます4人を保護し、馬車に乗せて協会まで連れて行く。それに続いて、クリス達も協会に帰還するべく馬車に乗った。
「次は貴方です!こちらに乗ってください!」
「お願いするわ……。それより、4人は!?」
「皆怪我をしてますが、これなら大丈夫です!鬼の子は一番酷いですが、一番に治療するから、きっと元気になります!」
「本当!?良かった……。」
レイも救護班に馬車に乗るよう促され、その馬車に乗り込む。皆を乗せた馬車は、冒険者協会に一目散に駆け出していった。




