行き止まり、八方塞がり!?
ダンジョンの奥にドンドン進んでいく5人。敵を倒しながら先に進むと、他の冒険者が集まっている場面に遭遇した。どうやらここが最深部のようである。自分達が来た通路とは別に、幾つかの通路が目に入った。
「さっきの分かれ道、最後はここに繋がるんですね。それなら、ここが最深部ですね。」
「あれは……他の冒険者さん……。ここで行き止まりでしょうか……?」
「どれ、ちょっと行ってみようかのう?」
スノウ達が冒険者の方に向かうと、大声が響いてきた。
「クソっ!お宝なんて何にも無いじゃねぇか!これじゃ研修が終わらねえぞ!」
「どうすんのよ!こんな奥に来ちゃって!帰ろうにも帰れないわよ!」
「おい、白マップ持ってないか!?地図があれば引き返せるだろ?」
「そんなの持ってないよ!」
戸惑う冒険者達が言い争いになるのを見て、リゼが思い切って声をかけた。
「あ、あの……。」
「あ!何だお前ら!?」
「あっ、その……。皆さん、これを……。」
リゼはその場に居た冒険者達に、転移水晶とモニタ君を配り、用途を説明した。
「何よこれ?水晶と、モニターかしら?」
「この水晶で地上に帰れるって、ガルスさんが言ってました……。あと……このモニタ君で、ダンジョンの映像を地上に送れるそうです……。」
「へえ、便利な物ね。……で?何でアンタがこれを持ってるのよ?」
「えっ?」
突然の問いに戸惑うリゼ。そんな事を聞かれると思ってなかった彼女は言葉が詰まってしまう。
「おっ?特別扱いか?気に入らねえな!ちょっと顔貸しな!」
「キャッ!」
「おい、いい加減にしろ!」
一人の冒険者がリゼに掴みかかるが、それをオルカが制止する。
「何だ、さっきの化け物じゃねぇか!離しやがれ!」
「離すのはお前だ!これ以上彼女に迷惑をかけるな!お前達の為に持ってきてくれたんだぞ!」
「……チッ!わかったよ!」
冒険者は乱暴にリゼから手を離すと、再びダンジョンの奥を見て呟いた。
「しかし……このままじゃいつまで経っても終わらねえ。どうするか……。」
そう言っている冒険者の手には、どういう訳か水晶が2つ握られていた。
冒険者達が集まれる程の大部屋。しかしダンジョンの最深部にしては、何も無さ過ぎる。
「ねえ、何かこの部屋、おかしくない?」
「どうしたんですレイさん?」
「何か今までの部屋と違うの。天井が見えないのよ。こんなに高かったかしら?それに……最深部ってお宝とか魔物とか、何かしらあると思うけど、本当に空洞なのよね……。」
「本当です!他の部屋に比べて高すぎます。……ん、何だろう。上から変な音しませんか?」
レイに言われてスノウが上を覗くと、確かに天井は見えず、ずっと暗闇が続いていた。更に、上からは謎の音……ガシャン、ガシャンと、まるで刃物同士を打ちつけているような音が聞こえてきた。
「何か不気味ですね。嫌な音です。」
「遠い天井、刃物の音。……もしかしてここって、魔物の巣!?しまった!皆!早くこの部屋を出るのよ!」
「どういうことだ!?最深部が巣になってるのか!?」
「とにかく急いで!不意打ちされるわよ!」
……レイが大声を張り上げると同時に、彼女の上に鎌状の影が現れ、それが下に落ちていった。
……シャキン。
「えう?」
変な音と冒険者の気の抜けた声。何事かと皆が後ろを振り向くと……。
「……い、嫌ァァァァァァ!!」
女性冒険者の悲鳴が響き渡る。そこには大きな鎌と、首の取れた冒険者が立っていた。それはフラフラしながら歩いていたが、やがてその場に倒れ込む。
そこに大型の魔物が覆い被さり、口を近づけた。そこから聞こえるのは肉や骨を砕く音。何をしているのかは容易に想像できた。
「な、何だよあれ!ここは研修用のダンジョンだろ?何であんな魔物が居るんだ!!」
「ギェ?ギェェ!!」
「ヒッ、来るな、来るnグェゥェ!?」
逃げようとした冒険者に魔物は刃物を射出する。それは冒険者の体を真っ二つにし、それぞれが肉の塊となって飛び散った。
「ギェェ!!」
「唸れ!アクセルブースト!!」
「ギャッ!?」
レイが魔物に向かってハルバードを打ち込み、動きを封じる。そして再び大声を張り上げた。
「何してるのアンタ達!早く転移水晶を使いなさい!」
「で、でもよ……。まだお宝……。」
「ふざけた事言ってんじゃねえ!テメェの命より大事なモンがあんのか!?早く逃げろって言ってんだよ!」
「は、はい!」
レイの発破で皆一斉に転移水晶に魔力を込める。すると体が光りだし、やがて光の粒子になって消えていった。
「行ったな!後はアンタ達よ!早く行きなさい!」
「はい!転移水晶、起動します!」
「ちょっと待つのじゃ!リゼちゃん、お主転移水晶持ってないじゃろ!?」
「あっ…!無い……!水晶が無いです……!」
「さっき絡まれた時か……!落ちてないか!?」
オルガとジンが辺りを見渡すが、転移水晶は何処にも見当たらない。
「あの野郎!この非常時に盗んでいったのか!?」
「どうします!?一度誰かが退いて、水晶貰ってきますか!?」
「何でもいいから急いで!もう限界よ!」
魔物はハルバードを徐々に持ち上げ始めている。レイも必死に抑えているが、今にも押し退けられそうである。すると、電源を入れていたモニタ君から、突然音声が流れ出した。
「おっ!通じたか!そこの君達、大丈夫か!?」




