3/29
第3話
螺旋階段っていうことは、ぐるっと一周回ると元の位置の一つ上の階に戻ってくるっていうことだね。
当然、この階段もおなじことで、数字が一つ進んだドアの前に来ることができたんだ。
そのドアは鍵でもかかっているかのようにしっかりと閉められていたんだけど、さらに上へと登っていくうちに、ドアの前の踊り場のようになっている平たいところから次の階までの階段の段数が12段であることに気づいたんだ。
つまり、1段1か月、1週回って1年間ということだね。
これに気づいたのも、ある年のドアを開けることができたからなんだ。
そのドアっていうのが、僕がテック・カバナー財閥とかかわりを持つようになった年だったんだよ。
そして僕がそのドアを思い切って開けたことで、僕の平々凡々としていた人生も大きく変わっていくようになるんだ。