第2話
あれは、僕が8年生だったころ。
親が共働きで、もうシッターも来ていなかったから一人で家にいたころの話。
少しばかり腹が弱かったていうこともあって、トイレによくこもっていたんだ。
もっとも、当時はスマホのようなものはなかったけど、携帯ゲーム機はあったからね。
それをトイレに持ち込んでよくゲームをしていたものさ。
それである日のこと。
いつものようにトイレが終わると外に出ようとしたんだ。
その時、強烈な違和感を覚えてね。
なにかっていえば、完全に外の音がないんだ。
君は完全な無音の状態というのを経験したことがあるかい。
ない?だろうね。
想像もできないほどの違和感だよ、音を知るものから音を取り除いた時というのは。
そのおかげで一瞬ドアを開けるのをためらってしまった。
運がいいことに手だけは洗えたし、水は流せれ蓼少し安心することはできたけどね。
ドアを開けた時、そこには巨大な螺旋階段のような空間が広がっていたんだ。
僕が出たドアのうえには、その時の年数が描かれていたな。
下は少ししたら床が見えていたけども、上を見上げたら無限にも近い、つまりは天井が見えていなかったっていうことなんだけど、高さがあったんだ。
それで僕はまずは上を目指して上がっていくことにしたんだ。