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第10話
彼らが死ぬということは、実はというとわかっていたんだ。
あのトイレのドアを通り、未来へと行くと彼らの葬式があったっていう時へとたどり着いたことがあったんだ。
(それって未来ですでにわかっていたのに回避できなかったのですか、と私は聞いた)
ああ、そうなんだ。
彼らが死ぬことはわかっていたが、どうしても回避できないものだった。
大学1回生で僕らは株式上場した。
莫大な資金は不必要な人らも招いてしまう。
その不必要な人らはマフィアだったり、麻薬ディーラーだったり、よくわからない人らだったりするわけだ。
僕らはそういった人らとは一線を画すために、いろいろな外の、いわゆる健全な職業の人らとよく合っていた。
お堅い人といってしまえばそれまでだが、そのおかげで、僕は生き延びることができたということもいえるし、彼らは死んでしまったともいえる。




