その4.長女、妊娠……そして出産(part3)
リアルに育児に余裕がなくて遅くなってしまいました。
いよいよ今回は長女出産時のお話。
無事につわりを乗り越え、検診でも順調な成長を確認しつつ、出産予定日が近づくにつれて私も妻もドキドキ具合が増してました。
期待と、不安。どれだけ成長が順調でも、いざ出産となると何が起こるか分かりませんし、どのタイミングで陣痛が来るかも不明。コロナ前でしたので、私が職場で仕事をしてる途中かもしれないですし、夜中かもしれません。予定日前かもしれないですし、予定日を過ぎても生まれないことだってあります。
もう予定日一週間前くらいから落ち着かないこと落ち着かないこと。ソワソワしながらも日常を過ごしていて。
そしてその時はやってきました。
令和1年11月11日。予定日よりも2日早いその日の早朝5時。
大きなお腹を横にして眠る妻の隣を抜け出し、私は一足早く起きて出勤の準備をしてました。
いつもと同じ朝でしたが、妻が突然起き出して慌てた様子でトイレに駆け込みます。そして放たれたセリフ。
「破水した!」
……いや、もう焦りました。大焦りです。まさかこのタイミング、しかも陣痛より先に破水とは。(妻曰く、寝てても気づくくらい「パチンッ!」という音がしたとのことでした)
しかし慎重派かつ心配性の私。事前シミュはバッチシです。
陣痛が来た時の動きの流れも、タクシー会社の電話番号もパワポでデカデカと作成してリビングの壁に貼ってました(笑)
妻には病院とタクシー会社に連絡してもらいつつ、私の方は予め準備しておいた入院セット、その他準備を進め、到着したタクシーに乗り込み病院へ。
ただし病院へはタクシーでも1時間かかるため、道中は冷や汗でした。
それでも移動中に強い陣痛を覚えることなく無事病院へ。この時点で朝6時半。
そこから妻は陣痛室へ。一方の私はというと――
「あ、旦那さんは帰っていいですよ」
――とまあ、お前はいらね、とばかりに助産師さんに言われました。
立ち会い出産を希望してましたし、陣痛中のパートナーの腰とかを擦ったりするのをドラマやマンガで良く見かけてましたので、自分もその覚悟でいましたが、出産する病院は陣痛室は夫も入れない規則だったようです。(分娩室は入れる)
それでもそんないつ生まれるか分からない状態で帰る気持ちにもならないので何時間かかろうが待つ気概でいたんですが、
「大丈夫です、まだ半日くらいかかりますから(笑)」
と、若干小馬鹿にされたような言われ方(注:完全なる主観)をされ、すごすごと退散することに。
まあ普通何時間もかかりますし、人によっては一日以上かかるって言いますし。出産が近づいたら連絡してくれるとのことで早朝の街へと一人放り出されました。
とはいえ、すんなり帰る気にもなれず、とりあえず朝飯食って帰ろうとプラプラするもまだ朝の7時。当然店なんて開いておらず、かといって落ち着かないのでしばらくは禁煙してたタバコに手を出して時間を潰してました。
そこに。
「ピコン♪」
LINEメッセージの通知が鳴りました。誰からだろうと確認すると妻の名前が。
メッセージ画面を開くと、ただ一言。「いたい」と。しかもひらがなで。おまけに連続で次々と「いたい」「いたい」「いたい」とだけ送られてくるわけです。
……もうね、若干ホラーですよ。何が起きてるかは即座に理解できましたが、電話を掛けてもただひたすらに「いたい」「いたい」と壊れた機械みたいに繰り返すばかりで、何も言われずとも急いで病院に戻りました。
で、病院に着くと先程小馬鹿にしてた(注:完全なる主観)助産師さんが私を見つけるなり血相を変えて呼びつけるわけです。
「こっち! 旦那さん、こっち!!」
もうすでに妻は陣痛室→分娩室へ移動済み。分娩台の上で無言のまま荒い息を繰り返す妻がおりました。
なお、後で聞いたところ、メッセージを送ってきた時にはすでに子宮口は全開だったらしいです。たった30~40分で子宮口が4cm→10cmまで広がったそうな。
つまり、もうちょっとのんびり病院に行ってたor渋滞に巻き込まれて到着が遅れてたらタクシー内が阿鼻叫喚の車内模様になってたかもしれない、というわけですね。いや、ホント運が良かった。
そんなこんなで、大体朝8時前くらいでしたかね。分娩室に私も入りまして、できることと言えば痛い、痛いと繰り返す妻の手を握って「大丈夫、大丈夫!」と励ましたり、ペットボトルの水を飲ませてあげるくらい。実に無力。
ちなみに、個人差はあるでしょうが出産の時の痛みは、手足を切り落とされた時と同じくらいの痛みレベルなんだとか。それに耐えて子供を生んでくれた妻にはつくづく感謝と尊敬しかありません。
さて。
ここから実際に生まれるまでに何時間もかかったりなんてこともよくある話で、そりゃ動けなくなるくらい体力を消耗するのは当たり前です。いったいいつ生まれるんだろう、と明らかに正常じゃない様子の妻をただただ励ましてたわけですが。
生まれました。あっさりと。
破水してから約4時間。陣痛が始まってから約2時間。健康優良児な女の子が無事に生まれてくれました。
生まれた直後は、今振り返ればあまり実感がありませんでしたね。
ただ疲れた様子の妻と、その隣に寝かせられた我が子を見ていると、ただでさえ緩い涙腺がさらに緩んだ記憶はあります。
我が子はタオルに包まれ、その後は妻の産後の処理のために私へと渡されました。
思ったのは――すごく軽かったです。そして、小さかったです。
想像以上に、小さかったです。決して標準に比べて小さいわけじゃなかったですが、とても小さくて、腕や脚なんか簡単に折れてしまいそうなくらい細く感じました。
ああ、この子は守らなきゃ。ぼんやりとそんな気持ちになりました。
ところで。
出産が半端ない痛みだってことは事前に知ってましたし、本当は無痛(和痛)分娩で出産をする予定でした。
が、麻酔処置ができるのは定時間内のみ。つまりは午前9時から午後5時までの間。そして生まれたのは――午前9時過ぎ。
はい。間に合いませんでした。
とはいえ、猛烈な痛みに耐えきった当の妻が「お金が浮いた!」と喜んでたので、それもまた良しということで。
ということで、今回はここまで。
次回あたりから、何かしらテーマを決めて書いていこうかと思います。
それでは(・ω・)ノ
普段はファンタジー書いてます(宣伝)
よろしければ、作者のマイページからそちらも楽しんで頂ければ嬉しいです。
「魂喰いのアーシェ」(完結済み)
「最強な裏切り姫は斯く抗う」(2022年1月現在連載中)
その他、知りたいテーマとかあれば、私の体験した限りそのテーマで書いてみようと思いますので、リクエストがあれば遠慮なくどうぞ。