6【魔法の先生】
先生が来た。
格好は普通に想像していた魔法使いのかっこいい版って感じ。
けど重要なのはそこじゃなくて………
いやイケメン過ぎるだろー!
私の兄弟と比べても遜色ないイケメン度合い。
いやいや、私の兄弟の方がもっとイケメンだし。
はぁー。
多分この魔法使いもゲームの攻略対象なんだろう。
ここでも私ライバルになるんだろうな。
なんかこの先生のイケメン度に惹かれて子供ながらにずっと恋してて、
才能溢れる主人公の可能性を伸ばしたいだかなんだか言って
マリンのもとを離れたものの、
マリンが先生を奪われたと逆恨みして
………みたいな?
いやこれはそうなるわな。
私は都合の良いことにイケメンを日常的にみて見慣れているからセーフセーフ。
私を殺すor 追い出す可能性がある人だから、
第一印象が大事!
にっこり令嬢スマイルで One Two Three !
「お初にお目にかかります。
わたくしはノーブル公爵家長女マリン:ノーブルですわ。
貴方様のような才能溢れるお方に指導して頂けるなんて
恐悦至極に存じます。
これからよろしくお願いいたしますわ。」
すごくびっくりした顔をしていらっしゃる。
何か言葉選び間違ったっけ?
「貴方は私がどこで働いているかをご存知なのですか?」
なんで今その質問なのー!
どこを間違ったか教えて〜!
「いえ。わたくしの使用人は素性を知られたくない方なので
変に詮索しないでくださいねとしか言いませんでしたわ。」
やばい!さらに表情が険しくなっていく!
「えっと、ではなぜ私を才能溢れると言ったのですか?」
「漂う魔力の量と密度がそこらの魔法使いの何十倍、
いや何百倍も凄いのですもの。
年齢が私が視認しているものより上だったとしても
その若さでそれは物凄い才能としか言いようがありませんわ。」
まってまってなんか失言した?
イケメンがすごい眉間に皺寄せて考え込んでいるんだけど?
教えてってば〜!
「作法は完璧、言葉遣いは大人顔負け。
恐悦至極などどこで習ったのだろう。
詮索という言葉を二歳の子供に普通のメイドが使うだろうか?
そこまでを周りのメイドのおかげだとしたとしても、
魔力量やその魔力の密度なんて子供が見えるのか?
何歳なんだ?
家庭教師を頼んできた者は一度も魔法について習った事がないが
才能は兄達の何倍も上と言っていたよな。
ノーブル家の後継達の優秀さは凄まじいのに更に上?
そして隠蔽しているはずのこちらの魔力量は見透かされているのに、
こちらは魔力の底すら見えぬ膨大な魔力。
隠蔽している私の魔力は私より倍以上の実力と魔力がない限り
男爵レベルの魔力にしか見えないはずなのに
全てを見透かされていると?
つまりこの少女は私より何倍も強いってことになる。
教える事が狭まるな。
というより教えることなんてあるのか?」
ブツブツ言ってるけど何も聞こえない。
授業が始まらない!