オシャレも武器と言うけれど……
少しずつ城に近づく雰囲気に気持ちが沈む人魚姫。
結婚式に参加するにはまず、“あれ“が必要です。
今回は、人魚姫の容姿についても触れています
!Σ( ̄□ ̄;)
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
(外はとってもいい天気・・・それにしても、こんなに近くに城があるなんて……)
外の景色はいつの間にか城下町に変わっていた。
ふと、窓ガラスに自分の姿が反射し写りこんだ。
結婚式に参加するには、私の姿は正直ボロボロで汚い……
王子の憐れむ表情が浮かびイラッとしてしまった。
(無性に腹が立つ……やっぱり顔、会わせるの嫌だから逃げたいな)
目の前の(狼)王子は、堂々と家来とヒソヒソ話中だ。
深呼吸をする。
(……やっぱり、このまま結婚式行くの嫌。うん、そうだ、逃げる隙を見つけてやっぱり逃げよう!)
ガタン
馬車が止まった。窓から周りを見回しまだ城内ではなさそうだが建物がいくつも並んでいた。
ガチャリ
馬車の扉が開く。
そこには、タキシードを着た人が立っていた。
その人は、白いストレートヘアを首もとで束ね中性的な顔立ちをしていた。
「お待ちしておりました♪こちらのお嬢様のドレスをお選びすればよろしいのでしょうか?」
声だけ聴くと女性な様な気がする。
「クォン!」
「かしこまりました!」
毎回思うのだが、なぜ皆この(狼)王子の言葉がわかるのだろう?
タキシードの人物が、丁寧に馬車から降りる手助けをしてくれた。
その後、いくつかの建物を歩いて過ぎ小さな洋服店に案内された。
中は思ったより広々として色々な機械や布などが小綺麗に並んでいた。
(狼)王子達も洋服店の中についてこようとしたが、マナー違反だと女性に言われしぶしぶ諦め外で待つことになった。
「さて、これからドレスの採寸を行います。ふふっ。楽しみですね。こんなきれいな方のを作れるなんて腕がなります」
ふと、その言葉で鏡に映る自分の容姿に自然と目がいった。
海のような青い瞳に、髪の色。透き通るようなきれいな肌。それからほっそりとした体型に胸は、平均くらい……だと思う。そして、顔は、柔らかい感じの幼さが残るきれいな顔立ち・・・まぁ、まとめると、今の私は美人さんだと感じた。
ドレスのサイズや色あわせをしたりとあわただしい作業に気がつけば、眠気と闘っていた。
“あとは、ゆっくりしてください“と言われた時には正直その言葉に甘えて眠ってしまうほどだった。
「できました!」
ビクッとその声に目が覚めた。
目覚めると、もうすでにドレスが仕上がっていた。
瞳と髪の色に合わせた薄い青色のきれいなドレス。
(そういえば、転生前は、こんなドレスに憧れたこともあったけ?)
少しだけ心がウキウキするのを感じた。
だか、その気持ちは長くは続かなかった。
「結婚式の参加頑張ってくださいね」
(はっ、忘れるとこだった!)
「………」
ドレスをそっと脱ぎ、もとの服へとさっと着替える。
「どうしましたか?気に入りませんでしたか?」
心配気な姿に心が痛む。
だけど、今しかない。
(今なら、見張りはいない。今しかない!)
「すいません。私には履けません……」
出口に向けて走り出す。
扉を開こうとしたら、扉が開いた。
ゴンッ
扉におでこがぶつかり反動でペタンと座り込む……
「クォン!」
しっぽフリフリ(狼)王子がそこにいた。
痛みに耐えながら落ち着きを払って伝える。
「えっと、通してください?」
(狼)王子は首をフリフリした。くっ、その姿、可愛気があってなんかムカツク。
それに、脱走失敗した……
「うっ、(音がならない舌打ちをする)逃げられないみたいだし、着替えるから出て行って!」
(狼)王子は嬉しそうに外へ出ていった。
サッとドレスに着替えると、太ももに何やら変な違和感を感じた。
「ん?」
ドレスのなかを確認しようと少しめくる。
「あっ!いい忘れていました!実はですね、このドレス他のドレスと違っていまして……」
ドレスについてまくしたてるように説明が始まった。
「……なかなかすごいですね」
「えぇ、自信作なんです!このドレスが役に立ったら嬉しいです!世の中物騒だからこれくらいはしなくっちゃね♪おしゃれは、乙女の武器ですよ♪ウフフ」
(ドレスだけの力とは言えないと思うのだが……)
「……そうですね」
(ガチの方で使う場面があればそれは、事件になんじゃ……うん、気にしたら負けなような気がする)
人魚姫は、ドレスの秘密をそっと胸にしまった。
結局諦めてドレスに着替えて馬車に乗る。
(逃げる隙が全くなかった。でも、式には参加したくない……神よ、なぜ私に試練を与えるのですか?)
外の景色をみながらため息が漏れた。
外からの晴天の日差しが気持ちいいが、気分は相変わらずだった。
最後までお読みいただきありがとうございます♪
話がズルズルと前に進まず申し訳ないです。
予告としては、王子の婚約者が次回登場します