一難去ってまた一難ってどういうことですか!?
助けがきたと一安心した人魚姫だが……
どれくらい時間がたっただろう?
見張りがなにか話しながら急いでどこかに向かっていく様子をボーと見つめた。
アスナは、疲れたのかぐっすりといつの間にか眠ってしまっていた。
(見張りの様子……何かあったのかな?)
ドレスをギュッと握りしめる。
(大丈夫……)
瞳を開き鉄格子から漏れる外の光の方へ何となく近づく。
タッタッ
(……見張りが戻ってきたのか……)
視線を入り口に向ける。
「……!」
入ってきた人物を見て、ほっとした。
「こちらにおられましたか!ご無事で何よりです」
そこには、王子(狼)の家来たちがいた。
「よかった……」
牢屋の鍵が外れて外に出る。
アスナも、目を覚まし助けがきたことでほっとしていた。
同時にからだの力も抜けたようで、その場から動けなさそうだった。
「ご無事に再会できたこと本当によかった。ただ、城内はとても危険な状況でして、まだこちらにいていただく必要があり……」
家来の一人が、私たちがさらわれている間の状況を教えてくれた。
(確かに、ここにいた方が良さそうだけど……私たちに戦うことはできないし)
無意識に表情が曇っていたのだろう。
家来の内一人がここに残ることになった。
残りの家来たちは、王子(狼)のもとへと向かっていった。
これまでのことを家来と話していると、急に悪寒に襲われた。
「!」
周りを見渡す。
部屋のなかの影がグニャリと歪む。
それと同時に紫のもやが辺りを包む。
「……影が、動いたような、それにこの煙は……」
とっさに息を止める。
家来の方に視線を戻す。
「うっ、これは、毒……お二人吸ってはいけません!」
家来は、私とアスナを肩に抱えて靄がない方へと走った。
そして、靄がなくなるところまでくると、周りの安全を確認してそっと下ろしてくれた。
そこは、隠し部屋の様なところだった。
「お二方なんともないですか?」
「私は、なんともないけど、アスナと貴方は……」
家来の人の顔色は、真っ青になっていた。
少し体が痙攣しているように見える。
アスナは、いつの間にか気絶していたが、顔色が悪い。
毒を大量に吸ってしまったのだろう。
急いで紫のマカロンを取り出し三等分にして、二人に渡した。
私も一欠片食べる。
「ありがとうございます、ですが、すぐには動けそうにありません……」
家来が、申し訳なさそうな、悔しそうな表情を浮かべる。
「私が、他の方にテレパシーを送って見ます。どうか、今は安静にしていてください」
青のマカロンの残りを取り出し食べる。
王子(狼)を思い浮かべながら今の状態を繰り返し伝える。
二人の様子を見る。
毒に強くなるマカロンの効果はいつまで続くかわからない。
特に家来の方は、毒の周りが早いように感じた。
(私は、なぜか、毒の効果がまだでていない。ここにいてもできることはないし)
歯を食い縛る。
(目の前でこのままじっと見ているだけは嫌だ。外は危険かもしれない、でも、このままでは……)
ふと、周りを見渡すと、運良く外へと続く窓があった。
鉄格子が固定されているが、鳥一匹は通り抜けられる大きさだ。黄色の半分残ったマカロンを見る。
黄色のマカロンは、鳥になれる。
これなら、目立たずに助けを呼べるかもしれない。
黄色のマカロン残りを全て食べる。
体が鳥になったと同時に、鉄格子の隙間から外へとでた。
更新は不定期です!Σ( ̄□ ̄;)
ご迷惑お掛けします(;>_<;)




