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現代のRPG - Continue! -  作者: 琴救(きんぐ)
2/8

save2 ②―クエスト受注!


 茶屋ヶ坂さんは久しぶりに戻って来た部室の備品を懐かしそうに覗いていた。

「あ、これ。俺が勇渚ちゃんに書いてあげた"勇者の剣"じゃん! 大事にしてくれてたんだね。」

「もちろんッスよ、遊さん! 一生の宝物だもん!」

 "勇者の剣(笑)"と手書きで書かれた竹刀を見て、茶屋ヶ坂さんは本郷さんに見られないよう後ろへ振り向き腹を抱えた。

 この人が本郷さんに(笑)を"勇者の印"と偽った張本人か。性格悪いな。

「――ん? 珍しい人が来ているな。」

 そこに栄 先輩が部室に戻り、茶屋ヶ坂さんと挨拶を交わした。

「智くん、久しぶり! 相変わらずイケメンだね。うちの店で働かない?」

 栄 先輩はしばらく考えた後に、茶屋ヶ坂さんに返事をした。

「……"賢者モード"に入る時間を頂けるのでしたら。」

「あぁ……女の子と話していない時にならね。良いよ……」

 先輩賢者はいつだって充電フル稼働らしい。

 そんなことよりも俺はRPG部の活動内容について、茶屋ヶ坂さんに聞き出したかった。

 俺が茶屋ヶ坂さんに声をかけようとすると、彼の携帯電話にまたもや着信音が鳴った。メールが届いたようだ。

「おっと、"本命の子"からの呼び出しが来ちまった。俺帰るわ。」

「踊り子枠の赤池(あかいけ) 先輩ですか? 元気そうで何よりです。」

 栄 先輩は去年もRPG部にいたため、先代の面子も知っていた。"踊り子"枠に誰かがいたのか。そっちの方が驚きだ。

 そうして、茶屋ヶ坂さんは急いで部室を後にした。結局、俺はRPG部の謎についてOBに聞くことができなかった。

 

 翌日、部室の風景はいつも通りに戻っていた。俺は鶴舞さんと何気ない話をし、本郷さんは携帯ゲームに夢中で、栄 先輩はノートパソコンの画像を見ては"賢者モード"のため部室を出るを繰り返す。

 俺は少なからず焦燥感を抱いていた。部活がそれらしい活動をしていないことに。

 俺はこのままでいいのだろうか。何もないまま、高校二年目を終える。もっと、青春を謳歌できるものが欲しかった。

 俺が求める願望、それは向こうの方からやって来たのだった――。

 部室の扉に誰かがノックをした。鶴舞さんが引き戸を開け、その人物を中へ通した。

「あ、出たな! 魔王!」

 FF校の生徒会長、本郷ほんごう 真緒まお先輩。自称勇者の実の姉だ。学年成績トップで美人なため、校内きっての有名人でもある。

「その呼び方は止めなさいって、あれほど言ったわよね?」

 出会い頭に失礼な挨拶をした妹に、きついお仕置きをする生徒会長。その姿はまさに"魔王"様だ。

 自称勇者を一瞬で気絶させ、お仕置きを済ませた生徒会長はRPG部に訪れた本題へと移った。

「貴方達に活動依頼があります。」

 生徒会がRPG部に依頼とは珍しいな。何かあったのかな。

 いや、待て。確かにさっき、はっきりと"活動"依頼って言ったいた。もしかして。

「一ヶ月後に開催されるFF祭のステージにて、生徒会と合同でバンドを行ってもらいます。」

 俺がRPG部に入って初の部の活動が行われようとされていた。

 

 生徒会長は俺達に詳しく、依頼の内容を話してくれた。

 富士宮フロンティア高等学校の学祭、通称"FF祭"で去年、生徒会の有志によりバンドが行われた。それが好評だったため、今年もバンドをやろうと議会で決まった。

 しかし、残念ながら軽音部などの他の部活はみな忙しく、生徒会も運営で人員が足りなかった。

 だからRPG部に"クエスト"――活動依頼をする事にした。 

「生徒会長はRPG部が何をする部活なのかご存知なんですか?」

 俺はおもむろに聞いてみた。生徒会長は丁寧に教えてくれた。

「RPG部は本来、生徒会の補助や問題の解決をする部活よ。」

 今までは問題がなかったから、活動依頼がなかった。つまりはそう言うことだ。問題がしょっちゅう起きても困るけど。そもそも、自称勇者の蛮行こそが問題である。

「ではRPG部の名前の由来は?」

「 Reasonable and Playable Government's dog 部の略だって……かつていた先輩が言ってたわ。」

 リーズナブル アンド プレイアブル ギャバメンツ ドッグ部。すなわち、

 

 "お手軽に使用できる生徒会の犬部"


 要するにただの生徒会のパシりだ。誰が命名したのか、容易に想像がつくな。

「クエスト!? ついに来たぁー!!」

 本郷さんが鶴舞さんの介抱でようやく、復活した。鶴舞さんから事情を聞いた自称勇者様は大はしゃぎする。今回は多目にみよう。俺もはしゃぎたい気分なのだから。

「学祭、楽しみだね。武くん♪」

「そうだね、鶴舞さん!」

 俺が待っていたのはこれだ。この部活のメンバーで力を合わせて、楽しく、一つの物事を成功させようとする。それがやりたかったのだ。

「いよーし、このパーティーでFF祭で大暴れするぜー!!」

 自称勇者の音頭で俺達は一斉に掛け声を挙げた。俺達の青春はここから幕を開けるのだった。


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