08 TKG
クラスぐるみのイジメのような自己紹介を終えたあと、俺は席についた。
この世界では『ニッポンに対する造詣』がすべての判断基準とされ、日本文化を再現するほどに高い評価が得られるという。
クラスの席順も、窓側のほうに成績優秀者が座る。
いわゆる『主人公ポジション』というやつだ。
もちろん後ろに行くほど優秀だそうで、窓側のいちばん後ろは生徒会長の席らしい。
なんだ、アイツ同じクラスだったのかよ……。
ちなみに俺は『ニッポン帰り』とはいえクラスでは最下位。
与えられたのは廊下側の席、いやゆる『モブポジション』である。
それはさておき、ようやく授業か……と思っていたら違った。
例のニセ金○先生は教室の隅で、壁の雑草と化したまま。
「いよいよ来週に迫った『給食当番』のメニューを、今日こそは決定しますわよっ!」
相変わらず生徒会長・オン・ステージ……!
この『大日本第一学園』では、全校生徒が食する給食を、各クラスが持ち回りで担当。
メニュー決めから調理まですべてを担当クラスの生徒たちが行うという。
メニューについては自由だが、『日本食』でなくてはならないそうだ。
それはすでに発見された既存のものでも、古文書から新たに解析したものでもいいそうだ。
ちなみに俺は弁当を持ってきていたが、これは寮母さんが「給食だけじゃ足りないでしょ?」と言って持たせてくれたもの。
彼女はひと目でわかるほどの世話焼き巨乳お姉さんだ。正直、カノジョにしてあげてもいいほどの。
そして、もうひとりのカノジョ候補はというと……。
「この、ニッポンを再現することにかけては他の追随を許さない、我が『大日本第一学園』給食は、メンツにかけて必ず新たなものでなくてはなりませんわ! そこであたくしたち3年B組は、今日までクラス総出で研究を続けてまいったのですわ!」
生徒会長でもある彼女は、クラスメイトに檄を飛ばしながら、チラチラと俺のほうを見てくる。
これから発表するメニューに恐れおののけと言わんばかりに、そしてカノジョにしてと言わんばかりに。
「あたくしたちが今回、発見したメニュー! それはっ!」
生徒会長はポニーテールをなびかせ、くるりと華麗にターン。
そしてこれから殺し合いでもやらせる教師のごとき勢いで、黒板にチョークを走らせた。
『 T ・ K ・ G 』……!
弁当が日の丸弁当だったように、この世界はかなり粗食だと思っていたが……。
給食がまさかの、卵かけご飯とは……。
まるで戦後のようだな。
ここにいるヤツら全員、すき焼きとか見たら失禁するんじゃなかろうか。
俺のそんな思いも知らず、ドヤ顔で振り返った生徒会長。
ニッと頬を歪めたあと、さらにツバを飛ばす勢いでまくしたてる。
「TKG! これが今回のキーワードですわ! 発掘した古文書から、この一文を発見したあたくしたちは、これが何なのか、日夜論議に論議を重ねたのですわっ!」
口から出たしぶきがキラキラ光って、虹になってる……。
エロフってのは涙だけじゃなくて、ツバまであんなに綺麗なのか。
「そして半年にわたる論議と、古文書をさらに解析した結果、ついにTKGの正体を突き止めたのですわっ! TKGとは、料理名の略称であると……! そしてさらに半年を費やして、正式名称をついに暴き出すことに成功したのですわっ! TKGの奥に隠されていた、偉大なるニッポンのメニューの全貌を! それは……!」
あの生徒会長も、黙っていればメインヒロイン級の美少女なのに……。
せめてもうちょっと下ネタを抑えてくれれば、お嫁さんにしてやってもいいのになぁ……。
俺のそんな思いも知らず、彼女の潤艶リップから、次に飛び出した言葉は……!
『 ち ん こ ・ キ ッ ク ・ ご は ん っ !! 』
「殿方のマタンキを蹴り上げながら、米飯を食すという……! ブシドー・スピリッツあふれるメニューなのですわっ!!」




