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05 オッスオラ

 二本松(にほんまつ)蛇撫(じゃぶ)

 漆黒の心(ダークネス・ハート)をくすぐるような、素敵な名前だろ?


 手の付けられない腐女子だったオフクロが付けてくれたんだ。

 最初は「邪武」だったらしいが、市役所が受け付けてくれなかったらしい。


 この名のおかげで中学の頃は、蛇を首に巻いて登校したり、事あるごとに蛇のようにチョロチョロと舌を出して、クラスメイトを恐怖の渦に陥れたものさ。


 しかしそんなヤンチャ丸な俺でも、高校にあがってからは心をいれかえた。


 今では『皮肉屋のウィキ○ディア』、『灰色の脳細胞』、『人類には過ぎた者(オーバード・マン)』……。

 様々な二つ名を駆り、持てる知識で皆の生活を潤わせていたんだ。


 しかしカラオケで『赤○トラクター』を熱唱してきるときに、心臓麻痺で死亡。

 異世界へと転移してしまった。


 トラックによって死亡したものは、天国にも地獄にも行かない。

 女神の手によって、違う世界へと誘われる。


 そう……! 

 いま流行の『トラック転生』というやつだ……!


 まさか耕運機までトラックの定義に含まれるとは初耳だったが、女神に頼まれて俺は、戦闘種族が支配する異世界へと派遣されることとなった。


 すでに知っているかもしれないが、そこはなんと……。

 『日本が大好き』な場所だったんだ……!


 この世界を支配していたヤツらは日々、戦闘に明け暮れていたそうなんだが、ひょんなことから日本の書物を発掘してしまい、その内容に衝撃を受け……。

 どいつもこいつも、日本かぶれになっちまったそうだ。


 それは別にいいのだが、偏った内容の書物を、脳筋どもが解釈しているせいか、再現される『ニッポン』はメチャクチャ……!


 それだけならまだしも、ヤツらは『ニッポン』を渇望するあまり、『世界線転移魔法』なるものを研究しはじめた。

 その魔法を使って、かつて俺のいた世界『日本』へと行こうとしているんだ。


 これで俺が、女神によってこの異世界に派遣された理由が、わかってもらえただろう。



「噛ませ犬のような名前を持つ者……。二本松(にほんまつ)蛇撫(じゃぶ)よ……! そなたは日本の平穏を守るために、彼らに正しい『ニッポン』の知識を授け……集団転移をしようとしている彼らを、思いとどまらせるのです……!」



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 狂宴を終えた生徒会長は、制服に着替えなおし、腰まで伸びた長い金髪をポニーテールにしていた。

 さっきまでの色情っぷりが嘘のような、高潔で優雅な美少女っぷりを取り戻す。


 そして俺は彼女の案内で、ようやく転校先のクラスである『3年B組』へと向かった。


 ちなみに俺は高校3年ではなく、2年生だ。

 しかしこの『大日本第一学園』は全クラス『3年B組』なんだそうだ。


 明らかにカツラとわかるロン毛の担任は、特に仕切ろうともしていない。

 俺をクラスに案内してくれた生徒会長が、そのまま俺の紹介をしてくれた。



「今日、この『大日本第一学園』の3年B組に転校してきた、新しいお友達をご紹介いたしますわ。彼の名前は二本松(にほんまつ)蛇撫(じゃぶ)さん……。みなさんすでにご存じの通り、『世界転移魔法』の実験で『ニッポン』に行き、そして帰ってきた初めての人類(ヒーム)なのですわ」



 俺は生粋の日本人なのだが、それがバレてしまうと大変なことになるので、この世界の人間だと偽っている。


 そんなことはさておき……。

 教壇に立っている俺の前には、前世では決してありえなかった異様な光景が広がっていた。


 なにせ古びた木造の校舎、その教室のなかで、ファンタジーRPGから飛び出してきたようなヤツらが、アニメとかによくある変形学生服を身につけているのだ。


 ゴツい身体の『ドヴァーフ』が、昔の不良っぽい学ランを……。

 ムチムチの身体の『エロフ』が、エロゲーみたいなセーラー服を……。

 俺の半分くらいの背しかない『コビット』が、魔法少女がいそうな小学校の、かわいらしい制服を……。


 体型的にはいちばんマトモなはずの『ヒーム』ですら、生命繊維みたいなのを着ている始末。

 そんなコスプレ集団が俺に向かって、なぜか敵意剥き出しの視線を向けてきている。


 オイ、そんなに見てくるな。

 変な汗が出そうになるだろ。


 だいいち、俺はお前らの憧れである、『ニッポン』から帰ってきたんだぞ……!?


 ガガーリンのように尊敬されこそすれ、恨まれる筋合いなどないはず……!



「ほほう……。あいつが噂の、『ニッポン帰り』か……!」



「なかなかの、『ワビサビオーラ』じゃねぇか……!」



「チクショウ、ちょっと本物を見てきたからって、いい気になってやがるぜ……!」



「しかしヤツも内心、ビビってるだろうな。ちょっと留守にしてる間に、この世界がずいぶん『ニッポン』になっていることを……!」



「そうだな、俺たちは血の滲むような努力で、この学校を『ニッポン』に変え、『第一学園』の座を手にしたんだ……!」



「もう俺たちゃ、『ニッポン人』といっても差し支えないくらい、『ニッポン』……! あんなヤツには負けねぇさ!」



「今はすまし顔で、「お前らとは違う」っていう『ワビサビオーラ』を出してやがるが、すぐに化けの皮が剥がれるだろうぜ……!」



 あの……ちょくちょく言葉の端にのぼる、『ワビサビオーラ』って何?

 もしかして発掘された古文書って、『ニンジャ○レイヤー』か何かなの?

次回、ステータス・オープン!

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