04
俺は逆さにした弁当箱を持ち上げる。
すると箱の形をしたご飯の固まりが、ティーグランドの上に残された。
「こ……これが、『女体盛り』なんですの……!?」
目を剥く生徒会長に向かって、俺は叫んだ。
「そう……! 『女体盛り』とは、裸形に近い、もしくは裸形そのものの女性の身体に……!」
そして有無を言わず、そのメシを平手で押しつぶし、塗りつけるように手を滑らせた。
……ズララララッ……!
「あっ!? ひゃぁぁぁんっ!?」
くすぐったそうに、背筋を弓なりにのけぞらせる生徒会長。
「刺身などの酒のツマミ、果物や洋菓子などのデザートを盛り付けて供すること……!」
メシの中から転がり出た梅干し2個を、それぞれティーグランドの先っちょにトッピング……!
「あっ!? あはぁんっ!?」
右、左と置くと、まるで秘孔を突かれたかのように、ビクン! ビクン! と激しく痙攣した。
「始まりは江戸時代といわれており、遊女あそびのひとつとしても知られているっ……!」
俺は仕上げに、メシの中に敷かれていた海苔を掴むと、高く掲げ……!
「そして、海外での呼称はっ……!」
「えっ!? あっあっあっ!? ああっ!? そ、そこは……らめぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
トドメを察した生徒会長の懇願にも、容赦せず……!
「 『 B O D Y ・ S U S H I 』 ……!!」
三角おにぎりのような地帯に、海苔を叩きつけるっ……!
ピッ……タァァァァァァァーーーーーンッ!!
「ボディィィィィィ……スッシィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?!?!?!?」」
食戟の直撃を受けたかのように……生徒会長は弾けた。
彼女はしばらくの間、釣り上げられた魚のように、ビクンビクンと痙攣を繰り返していた。
やがて達したかのように、くたっと全身から力が抜ける。
顔だけこちらに向けて、荒い息を繰り返しながら、
「はぁ、はぁ、はぁっ……! は……はっふぅ……! あ……圧倒的な、『ワビサビオーラ』……! そ……そして常軌を逸するほどの『HENTAI性』……! こ……これが……これこそが、真の『女体盛り』……! あ……あたくしが……全面的に、間違っておりましたわ……!」
髪の毛が額に貼り付くほど汗ばんでおり、恍惚の表情を浮かべている彼女に向かって、俺は言ってやった。
「ふっ……。本当は知識と引き換えに、コーヒー1杯を頂くんですが……今回はサービスしておきますよ」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
俺はこれで、すべて片付いたと思っていた。
しかし小一時間たっても、彼女は緑のたぬきのままだった。
「うううぅぅ~っ! 悔しい、悔しいですわぁ! 古文書をかき集め、この学校でも特に『ニッポン通』の者たちを総動員し、何ヶ月にもわたってようやくたどり着いた、『女体森』が、間違っていただなんてぇ~~~! うっ、うわぁぁぁぁぁーーーんっ!!」
全財産の入った財布を落としてしまったかのように、泣き崩れている生徒会長。
土下座のような格好で尻をこちらに突き出しているので、海苔がなければ危うく丸見えになるところなのだが……彼女はそれどころでないようだ。
っていうか、旗がケツに刺さったままなんですけど……。
そんな生き恥のような格好を晒しているわりに、彼女の瞳からあふれる涙は息を呑むほどに美しい。
さながら、抽出されるドモホル○リンクルのように……。
それがまた、俺をより一層困惑させる。
「あの……生徒会長、そろそろ泣き止んでください。そして服を着てください。そして俺をクラスに案内してください」
この学校では、転校生はまず生徒会長に挨拶をして、そのあと各教室に案内される。
始業のチャイムはとっくに鳴ったというのに、俺はいまだにこのケツ旗女に振り回されていた。
「欲しい……!」
彼女はふと、そんなことをつぶやいた。
そしてキッと顔をあげ、俺を上目遣いで睨みつけると、
「我らの憧れ、『ニッポン』……! その、日出ずる国を知る、唯一の男……二本松蛇撫……! なにがなんでもアナタをギャフンと言わせ、生徒会の一員に加えてみせますわっ……!」
俺は、このあともずっと、この女に振り回される事になるのを……今はまだ知らない。
だいたいこんなお話です。
とりあえず10話くらいまでは続ける予定なのですが、好評であればさらに書かせて頂きます。
ですので、もっと読みたい! と思われましたら評価やブックマークしていただけると嬉しいです!




