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 輪になって座っていたクラスメイトたちが、ご飯を一口食べた途端、花火のように方々に飛び散っていった。

 そしてでんぐり返しを失敗したような体勢のまま、



「なっ、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」



「や、やべえっ! やばすぎるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」



「ああんっ!? なにこれなにこれなにこれ、なにこれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?」



 初めて火を見たかのような、驚愕と歓喜の入り交じった雄叫びをあげている。



「うまい! うまいうまいうまいっ! うまいいっ! これが本当の『ゴハン』ってやつなのかっ!?」



「これに比べたら、今まで私たちが食べていた『ゴハン』なんて、偽物ね!」



「いいや、もはや虫! ゴミ虫同然だ!」



 そりゃそうだろう。

 本当に偽物の、ただの虫だったんだからな。



「くそっ……! いままで俺たちが研究してた『ニッポン』が、間違ってただなんて……!」



「ちくしょう! ジャップにしてやられた!」



「さすが『ニッポン帰り』は只者じゃないぜ!」



 悔し泣きしながら食べる者、



「これ、すごいわ……! 噛むとやわらかいのに、それでいて微妙に歯ごたえがあって……!」



「それだけじゃないぞ! 噛めば噛むほどに、甘みが出てくるんだ……!」



「なんなのこれっ!? なんであんな硬い粒が、こんなに柔らかくて美味しくなるのっ!?」



「革命や! ごはんのIT革命や!」



 グルメレポートのように叫ぶ者、



「ギャアー! うまくて小便ちびりそうじゃ!」



「おどりゃぁ、もっとよこせ!」



「ギギギギギ……!」



 『は○しのゲン』のようなリアクションを取る者、様々であった。


 さて、問題の生徒会長はというと……。

 なぜか俺の隣で、ま○ぐり返しの格好のまま、激しく痙攣していた。



「アヒィーッ!? こっ、こんな美味しいもの、初めてですわぁぁぁぁーーーっ!?!? ダメ、ダメぇーーーっ! このままじゃエロフジュースが出ちゃう! 出ちゃうぅぅぅーーーっ!! らめぇ、らめぇぇぇーーーっ!!」



「エロフジュースってなんだよ」



「エロフの股間から分泌される、聖水の一種ですわぁぁぁ!! アヒィーーーッ!!」



 小便じゃねぇか。

 すでにチビっているかのように、彼女はひたすら泣きじゃくっている。



「悔しい、悔しいですゎぁぁぁ!! 私たちが一年もかけてたどり着いた結論を、こんなにあっさり否定されるだなんて……! でも、でも……! どう考えても、ジャブくんの提示した『ごはん』のほうが、ワビサビオーラに溢れている……! ニッポンの人々というのは、こんな美味しいものを常食していただなんて……! ショックですわぁ!! そしてますます……ニッポンの虜になってしまいましたわぁぁぁぁーーーーーっ!!!!」



 美しい顔をご飯粒と、汗と涙と鼻水だらけにして絶叫する生徒会長。

 それに呼応するクラスメイトたち。



「そうだ! やっぱりニッポンにあるものは、なにもかも素晴らしいんだ!」



「いつも私たちの想像を上回る、驚くべき国……! それがニッポン!」



「俺はニッポンのためなら死ねるぜ! 爆弾にだってなってやる!」



「ニッポン、ばんざーいっ! ばんざーいっ!! ばんざーいっ!!」



 とうとう万歳三唱まで初める始末。

 それはたまらなく異様な光景で、俺はいい加減、引き気味になっていた。


 ただの米飯で、こんなになっちまうなんて……。

 コイツら普段、どんなものを食ってたんだ?


 こりゃ、TKGなんて食わせたら、相当ヤバいことになっちまうんじゃ……。


 よし、これだけインパクトを与えたんだったら十分だろう。

 なんとか生徒会長を説得して、給食のメニューをご飯オンリーに変えさせるんだ。


 『ニッポンの心である銀シャリ』だの何だのと言ってやれば、日本好きのヤツなら乗ってくれるだろう……。


 と、思ってアヘ顔エロフの方を見たら、いなかった。

 どこに行ったんだ……? と見回したら、なんと……!


 クラスメイトたちはいつの間にかゾンビのように這いずって、卵の入った籠に群がっていたんだ……!

 どいつもこいつも、うつろな瞳で……!



「ジャップがやってた、卵かけごはん……! 2杯目は、それをやってみようぜ……!」



「ただのご飯でこんなに美味いんだから、卵をかけたらどれだけヤバくなるのか……!」



「きっとあまりの美味に限界突破して、エロフジュースを大量分泌してしまうに、違いありませんわ……!」



 しまった……!

 俺は、核の発射スイッチを押そうとする愚民を、思いとどまらせるほどの勢いで叫んだ。



「や……やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」




 しかし、遅かった。


 ヤツらは奪い合うようにして籠から卵を取り、力加減ができずに握りつぶし……。

 顔を粘液でべとべとにしながら……まるで死肉を食らうように……。


 『T・K・G(たまごかけごはん)』を敢行したんだ……!


 ……そしてクラスのエロフ女子が全員、噴水と化す。

 夕暮れ空の校庭には、レ○ンボーアイランドのように……きれいな虹が、いくつもかかっていた。

TKG編はこれにて終了です。

そしてここでいったん完結とさせていただきます。

元々箸休めのために書きはじめたお話だったので、10話程度で終わらせるつもりだったのですが、ちょっとだけ長くなってしまいました。

気が向くようなことがあったら、次編を書きたいと思います。

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