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『ちんこ』は花魁用語で、『ティンコ』……!?
生徒会長から明かされた衝撃の事実は、これで終わりではなかった。
「無知な『ニッポン帰り』さんに教えてあげますわ! ちなみに『乳首』のことは、『ティクビ』とも言いますのよぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ! おぉーーーっほっほっほっほっほっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーっ!!」
そして俺はつい、納得の一言を口にしてしまっていた。
「……確かにその通り……!」
くそっ……!
『皮肉屋のウィキ○ディア』と呼ばれた、この俺が……!
親にもぶたれたことがないように、人を納得させることはあっても、させられることなんてなかったのに……!
それも、一日に二度も……!
握りしめた拳を、クラスメイトたちは見逃さなかった。
「おおっ!? 『ニッポン帰り』が納得したぞ!?」
「ってことは、生徒会長の説に間違いはないのか!?」
「TKGは、『ティンコキックごはん』だったんだ……!」
「やっぱりそうだったんだ! ニッポン人は、股間を蹴り上げられながら米飯を食していたんだ!」
「そういえばニッポンには、『立ち食い』というファーストフードの形態があるそうよ!」
「そうそう! それに最近の研究で、『立食パーティ』なるものの存在も明らかになったのよ!」
「ってこてとは、パーティでもティンコキックを!?」
「あっ、そうだ! 私たちの給食は、体育館を借り切って全校生徒でやるってのはどう!? 『TKGパーティ』よ!」
「みんなでティンコキックってわけか! オーマイガー! まるで天国のようじゃないか!」
なにその地獄絵図。
それに、なんで男子生徒はそんなに喜んでるの?
クラス全員、M男向け同人誌の登場人物なの?
しかし誰がなんと言おうと、これだけは承服するわけにはいかなかった。
たとえ世界を敵に回したとしても、少子化を促進するような食事作法を広めるわけにはいかない。
俺は意を決すると、再びこの時空には存在しないメガネのブリッジを押し上げた。
「ズグワァァァァァァァァァァァァッ……!!」
すると生徒会長が、目ざとく反応する。
「ま、また、『灰色の脳細胞』っ!? 50%の力を解放したというんですの!? もう勝負は決したというのに、なぜっ……!?」
「いいや、まだだ! まだ俺のターンは終わっちゃいないぜ!」
俺は再び、指を彼女に突きつけた。
「『ちんこ』は『ティンコ』、『乳首』は『ティクビ』……それは認めよう! だが『TKG』が『ちんこキックごはん』であることの証明には、何らなっていない!」
「んまあっ!? じゃあ、『TKG』は何だと言いますのっ!? こちらの説を否定するのであれば、そちらの説を出すのが筋ではありませんこと!?」
「そうだそうだ!」とヤジを飛ばしてくるクラスメイトたち。
俺は、それを振り払うように手をバッとかざして、受けて立った。
「ああ、いいとも! 見せてやるさ、本物の『TKG』ってヤツを……!」
そうだ、そうだったのだ。
アレコレ問答するよりも、『女体盛り』の時と同じように、実物を見せてやれば良かったんだ。
「よぉし、いまから俺の言うものを用意しろ! 箸と茶碗、ごはんと卵、そして醤油だっ!」
何ら難しい要求をしたつもりはなかったのだが、生徒会長はキョトンとした表情で尋ね返してくる。
「……ショーユ? ショーユって何ですの? 岩井由紀子のことですの?」
「そりゃ『ゆうゆ』だよっ!」
逆にそっちを知ってて、なんで醤油を知らないんだよ。
「って、醤油ないのかよっ!? ああ、ならしょうがねぇ! かわりに塩だ! 塩を用意してくれ!」
「ああ、お塩ならありますわ!」
両手をポンと打ち鳴らし、顔をパッと明るくする生徒会長。
こういう何気ない表情は、ゆうゆばりの可愛さなんだけどなぁ……。
ともあれ次回、異世界料理編だ!




