後日譚
引っ越しや就職で投稿が遅れ、しかも予約投稿していた違う作品を忘れていたため不安にさせ申し訳ありません。
一応、これで完結です。…ほぼモノローグになっちゃいました。
王都で反乱、反乱側が勝利した。
こんな村に早馬が来るから何事かと思えばそんな情報を伝えに来たらしい。勇者の力があれば一騎当千…ではあるらしいのだが、勇者の力は魔を持つモノにしか効かない、すなわち人間にはあまり効果がないらしい。その周りを固める仲間たちはそれ以上の力を持つ者たちにより倒されてしまったそうだ。死んでこそいないが、表には出てこれないらしい。勇者達は、辺境で今も魔王軍の残党狩りをさせられているらしい、使えるものは使う、ということだそうだ。勇者は奴隷紋が刻まれ逃げることは叶わないそうだ。女性たちにはそのような措置はされていないらしいが、逃げないのだからそういうことなのだろう。少なくとも人間としては良いやつだったのかな?勇者は…。いや、宮刑という、東洋の罰が勇者に課せられたとも聞く、詳しい内容は伝わっていないが、相当な屈辱を伴うものらしい。まあ、彼らと勇者の間に何があったのかは知らないが、彼らの怒りは相当だったのであろう。もしかしたら、底意地の悪い男だったのかもしれない。こんなことなら、あの時少し話しておくべきだった。少し気になる。
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それから5年、王となった大公家の長男は、まず街道の整備を行った。その都合上、この村もそれなりに重要な街道の宿場となり、少しづつではあるが、人が増えて町と呼んでもいい規模になっている、さびれた寒村から大出世だ、今は隠居している村長は、嬉しいやら困るやら…と言いながら笑っていた。仕事が増えて体力的に難しくなったため、役目を息子に譲ったのだ、その息子は、今度は選挙というものをやろうとしているらしい。なんでも、苦労はしたい奴がすればいいだそうだ。…、良いのだろうか?それで?俺は、一番古参の宿屋だからと3つしかない宿屋が集った組合の長となったりはしたが、あまり大きい変化はない。フィリアは、今町でも人気の薬師として活躍している。元々の明るい性格も相まって、他の薬師や医者が来た今でも、町の皆の生活になくてはならない人になっている。薬師の婆さんから薬屋の土地を受け継ぎ、あの建物は宿屋の拡大の都合で潰してしまったが、宿屋の中で薬屋をやっている。曰く、「いつでもライナスと居れるからこっちの方が良い」とのことだ。言われた時はうれしかった。
そういえば勇者は、魔物の残党の討伐を終え。辺境の領地を与えられた。騎士団長になっていた騎士が態々僕のところまで説明に人を寄こしてくれたが、皆新しい日々や、新たな恋なんかで、復讐心も薄れたらしいし、一応功績は功績、ということらしい。まぁ、一代領主という奴、しかも農地ゼロから作るレベル、領民すらいないらしいけど、正直貴族の分類とかはわからないのでどうでもいい。元々、「勇者の被害者」という象徴の一つとはいえ、反乱に参加することさえ無かった身なのだ、仲間意識というか、同情心を向けているのはわかるけど、そこまでされる謂れはない。とは言え、この村の発展も、彼らの好意の一つであるらしく、感謝しないわけにはいかないのだが…。
「フィリア、何か飲み物を持ってこようか?」
「大丈夫よ?もう動いても。それにちょっとは運動しないと体に良くないわ」
フィリアのお腹の中には、今、子供がいる。当分、子供は良いよね?と言って、薬を服用していた彼女だが、飲まなくなったらすぐにこうなった。幸運…なのかな?兎に角、俺は今、幸せだ。今思えばあの時、勇者に婚約者を取られたのは良かった…のかもしれない。イリアと結婚しても、結局日常は続いただろうけど。今の方が幸せだと断言できる。…そういえば、反乱を起こした彼らや俺のことを謳っていた吟遊詩人のひとりが、俺に対する評価的なことで「一番の復讐は幸せになることである」と歌っていた。確かにそうなのかもしれない、見せつけるわけでもないし、彼女がどう思っているかなんて興味がないけど。
本当は、勇者が村にまた来たりとかもいいかなぁ…と考えていたのですが、「勇者の話は遠い話でいいや」という結論に至りました。だって、明確に主人公がざまぁする話を描くと、タイトルに反してしまいますしね。
一応完結させた感想は…。今後も精進…ですね。