終わりの始まり
人間は愚かである
人間は恐れている
自分たちの積み上げてきたカルマが崩れ落ち自分たちに降りかかるのを
歪みは増す その歪みの果て少年は何を思うのだろうか
「頼んだぞ」
「逃げましょう」
子を身ごもった女はすがるように言うが
「無理だ、逃げられないだろう」
何のことはないいつもの理不尽だと男は笑い、妻であろう女を振り切った。
オウル王国で頂点とも呼べる存在がぶつかろうとしていた。
「考え直す気はないの?オウル」
「……」
そうと悲しそうにエルフはつぶやいた。彼は禁忌に手を出してしまった……。この世界では絶対に許されないであろう禁忌に。
そうして戦いが始まった。そして……
「王国は滅びました」
ジャルダン共和国にて宰相はそう報告をした。もちろんこの衝撃的なニュースは各国に知れ渡った。この日、文明大国として知れ渡っていたオウル王国が滅びたのだ。
「一国を落とすか………わかってはいたが化け物だな」
「ええ、3弟子とは絶対に敵対しないようにしなければ」
「して、後処理は?」
「すでに軍を手配しております」
国王はせせら笑いこれから手に入るであろう奴隷に舌なめずりをした。オウル王国跡地では王国の市民が次々と捕まえられ奴隷へと落された。何のことはないこの世界では戦いに敗れたものの常だった。