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第9話 楓のお泊まり

楓は優亜のアパートに着いた後、優亜の持ち物を見せてもらい、大興奮だった。


優亜の持っている洋服、化粧品、小物が、どれもこれも楓の趣味にピッタリだったのである。

フェミニンで、可愛らしいデザイン、

でも、子供っぽくなりすぎない上品で清楚な感じ・・・

それが基調であった。


優亜が、

「社会人1年目だから、お洋服っていろいろ必要になるよね。

制服があるわけじゃないし、気を使うんじゃないかな。

毎日同じ服を着ていくのって嫌でしょ。

コーデと着まわしに悩むよね。

私が着なくなった服、取出すから、好きな服を持って行っていいよ。

使ってくれると嬉しいな。

体型、ほぼ同じだと思うから、着れると思う。」


優亜が、スカート、ニット、カットソー、ブラウス、ジャケットなど約10点を見繕って、

楓の前に提示した。

すべて毎日の仕事に着ていけそうな甘すぎないデザインだったが、

優亜の趣味であるフェミニンな雰囲気が漂うおしゃれな服ばかりだった。


楓は目を輝かせて、叫んだ。


「うわーっ、みんな好みです!

みんなもらってもいいですか?

素敵!」


「いいけど、この量だととても一度に持っていけないよ。

それから、ちょっと試着してからにしてからの方がいいよ。

同じサイズの体型してると思うけど、

念には念を入れた方がいいから。」


「近くのコンビニから宅急便で送ります。

やったーっ。

あ、試着もちゃんとしますっ!

と言いながら、

何気なく時計を確認した楓は

「えっ、

あ、ああっ。こんな時間だ。もう10時回ってる。どうしようっ!

電車間に合うかなっ?」


「あっ、ごめん!

私もうっかりしてた。この時間だと、電車はあるかもしれないけど、帰りがすごく遅くなっちゃうね。

ウチに泊まってく?」


「ええっ、いいんですか?泊まっても。

やったー。

早速、家に電話します。

お母さんには、優亜さんのことは、4月に就職したときからずっと話をしていたから

絶対安心してくれます。

2年先輩の女子職員で、超有名な女性で、

憧れている人がいるって、説明してました。

優亜さんのいろんな伝説も話しちゃいました。

優亜さんの写真が載っていた、市の広報も見せたんですよ。

すごく可愛い子ねって、興奮してました。


そういえば、お父さんも写真見て、この子を浩史の嫁にできないかなあ。

可愛いなあって、言ってました。

つまり、両親は優亜さんの大ファンなんです。


お兄ちゃんも優亜さんのこと知ってるし、家族全員に優亜さんは認知されてるんですよ。

素敵な人として。

泊まるのは全然問題ありません。」


「そ、そうなの?

しかも、そんなに早くから私のこと知ってたの?

私って、そんなに有名なんだ?

ご家族に知れ渡っているというのも驚くけど、

市役所全体にも有名なの?」


「有名ですよ。気をつけてくださいね。」


(やっぱり、私、有名なんだ。

わかっていたけど、新人職員に言われるとショック。

最近は髪の毛をまとめて、メガネとマスクで目立たないようにしているけど、

油断はならないから、気をつけないと。)


楓は早速、スマホから母親の携帯に電話した。


「今日、優亜さんとお食事するって言ってたでしょう。

おそくなっちゃったから、優亜さんのアパートに泊めてもらうことにした。

うん、迷惑かけないようにする。

お部屋の中、すごく整理されていて、やはりできる人って感じ。

でも乙女チックなの。可愛らしい人だよ。

あっ、後で優亜さんと一緒に写真撮って、送るね。

お父さんにも見せてね。」


優亜はちょっと苦笑してしまったが、

褒められているので、何も言わないことにした。

ちょっと天然な子で可愛い。こんな妹がいたら楽しいだろうなあと思った。

浩史が羨ましいなとも考えた。


電話を終えたあと、あっと小さな声を楓はあげる。


「しまったー、でもどうしよう。

明日、きょうと同じかっこで役所に行ったら、朝帰りと思われる。」


「なら、大丈夫よ。

さっき、選んだ服で、今の季節に着れるものあるから、着て行って。」


「あ、ありがとうございます。

あ、でも・・・」


「あとは、下着とストッキングだよね。

それも多分大丈夫。

楓ちゃん、ブラのサイズいくつ?」


「ええっと。」

楓は、アンダーサイズとカップのサイズを答えた。


「やっぱり、思ったとおり。私とサイズ一緒。

この間、セールでまとめて安く買った新品があるから、ワンセットあげる。

キャミも新品あるし、ストッキングもあるよ。」


「ええっ、何から何まですみません。

本当にいいんですか?」


「うん、気にしないで。

それにしても、私とサイズが一緒ってことは、いろいろ楽しいよ。

同じブランドの同じ服が着れるということだから。」


「そうですね。やったー。

あ、さっきから私、やったーばかりだ。

でも、優亜さんとおっぱいのサイズまで一緒だとは思いませんでした。

体型が同じなら、私も服の着こなしで優亜さんみたいに素敵になれるかも。」


「私が素敵かどうかは自信ないけど、

いろいろアドバイスしやすいのは確かかな。」


そして、早速優亜は下着と夜寝るために着るルームウエアをもってくる。


「うわーっ、可愛いブラ!リボンと色合い素敵!これ、もらってもいいんですか?

もったいないから、

優亜さんの使用済みの下着でもいいんですよっ。

それも、よく使ったものでいいです。

・・・あっ、私ったら変態みたい!」


優亜はぶっと吹き出した。


「ふふっ。

私のおっぱいの成分がいっぱいしみ込んでいるブラを使いたいの?

それでもいいけど。」


「ごめんなさい。私、変態みたいですよね。

でも、優亜さんの表現もすごいなあ。

おっぱいの成分ってなんだろう?」


「私は母乳は出てないよっ。ふふっ。」


「そりゃ、そうですよね。

でも、美人の成分とか出ていそう!

なんかいいかも。」


「なに言ってるの?ははっ。

楓ちゃんって面白い!

あ、下着はいっぱいあるから、気にしないでこれもらってね。

デザインと色を

気に入ってくれたのなら、すごく嬉しいな。

そうだ。

今度、下着やお洋服を一緒に買いにいこっか?

私がどこで服を買うか知りたかったんでしょ?」


「本当ですかっ?ぜひお願いします。

嬉しいっ。

なんか楽しみがいっぱいできました。

今日は記念の日になります。

優亜さんを紹介してくれたお兄ちゃんにも感謝しなきゃ。


それにしても、優亜さんの家って駅から近くて便利ですよね。

役所からも適度に離れているのいいなあ。

時々お泊まりに来てもいいですか?」


「ははっ、楓ちゃんみたいに可愛い子なら、いつでもオッケーよ。

私のこと友達だと思ってね。」


「わーっ、嬉しいっ。」

楓は、優亜に抱きつく。抱きついた時に、優亜のつけている香水の甘い香りが匂ってきた。


「うーん、優亜さんの匂い、いい匂いっ!ずっと抱きついていたい。」


優亜は柔らかい女の子が抱きついてきている状況にちょっと慌てた。

(この子、可愛いっ。変な気持ちになっちゃいそう。

女の子同士だけど、

こんなことされちゃうと興奮しちゃう。

私ってレズっ気あるのかな?。)


「うふふ、仕事中は香水、コロンは絶対つけないけど、

楓ちゃんとデートだから、仕事帰りにちょっとつけたんだよ。」


「優亜さんって、本当に素敵です。

私、すべてに憧れちゃいます。

今日は泊まれて、夢心地です。」

そこまで語って、楓は優亜から離れた。


「褒めすぎだよ、楓ちゃん。

でも、私と仲良くしてね。楓ちゃん、本当に可愛いから、私も嬉しい。」


「優亜さんの可愛さにくらべたら、全然です。

でも、褒めていただいて、嬉しいっ。」


楓は優亜に再び抱きつく。


(スキンシップの強い子ね。子犬みたいで可愛いっ。)


そのあと、二人はシャワーを浴び、寝ることにした。

優亜のベッドの横に布団を敷き、楓は寝た。


楓はいろいろ興奮したあとだったが、疲れていたと思われ、あっという間に寝てしまった。


優亜はいろいろ眠る前に考えてしまう。


(浩史の妹さん、可愛いなあ。

でも、私の正体を知ったらショックだろうな。

絶対教えたくない。

浩史には言っておかないと。


もし、浩史が私と結婚できたら、本当の妹になるから素敵かも。

ずっと仲良くなれる。


えっ?私何想像してるんだろう。浩史と結婚なんてありえない。

ていうか、私は結婚なんてできない。


楓ちゃん、私に彼氏がいないことを知ったら、その理由を聴いてくるんだろうなあ。

なんで、結婚しないんですか?とか、しつこく聴くんだろうな。


でも、本当のことなんて言えないし。


いろいろ言い訳考えておかないと。

ちょっと面倒だけどしかたないか。)


そこまで考えて、優亜は眠りに落ちた。


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