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第23話 恋人らしいことしてないね

いよいよ次回が最終回です。

今回は初々しいカップルとなった二人の心を描いてみました。

浩史と優亜は、母親が予約してくれたホテルにチェックインした後、

都内にある遊園地に向った。


観覧車に乗りたいと優亜が言ったのである。


遊園地に向かう道すがら、優亜が浩史に甘えた声で誘う。


「あのさっ、私たちさっきまで友達だったから、手もつないだことなかったね。

恋人らしいことってしたことない・・・

当たり前だけど。」


「そ、そうだな。ふざけて、腕を組まれたことがあるくらいかな・・・」


「もう、恋人っていうか、婚約者なんだから、手をつなごう・・・よ。」


「そう・・・しようか。・・・恋人つなぎってやつ・・・やってみようか?」


「うんっ。ぜひっ♡」

優亜は嬉しそうな顔で、浩史の顔を見上げた。


二人は指を絡めながら、手をつなぐ、


「なんか・・・照れるっ。」


「俺たちって、ちょっと中学生のカップルみたいなもんだな・・・」


「この年で初々しいというのも変ね。ふふふっ。」


二人は自虐的な発言をしたが、内心は嬉しくてしかたがなかった。


手をつなぐことがこんなに幸せな気持ちを呼び込んでくるとは思いもしなかった。



さて、遊園地にたどり着いた二人は早速、観覧車に乗る。


「ここの観覧車は東京の景色が結構見えるんだ。

高いビルやスカイツリーとは違った景色もいいと思ったの。」


「そうだな、観覧車なんてめったに乗らないからなあ。

こういう景色って久々だ。」


優亜は浩史の横に座り、浩史と手を絡めていた。

常につながっていたいという気持ちが溢れている感じであった。

彼女は浩史の耳元にそっと囁く。


「ところで・・・


あのさっ、観覧車が一番高いところにきたら、


お願いっ・・・


・・・してくれる?」



「えっ?この観覧車、防犯カメラついているから、見られちゃうぞ。」


浩史は優亜の曖昧な要求がわかったが、戸惑う表情になる。


最近は犯罪防止のために、密室にはカメラはつきものだった。



「度胸ないなあっ!

少しくらい見られてもいいじゃないっ!」


頬をふくらませ、ちょっと拗ねる優亜である。


「わかった。

そこまで言われたら、男としては嫌と言えないな。」


浩史は腕を優亜の肩に手を回し、急に抱き寄せる。


「あんっ・・・」


「優亜・・・

好きだっ!


・・・俺を選んでくれてありがとう!」


「ううんっ。


私こそ、選んでもらって、すごく嬉しいっ!」


観覧車は一番高いところを通過しようとしていた。


二人の体はより密着し、唇は自然に引き寄せられるように接触する。


(好きだ、優亜。もう離さないっ!)


(浩史、うれしいっ!もう、離れないっ!)


お互いに柔らかい感触を瞬間的に感じる。

ずっとしたかったキスだった。

時間は短かったが、二人の想いが強く詰まった、記念的なキス。

二人は自分たちが恋人になったことをやっと確認できたような気分になった。

唇がはなれても、

抱き合ったまま、二人はしばらくの間は動けない。


今度は浩史が囁く、

「優亜・・・この続きはホテルに帰ってから・・・しよう。

今夜は寝かせないかもしれないっ。

俺、気持ちに火がついちゃったよ。」



「いやんっ、浩史ったら!


そんなこと、言われたら期待しちゃうっ♡

私だって、がんばるよっ。」


優亜は浩史の腕の中で、甘い声で返事をした。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



そして、翌朝となる。

二人は、お昼ごろまでゆっくりホテルで過ごし、明るい太陽が降り注ぐ中、

おしゃれな町並みを駅に向かう。

昨日と同様、手をつなぎ、幸せそうに歩く。


優亜が

小さな声でつぶやいた。

「浩史ったら、本当に寝かせてくれないんだもんっ。

朝まで、本当にすごかった!」


「ご、ごめんっ。ちょっと調子に乗りすぎたかな?

願いが叶って、俺、普通じゃなかったかも。


(恥ずかしいっ。

俺、嬉しくて、暴走しちゃったよ。)」



「ふふふっ。謝らないで!

私もすごく楽しんだんだから。

(女の幸せを10年分くらい味わっちゃった気がするし・・・♡)」


「優亜・・・」


「浩史・・・」


お互いの名前を呼びあう二人。


二人は、街中で、抱き合ってしまいそうなほど、熱い気持ちになった。


でも、ふと優亜が我に帰る。



「そうだ、浩史、ウチの実家に挨拶に来てくれるよね。

早いほうがいいんだけど。」


「えっ?

もちろんっ。

ちょっと緊張するけど・・・

いつだっていいよ。


来週でも、再来週でもいいっ。


結婚の許しを得ないとな!」



「ふふっ。

まだ、両親に直接結婚の話をしてないけど、

反対するわけないから、安心して。


じゃあ、今夜、話詰めるね。」


「うんっ、頼む。」



(ついに優亜のご両親にご挨拶か。


男の子として生まれた優亜をお嫁にだすって、どんな気持ちなんだろう。


何て説明をして挨拶すればいいのかなあ。


うーん、当たって砕けろだ。


気持ちが伝わればいいんだ。


それにしても、こんな美人、ほかの男に取られなくてよかった。

優亜を生んでくれたご両親にも深く感謝だ。)


優亜の横顔を見ながら、満足そうな顔になる浩史だった。



まじめなTS小説って難しいなと思ってましたが、何とか終わらせることができそうです。ちょっとしたシンデレラストーリーかなあなんて思ってます。


なお、本日中に最終回をアップします。


また、次の作品、「親友の変化についていけないっ〜TS女子高校生シリーズ4〜」を本日からスタートしました。

よろしくです。

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