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第22話 優亜、実家へ報告する

あと少しで終わりにします。

家族の喜びを描きたくなりましたので、もうちょっと書きます。

富谷家が一体となったプロポーズが終わった1時間後である。


富谷家の4人と優亜は、場所を近くのシティホテルの喫茶室に場所を変えた。


大泣きしてしまった優亜と楓は、化粧室でゆっくりメイクを直し、合流した。


コーヒーを飲みながら、今後の話をしはじめる。

入籍や結婚式、同居の話について次々と話が展開していた。


もう、優亜はすっかり元気であった。

浩史の母親と結婚についての話に夢中になっていた。


結婚式については、互いの家族だけでやるという段取りで進めることにした。

つまり、優亜の正体を知っている人間だけでするということである。


優亜は

(結婚式なんて、夢みたい。

私、私、ウエディングドレス着れるんだあっ♡

お姫さまみたいになれる。)


子供の頃、結婚式のコマーシャルでの新婦の姿を見て、憧れていたことを思い出し、

思わず笑みがこばれてきた。



そのとき優亜は思いつく。

(あっ、実家に報告しなきゃ。)


「あっ、すみません。私、実家に電話してきます。」


「そうだね。いってらっしゃい。大事なことだからね。」

浩の父親の玉樹が声をかけて、優亜を喫茶室から送り出した。


優亜はホテルのロビーの隅の人気のないところで、実家の固定電話にスマホから電話する。


出たのは、兄の嫁である友美だった。


「あっ、お義姉ねえさん?

今いい?


緊急の報告があるの!


私ね・・・実は…結婚することにした!」



「え、ええーっ!本当?


す、すごいっ!


本当にいー?


信じていいのっ?


あまりにも突然で、ちょっと驚いてるっ。」



「本当に本当!


信じて!


相手は高校の同級生!」




「そうなの?


よかったー。


うれしいよおっ。


美人で可愛い優ちゃんなのに、結婚なんてできないなんていつもいってるから

ずっと心配してたんだよ。


でも、選んでくれた人がいるんだね。

よかったー。


同級生なら、優ちゃんのこと知ってるってことだ。


全て分かってるんだね。


本当によかった。


あっ、家族の方はどうなの?」



「うん、相手の家族も承知してくれてる。

あったかく迎えてくれてる。

私のこと、家族にしたいって。」


「そ、そりゃよかった・・・。

うっ、うっ、うぐっ・・・。」


友美はもう泣きだしていた。

友美と優亜は仲良しだったのだ。


友美は優亜の兄と幼なじみである。

だから、優亜が少年であった時から知っているし、

その悩みもよく知っている。


性転換後も、その人生についてずっと気にかけてくれていた。


「お義姉さん、今までありがとう。

だから、泣かないで!」


「・・・優ちゃん、本当におめでとう。

嬉しくて、ないちゃったよおっ。

はやく、旦那さんになる人に会いたいよ。」


「うん、できるだけはやく紹介するね。


ところで、お父さんとお母さんいる?」



「今、出かけてる。


すぐ伝えたいよね!


とりあえず、帰ったら話しておくね。」


「うん、私の方から、また電話する。外出先の携帯じゃなく、

家の電話でゆっくり報告したい。


今日はバタバタすると思うから、

明日の日曜日の夜、電話する。」



「わかった。あっ、今、あなたのお兄さんがリビングにやってきた。

代わるね。ちゃんと自分から報告してみて。」


「はいっ。」


兄の康太が電話に出た。

今まで別の部屋にいたらしく、自分の妻と優亜が話していた内容について

よくわかってないようだった。


「おおっ、優亜、元気か?

なんか友美が目を真っ赤にしながらうれしそうだったけど、

なんかあったか?」


「お兄ちゃん!

私結婚するの!」



「うえええっ!!

まじかっ?


おいおい、大丈夫なのか?

相手は知ってるのか?


そ、それにお前の正体って、職場とかにバレてないよな?」


兄の康太は弟から妹に変わってからの優亜が、めちゃめちゃにモテたことを知っている。

ただし、それは、性転換していることを伏せた上でのことだった。

もし、元男性だってことが知れたら、

妹はどんな扱いを受けるんだろう?といつも心配していたのだ。



「うん、相手の男性は全部知ってる。それでもいいって。

だいたい私の相手は高校の同級生だよ。

K市に暮らしていた時の友達。


それから、職場にはばれてない。ちゃんと普通の地味な女子職員としてがんばってるから。」


「そうかっ、そうなのかっ。

高校の同級生なら、知ってるよなあ。

どうやってそういう関係になったんだ?

うーん、いっぱい知りたいことあるけど、またの機会にしよう。

聞き出したら、キリがなくなる。


家族の了解は?

あっ、これも話が長くなっちゃいそうだ。それも今度聴くことにしよう。


それはそうと、地味な職員は嘘だな。お前の写真、T市の市役所のホームページに掲載されてたぞ。

町おこし女子とか出てた。気をつけろよ。」


「わっ、あれ見ちゃったの?

でも、写真ちっちゃいし、佐藤職員ってなってて名前は出てないから大丈夫かと思ったけど。」


「油断禁物だ。


それにしても、よかった。

俺、心配してたんだ。お前のこと。

確かに綺麗になったけど、

結婚となれば違うからなあー。

お父さんと、お母さんは今いないから、後で話しておく。

たぶん、すごく驚くぞ!」



「お義姉さんにお願いしたんだけど、

明日の夜、電話してお父さんとお母さんに話をする。

今、外出中だし、今日の夜と明日の朝は落ち着かないと思うんだ。」



「わかった。詳しい話は優亜が明日の夜、電話でするって話しておくよ。


うん、とにかくおめでとう。弟ができるんだな。うれしいよ。

じゃあ、またな。」


電話を終え、ひとまず安心する優亜だった。


(お父さん、お母さん、何ていうだろう?

わがままな私をよく許してくれたよなあ。

まさか、結婚できるなんて思ってなかっただろうなあ。)


過去の経過を思い出しながら、ちょっと涙が出そうになる優亜だったが、

気をとりなおし、富谷家のところに戻る。


「優亜さん、戻ってきて早速だけど、私たちは帰る。

詳しい話はまた後日詰めていこう。

まずは浩史とよく話し合ってくれ。」

玉樹がニコニコ微笑みながら、話かけてきた。


さらに、一恵が、

「優亜さん、きょうは浩史とゆっくり過ごしてね。

きょうは東京に泊まっていきなさい。


はい、浩史、ここ予約しておいたから。宿泊料金も払い込み済みだからね。」


とクーポンのようなものを浩史に渡した。


「お母さん、やるうーっ♡」楓が声を上げる。


「えっ、何これっ?」


「きょうは、記念の日になると信じて、予約しておいたの。

スイートルームってわけじゃないけど、いいお部屋みたいよ。

ゆっくりしてね。」


浩史は渡されたものをよく見ると、

都内でも有数の一流ホテルの宿泊クーポンだった。

なんと、母親は、プロポーズが絶対成功すると信じて、二人が一泊できるようにあらかじめ

予約してたのだった。

すごい気の使い方であった。

というか、役に立たない可能性というか大損する可能性があったわけであり、

ギャンブルとしか言いようがない。


「お母さん、悪いよ。高かっただろう!」


「いいの。あなた、そして優亜さんにとって、記念の日だし、こんなに嬉しい事ないもの。

だから、プレゼントすることにしたの。

たぶん、あなたたち恋人らしいことしてないんでしょ。

早速しないと。ふふふっ。」


「お母さんっ。」

浩史は顔を赤らめた。


優亜に至っては、真っ赤な顔になった。


玉樹がダメ押しする。

「浩史、そういうことだ。結婚前に、するべきことはしておこうな。」


浩史と優亜は思わず、顔を見合わせた。

ちょっと恥ずかしそうであったが、二人の心は通い合った。


「優亜、きょう泊まっても大丈夫だよな?」


「うん、大丈夫。ここはお父さん、お母さんに甘えましょ。

確かに、私たち今まで友達にすぎなかったんだから、

婚約者らしいことしたいっ。


お父さん、お母さん、ありがとうございます。

そのクーポン使わせていただきます。」


「よし、泊まろう。このクーポン使う。

すごいプレゼントだ。

それにしても、このホテルって、新しいホテルでガイドブックによく載っているよね。

高級でおしゃれで、とても無駄にできないよ。

お父さん、お母さん、ありがとうっ。」


「はいっ。」「おおっ。」

同時に応える両親は満足そうだった。


そして楓も笑顔で幸せそうだった。

(やっと、二人が素直になった。ここまで簡単じゃなかったなあ。

いろいろ頑張ってよかった。)





あと2話で終わります。

小説を終わらせるのって本当に大変だと思います。


この小説家になろうサイトで、面白くはじまったのに、途中で止まってしまう話の多さにいつも驚かされます。あんまり長い話にしないことが私なりのコツかと思っています。


日曜日に何とか次のシリーズのテーマを考えました。


また女子高生シリーズとなります。

小学生のときからはじめますけど。

また読んでいただけると嬉しいです。

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