ガチャチートもらったけど運が無さ過ぎワロえない
アイディアが生まれて書き留めとして冒頭部分を書きました。
エタるのが怖いので短編として投稿して、気が向いたら続きを書こうかと思います。
面白いと感じて下さる方が多くいらっしゃれば書きたいと思います。
それが起きた日はいつもと変わらない日常を過ごしていた。
いつもと同じ時間に起き、いつもと同じように学校に行き、いつもと同じように部活をして......
そこにあるのはいつもと変わらない、平凡でありふれた日常だった。
だが、それは突然起こった。
ある日の学校からの帰り際、ホームに並んでいる列の先頭に立って電車を待っている間、暇つぶしに今流行りのソーシャル・ゲ―ムをやっていた。
「やっぱりソシャゲの醍醐味はガチャだろ!」
そう呟きながら、早速貯まったゲーム内通貨でガチャを引く。
因みに俺はガチャが引ける状態にあったらすぐに引くタイプだ。
ガチャのためにゲームをしているといっても過言ではない。
「お!」
俺はスマホを握りしめた。
画面上でクルクルと回っていた魔法陣の輝きが、銅→銀→金→虹色とだんだんと増していき、アイテムが排出されたからだ。
虹色の輝きは最高レア度を誇るアイテムが出現するのだ!
「なんだこれ?
アイテム【災厄の魂】?
効果は......」
効果を確かめようとした矢先にドンッと誰かから押されホームから転落した。
落ちた直後に電車がやって来た。
見えている景色が全てスローモーションになる。
ざわめき声が聞こえる。
女性の叫び声も聞こえてきた。
あぁ、とうとう死ぬ時が来たか。
まだ高校生だったのにな......
恵美といい感じだったのにな。
せめて告白しておけばよかった。
いよいよぶつかる瞬間......
..................
...............
............
.........
......
...
「知らない天井だ」
目を覚ました俺は辺りを見回してからそう言った。
誰もが一度は言ってみたい(?)セリフだろう。
いや、天井は無くただただ真っ白な空間が広がっているだけなのだが。
「取り敢えず俺は死んだってことでいいのか?」
そうだ、俺は電車に轢かれて死んだのだ。
死んだ原因はハッキリしているのだが、死ぬ直前の記憶があやふやだ。
ソシャゲのガチャを引いて出たアイテムの名前も思い出せない。
俺は何故ホームから落ちたんだ?
分からない。
そもそも今置かれている状況が飲み込めない。
「ようこそ、藤堂俊也さん。
ここは死後の世界です。
貴方は電車に轢かれて死にました」
突然声が聞こえてくると、目の前が歪み、純白の衣を着た何やらオーラを感じる幼女が現れた。
そう、幼女である。
俺は目が点になり、マジマジとその幼女を見つめた。
「な、何ですか?
ロリコンなんですか!?
優しそうに近づいてきて懐柔して。
そして私は犯されてしまうんですか!?
嫌です! それは嫌です! こっち見ないでください!
しっしっ!」
「いや犯さねぇよ! そもそも俺はロリコンじゃない!」
「そんなこと言って私を油断させるんでしょう!
私はそんな手に乗りませんよ!」
「待て待て、いいから落ち着け。
ほら深呼吸深呼吸」
「嫌です! 落ち着かせていい雰囲気にさせてからいずれ犯すんでしょう!
私は絶対に深呼吸なんてしません!」
何故コイツは俺をそんなにロリコン扱いしたいのだろうか。
というか、コイツは犯されたいという願望があるんじゃなかろうか。
「分かった分かった、じゃあ見ないから。
そしてもう関わらないでおこう、いいね?」
「あっ、はい......」
俺の見たところコイツは"構ってちゃん"だ。
何故分かるかというと、俺もそうだったから。
話題作りの為にソシャゲを始めて、友達ができたのはいいが、がっつりソシャゲにのめり込んでしまうという残念な結果に終わってしまった。
閑話休題
構ってちゃんであるならば、放置しておけば向こうから接触を図ってくるはずだ。
俺はもう構ってちゃんは卒業したから、無言になっても平気だ。
いや、本当ですよ?
あ、でも流石に長い間はもたないかな......
「あのぅ......その......」
ほら来た。
やはり構ってちゃんだったのだ。
「......」
「......あの、きこえてますか?」
「......」
「聞こえてますよね?
絶対に聞こえてますよね!」
「......」
「あのっ! 実は私女神なんですよ!」
「......っ!」
「あっ! 今反応しましたよね!
これでもう聞こえてないなんて嘘は通用しませんよ!」
チッ。
普通、あんな幼女が女神だなんてビックリするだろ。
あれだな、ロリ神だな。
だが、少々おつむが悪いようである。
「貴女がロリコンだのどーのこーの言ってきたから無視してたんですよ? ロリ神様?」
「ろっ、ロリッ!?
言うに事欠いてロリ神呼ばわりですか!」
「だってロリコンって言ってきたって事は、自分がロリだってことを認めてるんですよ?」
「まっ、まぁ確かに、そうですが......
でも他にも言いようはあったんじゃないですか?」
「例えば?」
「えーっと......
麗しき女神様とか、若々しい女神様とか!」
「もうどうでもいいですよ。
ところで俺は何でここにいるんですか?
死にましたよね? 俺」
「なっ! ......はぁ。
もういいです......」
おっと落ち込んでしまったようだ。
子供には少しきつかったかな? HAHAHA
「そうです。
私は転生の女神コルティオーネ。
藤堂俊也さん。
貴方は電車に轢かれて死にました。
今貴方がここにいる理由ですが、貴方には異世界に行ってもらおうと思います」
「は? 異世界?」
「はい、異世界です。
ラノベなんかでよくある剣と魔法の世界です。
ラノベはよく読みますよね?」
「えぇ、まぁ。
異世界転生ものとか好きですが......
それはまたどうして俺が?」
「まぁ今回は転生ではなくトリップに近いんですがね。
貴方はまだ死ぬべきではなかったんです......とかいうもっともらしい理由は無くて、単純に実験です」
「実験?」
「貴方は死ぬ直前にゲームでガチャを引きましたよね?
そのアイテムを引き当てた人を異世界に招待して、その後どう生きるかという実験なのです!」
何だと?
じゃあ、俺はあの(何が当たったのかはわからないが)アイテムを当てたせいで殺されたのか?
「俺は実験のために殺されたのか!」
「いいえ、それは違います。
例のアイテムを当てた人の人生が終わってから、こちらにお呼びする予定でした。
ですが、貴方は当てて直ぐに亡くなってしまったので......」
おぅふ、これは気まずい。
そうだよな、神様が気安く人の命を奪う訳がないもんな。
「あー......怒鳴ってすいませんでした」
「いえいえ、こちらこそ誤解するような言い方をして申し訳ありません。
さて、誤解が解けたところで貴方には異世界『ウルムタ』に行ってもらいます。
先程も言ったようにベッタベタな剣と魔法の世界です。
貴方にはウルムタで生きていく為に、少しの間生きていけるだけの金銭と衣服、スキルの《言語理解》《アイテムボックス》《鑑定》そして貴方はガチャを引くのが好きだそうなので《マジックガチャ》を差し上げます」
《言語理解》と《アイテムボックス》と《鑑定》は、名前から想像できるものが定番のものであるため問題は無いのだが......
「《マジックガチャ》って何ですか?」
「スキル《マジックガチャ》は、まぁガチャが引けるようになるスキルです。
スキルを発動するとスマホが現れてガチャを引くことができます。
ガチャからは便利アイテムや武器・防具等が手に入ります。
ガチャを引くためには敵を倒していけば良いです。
あ、あと一定値までは時間経過で貯まるようにサービスしておきました」
なるほど、かなり有用そうなスキルではないか。
色々買わなくても手に入るということは、かなり助かる。
「有難うございます。
ところで、俺が死ぬ直前に当てたアイテムって何ですか?」
「それは 【災厄の魂】です。
効果は『使用者の運をとある条件下で下げる』 です」
「えっ? もしかして俺ってそれを使用したことになってるんですか?」
「はい」
うぉおおおおっ!
何ということだ!
運が悪かったら死ぬかもしれないだろ!
「そっ! その条件下とは!?」
「えーっと......貴方の場合は......あっ」
コルティオーネが何やら「やばい」という様な顔を浮かべ、言葉を切った。
沈黙がこの場を支配する。
「ど、どうしたんですか?
何かあったんですか!?」
「非常に申し上げにくいのですが......
貴方の場合は、“ギャンブルの要素があるものをする時”です」
ふむふむ......なるほど......って
「は!?」
え、ちょっと待てよ。
じゃあ......
「まさか、さっき貰ったチート能力の......」
「はい、《マジックガチャ》のスキルを使うときにも効果は出ます」
「のおおおおおおおおおおお!」
拝啓、お父様お母様。
どうやら私は異世界でチート能力が使えない状態で生活しなければならないようです。