第一話 読書(厨二病)部結成!?
拝啓―愛しの母へ
お元気ですか? 僕は無事に受験も受かり、新しい高校生活に期待で胸を弾ませています。
学校にも早く慣れたいです。
母もお仕事頑張ってください。お体を大切に。あ、後ね、友達がたくさんできたんだ。
すごく、面白いし皆、美人で可愛い子なんだぁ。 だけど―全員―
厨 二 病
敬具
ん……。あ、そっか……俺母さんに手紙書いてたら寝ちゃったのか……。
ん? 今何時かな。
俺は時計を見ると、そこには8時5分と、記されていた。完全に寝坊だ。
「あああああぁぁぁ!! 遅刻だ。やばいっっ!」
俺は急いで、三色団子を咥えながら家を飛び出た!
後ろから、同じ遅刻者の声が聞こえた。
「士郎ーー!! 待ってぇぇぇぇ!! 女の子を置いていくなんてぇ、ひどーい」
俺は仕方なく、スピードを落とした。
「おおぉぉ。優しいなぁ士郎は。ていうか、なんで三色団子? おじいちゃん??」
「うっせーよ。美味いんだよ、反則的に」
俺は、葉山士郎。まぁ、普通の高校生だ。
で、さっきから俺の隣で走ってる奴は、青葉琴音。こいつはいわゆる、JKというやつだ。
腰まである、薄い桃色の髪に桜色の瞳、容姿とスタイル共に高校トップクラスのはずだ。
だが、こいつには立派なモテない理由がある。それは―
こいつは立派な厨二病であること。
―と琴音が俺に視線を向け。
「士朗、さっきから私を見て……まさか、私に惚れたのか!? すまんな、士郎。私は魔界の契約で、一般者とは、婚約できないのだ。 あーあ、士郎も魔界に行って、戦士になればなぁ。」
俺は少しムキになり。
「はっ!? 別に見てねーしっ! しかも、魔界なんて、有るわけないだろうが」
琴音は少し不満げに。
「あるもん!! 証拠に私は、魔界の覇道の力をこの身に宿している! 大天使ルシファーも怖気つくほどだ。すごいだろう!」
俺は呆れた顔で。
「はいはい、すごいですね。って、もう着いたぞ」
目の前には、無駄にデカイ、真っ白な5階建ての校舎。
俺の通う、桐先高校だ。
「何してるの? 早く行こっ!」
「あ、おう」
俺はとっさに返事を返し、教室に行った。
「おお! しろ坊。おはよ! ギリギリだなぁ、寝坊はいかんぞ」
俺は朝から説教を受けた。
この人は、桐生院恭子。俺たちのクラスの学級委員だ。皆をまとめるリーダーだ!
だが、こいつも残念なことに……。 厨二病だ。
「フンっ! そんな奴、とっとと死ねばいいのよ。消えろ!」
いやいや、酷すぎでしょ、しかも急に割り込んで……。
「あ? 消えてほしいなら、自分でやってみろよ?」
俺が挑発してみると、茶色のツインテールの暴言女が。
「そこまで、言うなら、私の暗黒の力であんたを、永遠の闇に葬ってやるわ!」
ほら、やっぱりこいつも、厨二病。こいつは寺門由美。とにかくウザい、ウザすぎる。
―と恭子が何やら変な用紙を持っていた。俺はそれに視線を向け。
「恭子、その用紙……何?」
「おお! よくぞ、気がついた! 実のところ、私は、私達で部活を作ろうと思ってる」
「は?」
部活? いやいや、部活という、化けの皮をかぶって、遊ぶんでしょ?
「え。本気で言ってんの? だいたい、どんな活動するんだ?」
「まぁ、主に読書だな、あ、マンガはいかんぞ」
読書部の皮をかぶるのか……。
「つか、部員足りるのか?」
そうだ! この学校では、最低でも部員が5人いる。活動より部員集めが優先されるだろう。
「そうだよね! 私達でビラとか配って、宣伝するよ!!」
琴音が笑顔で言った、いやぁ、女の子っていい子だなぁ。
「仕方ないから、この邪神に選ばれし者、由美が直々に手伝ってあげる、感謝しなさい」
こいつを除けば!!!
「では、皆は宣伝を頼む。私は部活動申請を出してくる。結果は明日だ、楽しみにしておけ!」
「お、おう」
俺は短く返事をした。
―次の日―
「諸君! 無事に申請通ったぞ!」
「おおおおおっっ!!」
一同祝福をあげた。 読書(厨二病)部が成立した!
「あ、ちなみに皆の入部届は出しているから安心しろ!」
「さすが、仕事が速いな恭子は」
俺がそう言うと、恭子は少し顔を赤くし。
「こ、これぐらい当然だ。できないのがおかしい!」
「そ、そうか」
ん? こいつ怒ってる? まっ、いいか。
「で、では活動は、放課後だから、とりあえず解散!!」
そう、言われとりあえず、俺は放課後まで授業に集中した。
―放課後―
授業も全て終わったので、俺はとりあえず、部室へと向かった。因みに理科室の隣の部屋を用意してくれたらしい。
部室のドアを開け、中を見てみると意外に奇麗だった。全然悪くない。むしろいい。
部屋は全体的に白で、中央には真っ赤なカーペット。恭子とか好きそうな部屋だな。
「おお、しろ坊来てたのか!!」
噂をすれば! さぁ、気になる部屋の感想は!?
「なんだこれ!? キモッッ!!」
「ええええぇぇぇ!?!?」
意外だった。恭子がこういうの、嫌いだなんて……。
「おお、士郎、恭子、二人きりで何してんの? あ、私邪魔?」
「何もしてねーし、邪魔じゃねーよ」
こいつも、こいつで、嫌な奴だなぁ。嫌いじゃねーけど。
「フンッ! どうせ、やましい事してたんでしょうね」
おまえ、ほんとウザいな。
しかも、どっから出てきたんだ?
「あ、そうそう、この部の顧問が決まったよー!」
琴音がそう言って、ドアに近づいた。
そして、ドアを開けた。
「ご紹介しまーすっ! 顧問の葉山由里先生でーす!!」
え? え?
「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇええええええ!?!?!? なんでぇぇぇぇ!?!?」
俺は、驚きを隠せずそのまま停止し、発狂した。
なぜなら、葉山由里は……俺の母さんなのだ!!