第8話 死神講座・3
「次は、銃器だな。コイツは俺が専門だ。
"銃器"とヒトクチにいってはみても、俺のみてぇな拳銃系――それにも回転式拳銃やら自動式拳銃やら、種類はたくさんあるがそこはおいとく――、ライフル系、機関銃系、擲弾銃など……種類は多彩だがな。
多くの銃器に共通するのは、破壊力や貫通性の依存性だな。大体の銃は弾丸に破壊力や貫通性は依存する。その種類も様々だ。
勿論、狙撃銃なんかみたいな狙撃専門の銃もあるが、命中精度は繰り手次第だ。
長距離戦主体だから攻撃――相手が近接的手段しか攻撃の手法を持っていなかった限りだが――はほぼ当たらないが、慣れない内は装弾から発砲までの間に手間取っちまって零距離射撃、運が悪いと魔物に殺られるか手傷を負わされる可能性がある。
だから、戦法としてはほぼ物陰からの狙撃が主だろうな」
銃器についての説明を終えたらしい。回転式拳銃だか狙撃銃だかよく分からないが、とにかく危険なシロモノらしい。
黒板には階級の隣に鎌、魔術、楽器(ハープなど)、銃器と書かれている。更にその下に、ショウは"大剣・大刀"と記した。
「次、大剣と大刀なんだが。こいつにもプロがいる」
ショウが言った時。エルの怒号が響いた。
「……だぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~っっっっっ、さっさとつながれっつーの!!
……つながったっ、もしもしっ、あたし! エリシエだよ! ちょっち火急の用だ!!
……っつぅーかよォ、あと一月もすりゃぁ昇格試験じゃねぇか。酒飲んでばっかいんじゃねーよ。昇格試験の監督もてめーら死神五聖蘭の仕事なんだよ! 仕事しろ仕事。
……ヲイ、聞ーてんのかそこのビリビリ飲兵衛!!
……ひ・と・の・は・な・し・を・き・けぇぇぇぇぇ!!! どぅぅわ―――――れが酒の話をしろっつったぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!」
ぅおう。さっきまで温和だったエルにこんな怒号を吐かせるとは……相当な人格破綻者だろう、相手の顔が見てみたい。
そんな呑気なことを思っていた俺やショウ・レオ・アイルを尻目に、エルはぜーはー肩で息をし始めた。物凄い息あがってんぞ、エル。
「……あぁ、そうだよ。……そうだ。……あぁ。……例の件片したんなら、こっち来てくれ。……ん、ああ。分かった」
すぐさま息の乱れを直して落ち着いて話し始めたエルは、少し話した後アイルの持っていた本体にがしゃんと受話器を置いた。
数秒の後。突然、俺の目の前――というか、黒板と俺の中間あたり――で強烈な光が瞬いた。思わず顔の前に腕をやり目を瞑る。
「……これでいいのだろう? エル」
「おっせーんだよ、"死神煌聖蘭"ツバキ」
死神煌聖蘭ってことは……死神五聖蘭の最後の一人か……!?
ツバキと呼ばれた男は、見上げるような長身――多分、2メートルいってる――に青い髪、そして金色の瞳とレオそっくりの顔立ちをしていた。
ところで、ツバキを見た途端、狼狽した人が一人。
「あ、兄貴……!!」
「…………え゛ぇ!?」
レオが軽く後ずさってツバキを見やる。
え、マジ? レオに兄貴っていたの? いや、まあ確かにこの"ツバキ"という男、レオとそっくりだが。
「……コイツはツバキ・ヴェリアサファイア。レオの兄貴で、五聖蘭最年長の奴だ。
ツバキ、コイツが例の新人」
エルが顎でくい、と俺を示した。
「ほう、君は見たところショウ同じくして"死神となりえる者"らしいが」
顎に手を当てつつ俺のほうをまっすぐと見据えて、ツバキ。
「そう……です。俺、天音 光です」
……感想、どうやら、ここの人達はクセのある人達ばかりみたいだった。