第3話 死神? 創造神?
大型の住宅が連立する住宅街を抜け、とてつもなく大きい校舎の学校を過ぎ、しばらく行くと巨大も巨大、なんか東京ドーム20個とか30個とか、とにかく果てしなく広そうな宮殿が見えてきた。
頭上に浮かぶ月の光を受け、白銀に煌く規則的に並べられた白柱の間を通る。
玄関をレオの後について抜けると、眼前に大きな扉があった。
「この中に、死神のトップがいるわ」
え。
死神のトップ? それってまさか、アノ彼の閻魔様、とか・・・・・・!? 怖っ。
怖い人だったらどーしよう。殺されかねん・・・・・・って、俺もう死んでんじゃん。
・・・・・・まぁ、イキナリ襲い掛かられるなんてことは、ないと思う。
なんせ、大きな扉を開けて先陣斬って進み始めたのはレオだったから。何かあったら助けてくれるだろう。
女に頼らざるを得ないのは情けないこと山の如しだが、この際しょーがない!
『よくぞ来た、人間界の元住人よ』
「!?」
中に入った途端、大人の女の声がした。てっきり男だとばかり思っていたのだが、意外なことに女だった。
『恐るることは無い。ここは死の世界・死神界。遅かれ早かれ、生きとし生ける者全てが来るところなのだから』
女の声には、妙な説得力があった。
あ、やっぱここ、死神界なんだ。
今更ながらに納得してしまった。
『私は死神の頂点に君臨するもの。・・・・・・して、そこの死者に付き添う者は?』
「!!」
突然こちらに話題が向けられた。
驚きで口が開けない俺の変わりに、向けられた本人が答えた。
「私は死神第二位、死神蒼聖蘭のレオ・ヴェリアサファイアです。至急、死神創聖蘭様にお目通りを願いたい」
『ほう。・・・・・・では、そこの男は"死神となりえる者"か? 距離が遠くてよくわからぬのだが』
威厳に満ち満ちていた声から一転、好奇心に溢れた声となった。
でも、距離あってもなんとなく俺が死神となりえる者であるということを感じられるって・・・・・・凄くねぇか?
「その通りです。詳しくは、後ほど此処へ向かうはずの死神紫聖蘭のショウ・ローゼンアイゼルにお尋ねください。彼が詳細を知っています」
前方の、まるで体育館のステージのような、幕の張られた所――――声の発生源は此処だ――――の脇に控えていた男が、何故かうろたえた。
『・・・・・・よかろう。では、先に中に入っているが良い。私は後ほど向かおう』
「承知いたしました」
答えると同時、レオは女へと思しき礼をした。慌てて俺もレオにならう。
「トロいのは嫌い」とばかりにさっさと歩き始めたレオに追いつき、俺は自分よりも身長は低いけど何かメチャクチャ強そうなレオの耳元でボソッと囁いた。
「(なぁ・・・・・・"死神創聖蘭"って・・・・・・なんだ?)」
「(死神のトップ。全世界全生物全秩序を作り出した人よ。本人曰く、五十億年は生きているんだとか。因みに、今の死神創聖蘭は初代。これからもそのままでしょうね)」
「(・・・・は? てコトはアレか、創造神ってヤツか。しかも五十億年、って・・・・・・)」
たかだか生きて百年の人間に対して、おそろしいくらいの寿命の長さだ。
・・・・・・ん? でも、矛盾が生まれないか?
そこまで生きてたら、不老不死ならともかく、そうじゃないなら普通ババアになってて声もしわがれてるハズだろ?なのに、なんで・・・・・・。
「(それは本人に訊いて頂戴。私だって、あのコに一番近い地位にいるといえど、多くを知っているわけじゃないもの)」
まるで俺の心の中を見透かしたかのような言葉。
つくづく不思議なヤツ。歩きながら、俺は思っていた。
さて、一番最後の感想もレオちゃんにはお見通しだったのでしょうか。
さてここで創造神さまのご登場ですッ!




