第2話 死神の因果関係
※2010.12.28.修正済
ガタン
「っ!」
一際強い揺れに飛び起きると、俺は周りを見回した。……どうやら爆睡ぶっこいていたらしい。
開いていたドアから外に出ると、そこには銀河中に町並みが広がっていた。
「う……わっ、地面が……無ぇ!」
そう。俺が立っている――否、浮いているのは、見事な空中。俺、こんなことできたんだー。
軽く現実逃避していると、「遅いっ!!」という聞いたことのある叱声が聞こえた。
「わわっ」
まただ。今回は炎ではなく、雷が俺の目の前で炸裂した。ちくしょー、目がちかちかする。
「落とされたのかと思ったじゃない。同僚のよしみで迎えに行ってきてやってんだから、心配させないでよ。……ったく」
…………溜息を疲れてしまった。どうやら呆れられたらしい。
「落と……された?」
聞き慣れない表現だ。鉄橋の上から川に突き落とされたわけでもなし。
「そ。世界と世界――今の場合は人間界と死神界だけど――の間に落ちちゃうと、転生どころか死神になることすら出来なくなるのよ。待っているのは永遠に時限の歪を彷徨うことになるという地獄だけ」
転生とか時限の歪とか…………ほぼRPGの中でしか聞かないような単語だな。だが、目の前の美少女は三次元を二次元的表現するような頭のイカレた奴にも見えないし、かといって嘘を言ってるようにも見えない。至極真面目な感じだ。
「へ……へぇー……」
時限の歪とかもうそんなん説明されても意味わかんないから適当に受け流しておいた俺を気にすることなく、美少女は言葉を紡いだ。
「じゃ、私についてきて。そこで色々話すわね」
告げると同時、反転して少女は街の方に歩いていった。……って、「歩いていった」で表現あってんのか?
「……あ」
何かを思い出したように、少女は俺を振り返った。おっかなびっくり少女の後を追っていた俺は、少女の言葉を待った。
「名前、忘れてたわね。私、レオ。レオ・ヴェリアサファイア」
いいつつも、少女はハーフパンツのポケットを手当たり次第探っていたのだが。
しばらく探していると、少女改めレオは一冊の手帳を探し当てた。
「……っと、あった! 死神第二位、死神五聖蘭の一人、死神蒼聖蘭です」
レオが開いたページには、レオの顔写真、経歴、名前、身分などが書かれてあった。
身分名の凄さからして、そのです・ぶるーさふぁいあるあーってのがどれくらい偉いのかはわからないが、結構偉いんだな~ってことはわかった。
「あ、えと……俺、天音 光です……」
妙に歯切れ悪く名乗ると、レオはうんうんと感心したように頷き、
「ヒカル……光、ね。私のことはレオでいいわ、よろしくね」
そういって、レオは俺に向かってにっこりと笑った。
わ…………可愛い。
彼女の微笑みは、ウチのクラスの変態共の二十人や三十人くらい、いっぺんに虜にしてしまえそうな威力だった。
「よ、よろしく……」
だが、このときはまだ、目の前の少女が俺の運命を大きく変えるとは、毛ほども思わなかった。
……笑顔に気圧されてしまったのだ。
はい、第2話です~。
光君の死神界ほーもーんっ。さてさて、このレオという少女は一体?