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死神Days☆  作者: 月森 薫
第1章 綴られ始めた物語
16/23

第15話 風呂で覗きで天国で!

エロ注意!

 かぽーん

なんか……超日本的……ッ、なんです……けど……。

 タオル一枚で浴場へと入った俺の目にまず映ったのは、先の見えない浴槽だった。そして、音はすれども姿は見えず、そんな滝。

思わず絶句の俺に構わず、他三人の男共はまずかけ湯をしようと浴槽――日本の温泉のような感じ、ただし向こうの縁が見えない――に近寄った。俺も慌ててそれに続く。

「どーだ。これが宮殿で唯一つの浴場だ。エルがとんでもない風呂好き・綺麗好きだから、宮殿の10分の1はこの浴場だ」

「いやいやいやいや、それは流石に風呂好きすぎるだろ。っていうか俺はその"10分の1"という数字にも驚きますけどね!」

 宮殿全体はどんくらいの大きさだという話である。……と、ショウとツバキは女風呂の「きゃっきゃっ

という声に顔を見合わせた後ニヤリと笑んだ。何をするか察したらしいアイルははぁぁぁと深く嘆息した。

「よっと」「ほぅっ」

 二人のその脚力にも驚きだが、俺はその前に二人を哀れんだ。

なんと、二人は己の驚異的な脚力を以ってして(とことん無駄遣いだ)、女風呂男風呂を仕切っている竹製の仕切りにしがみついたのだ。

「そこの二人も来いよ、絶景だぜー?」

 ショウの誘い。男として乗りたいのはやまやまだが、いかんせんそこまでたどり着くための脚力が俺にはない。

うぐー、と苦い顔をしていると、上の二人は何を思ったか俺の傍まで降りてきた。そして、がしっと俺の腕を掴む二人。

「「せーのっ」」

「え……ちょッ、う、うわあああ!!」

 慌てて仕切りの縁にしがみつき、身体を支える。

ほっとしたのも束の間、今度はアイルが飛ばされてきた。……巻き込まれたらしい。

「な、なんで俺まで……」

「いやあ、お前だって本音は見たいだろうと思ってだな。善意だ善意。先輩からの善意は有難く受け取っておくべきだぜ、アイル」

 すかさずしゅたっと俺の左脇――右脇はアイル――にしがみつくツバキ。

「ほら、見えてきた」

 ツバキの耳打ちに、俺はすぐさま女風呂へと視線を移す。ちらりと横目で見た限り、アイルも口では否定していたものの見る気は満々らしかった。……クールな表情に似合わず意外に変態なヤツである、まぁ人のことはいえないのだが。

「っていうかぁ~、なんで私までぇ~?」マリアさんの呑気な声である。

「いーんだよ、女二人だと華が足りんからな、華が」

「そーゆー問題?」

「そーゆー問題」

 会話ももちろん耳に入ってはいたが、それよりもまず注目すべきは鏡に映る三人のしなやかな肢体だろう。

あの中でおそらく一番胸がデカイのがレオ、一番ウエストが細いのがエル、どちらもバランスよいのがマリアさんだろう。三人は俺たちに背を向ける形で身体を洗っているため、鏡に映る艶かしい肢体を見るには一苦労だった。が、このボンなカラダを見ればそんな苦労些細なことにしか感じられなかった。

 うわーヤベーもう色んなところがヤバ過ぎる。色々複雑な事情がありすぎて明言できないのが残念なところだが、とにかく言っておこう。

あの三人のナマ肢体は破壊力抜群だった。やべー、鼻血出る出る。

「……アイル」

 ショウの厳かな声。思わず噴出しかける。ショウはタメにタメてから、爆弾を口にした。


「お前、目線からしてエル狙いだろ?」


「ぶはっ!? ……ゲホッゴホッ……」

 図星らしくアイルが咳き込む。何故に看破されたッ、というカオである。いや、あんなガン見してたら普通バレるだろ。

「「「!?」」」

と、そこで流石に気づかれたか女三人はこちらを一斉に振り向いた。

 どっぼーん×4

本能的な危機を察知し、俺たち獣は一切の躊躇いも無く湯船に飛び込んだ。エルにとことん信頼されているらしいアイルまでも、だ。

「……で? やはり先ほどの態度からして君があの愛らしいエルを狙っているのは一目瞭然だと思うのだがアイル?」

 がしっと逃げられないようにアイルの肩に手を回すツバキ。「顔近付けないでください俺そんな趣味はありません」とアイルにばっさり切り捨てられているがそんなものはお構いなしだ。

「で。どーなんだよアイルー」

「って光様……貴方もですか。それはその……」

 自分のことならいざ知らず、他人の色恋沙汰には興味津々なのが育ち盛りのこーこーせーである、俺がこの手の話にキョーミがないとでも思ったら大間違いだった。

「白状しちまえよアイル」「楽になるぜ」「何、エル本人にはバラすまい」

「う゛っ……そ、それは……」

 ひたすら口ごもるアイル相手に詰め寄ること数分後。アイルは折れた。

「……そうですよ」

 俺たちの(しつこすぎる)追及に折れ、アイルはついに開き直ったようだった。

「お? エルが好きだということを認めたかね?」

「ええ、そうです。俺はエル様のことが好きです」

「主従関係上の好意じゃなくか?」

「はい。私情ですが……」

 と、アイルが続きを言おうとしたその瞬間。俺たちには悪夢の如き声が上から降ってきた。

「はぁいそこのみっなさぁ~ん?」

「「「「(マ ズ イ………………!!!)」」」」

 一斉に声のしたほう――仕切りの上――を仰いだ俺たちは、そろいも揃って南極の如く凍りついた。

「よくも先ほど覗き見してくれやがったなてめーら。んーなムラムラ全開の獣共には――素敵な素敵なプレゼント、だぜ?」

 口には笑みを浮かべつつも目は全然笑ってナイ。今度は肢体をタオルで隠しつつも額に青筋を浮かべる、そんなエルに"素敵な素敵な"なんていわれても背筋が凍るだけだった。

「"明暗の軌跡"――ディストレイションパトスッ!」

 俺たちを見下ろしつつ、エルはこちらに向けぴっと指を指し――言い放った。

途端、白と黒の細かい光線が俺たちに雨霰と降り注いだ。

「「「「どわあああああああああああっっっっっっ!!!!!!!!!」」」」

「なーに、観賞料としてはやっすいもんだろ。あたしはヤる時以外は絶対男にハダカは見せないって決めてんでね――他の女よりも数倍!」

 俺はバックに般若を従えるエルに学んだ。これからはコイツ相手の覗き見は死んでもやめとこう、と。

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