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◇第一話 まさかの異世界ぃぃ!?




 ――祖父が亡くなった。




「へぇ、じいちゃんこんなもん残しといたんか」



 俺と二人暮らしだったじいちゃんは、いつも口うるさくしていたな。父親も母親も、ばあちゃんもいないから、じいちゃんがいないとこの狭い家は物静かになる。


 それにしてはウチに仏壇がないから、じいちゃんの為に買わないといけないか。確か、父親と母親は行方不明で、ばあちゃんは俺が生まれる数年前に亡くなったんだっけ。墓参りは? なんて聞いても「必要ない」の一点張りだったからな。



「じいちゃん学校の行事なんて見に行かねぇって言ってたくせしてさぁ、バレバレなんだよなぁ。来てるの知ってるっつうの」



 物欲のないじいちゃんが大事にしまっていた箱の中には、俺が映ってる写真ばかり。機械音痴でスマホすら持っていなかったから、きっと誰かに撮ってもらったんだろうな。


 じいちゃん、口は悪いけど結構優しいんだよな。俺の作るメシだって、美味くないって言いつつご飯粒一つも残さず全部食べるしな。まぁウチが貧乏だったからってのもあるか。


 貧乏なのに、ちゃんと学校にも行かせてくれた。義務教育ってのもあったけれど、高校まで行かせてくれたからな。一応制服姿は見てもらえたけど、まさか入学して数ヶ月後に逝くなんてな……いきなりだったから逆にいなくなった実感が湧かないな。



「こん中には……やっぱないか」



 写真の中には、俺の両親やばあちゃん、そしてじいちゃんは映ってない。まぁじいちゃん写真嫌いだしな。撮らせてくれなかったし。


 ちょっと残念だったな。なんて思いつつ写真を元あった箱に戻した。そして、何となく部屋を見渡す。



「……はぁ、じいちゃんいないと家ん中静かすぎるんだって……」



 じいちゃん声デカいからなぁ。すぐ怒るし理不尽な事言うし。


 俺には親戚もいないから、葬式もあげてあげられない。とは言っても、これを言ったらたぶんじいちゃんにキレられるだろうな。んなもんいるかっ! 葬式あげる余裕があるならその金貯金して勉強でもしてろ!! なんてな。


 そんなじいちゃんだけど、16歳まで育ててくれた。不便な生活もしなかった。金銭面でも、若い頃に沢山働いて稼いだのか、あとは年金か。だから不便してないし。


 だから、じいちゃんには感謝してる。口ではああ言ってたけど、愛してくれたってのも、ちゃんと伝わってたよ。



「ありがとう、じいちゃん」



 今更ではあるけれど、もうちょっと感謝の言葉をじいちゃんに伝えておけばよかったかも。まぁ、じいちゃんに不審がられるだろうけどな。


 でも、この謎だけは解明したかった。俺が金髪で瞳の色もじいちゃんと一緒の緑色なのは、祖先に外国人が混じってるのか?


 まぁじいちゃんに聞いても日本人だって言い張ってたし、そうなんだろうけど……突然変異?



「これも、じいちゃんのか?」



 棚の奥にしまってあった、とある箱を見つけた。これは初めて見たかもな。一体何が入ってるんだと思いきや……



「何だこれ。じいちゃんの?」



 一緒に入っていたのは、金色の腕輪。金ぴかで宝石みたいな石がいくつもはめ込まれてる。これ、売ったらいくらになるだろ。まぁ冗談だけど。



「え、なにこれゆるゆるじゃん」



 大きすぎて、手の大きい俺でも簡単に通せた。こんなの誰が使うんだよ、もしかしてじいちゃん誰かに(だま)されて買わされたか? いや、あんなじいちゃんの性格だ、そんなものに騙される訳がない。じゃあ、ばあちゃんの、と、か……



「えっ……」



 その時だった。


 いきなり、景色が変わった。


 さっきまで畳の部屋に座っていたはずなのに、周り一面真っ白と化した。


 壁が、ない……?


 そして、目の前に現れたもの、それは……




 ______________

 STATUS

 名前:奥村留衣 Lv.1

 職業:

 称号:勇者の孫

 ______________

 HP:∞

 MP:∞

 筋力:∞  攻撃力:∞

 速度:∞  防御力:∞

 感覚:∞

 ______________

 【無限倉庫】 【鑑定】

 【魔法無効化】 【絶対領域】

 【剣士の心得】 【五大元素魔法】

 【治癒魔法】 【複合魔法】

 【精霊召喚】 【武器召喚】

 【古代の書】 【全反射の鏡】

 【全域バリア】【超能力】

 【変身魔法】 【陰身魔法】

 ______________

 【天空の女神の祝福】

 【深森の魔女の祝福】

 【深海の人魚の祝福】

 ______________

 物理ダメージ減少率:100%

 魔法ダメージ減少率:100%

 ______________



 半透明な、よくあるシステムウィンドウじみたものが目の前に現れた。というか、デカくないか……?


 なにこれ。しかも俺の名前書かれちゃっ……ちょっと待て。



「……ゆ、ゆ、勇者の孫……っ!?」



 は? お、俺、勇者の孫なの!? いやおかしいって、何で勇者なんてもんが……孫、って事は、じゃ、じゃあじいちゃんが勇者って事に……


 待て待て待て待て、落ち着け、とりあえず俺落ち着け。いいか、落ち着くんだ。よし、深呼吸だ。


 ……いや、落ち着けるわけないだろこれ。



「……待てよ?」



 ご近所さんから、よく言われた言葉を思い出した。優君のおじいさまは本当に元気ねぇ、と。知らない人に一体いくつなのか聞かれて112歳と言えばだいぶびっくりされる程に元気だった。


 背中なんて曲がっていないし足腰も丈夫、更には運動って言って庭で剣道もしていた。しかも俺の知ってるのとは全然違う動きで。


 一回だけ見たことがある。目の前の木を倒しちゃうんじゃないかってくらいの風の音が出ていたひと振りを。本当はじいちゃん剣道の達人なんじゃ? と疑ったけれど、そんなんじゃないの一点張りだった。


 あ、なるほどなるほど、そういう事か。……これで納得していいのか?



「はぁっ!?」



 さっき()めていた腕輪が、気が付いたら姿を消していた。その代わりに、手首に刺青が彫られていた。俺ここに入れ墨を入れた覚えがないんだけど!?


 これ、どうすれば消えるんだよ!? これ絶対学校の先生に怒られるやつだろ!? 店とかに行けば……消してもらえるか? でも金かかるよな……高校生でもいけるか?



「ったくもぉ、どうしろってんだ……」



 ため息を吐きつつ周りに目を向けてみたら、気付かない内に真っ白な空間が森の中に変わっていた。


 すんごく気持ちいい風が吹いていて、揺れる葉っぱの音が心地良く聞こえる。


 いきなりの事が多すぎて、全然気づかなかった。



「……どこだよ、ここ」



 こんな所に放置か? こっちに連れてきた奴、早く出てこいよ。今日日曜日で明日学校なんだけど。


 これって夢? それとも……あの、よくある異世界転移ってやつ? マンガとかでよく出てくるやつ。もしそうだとしたら、じゃあここは異世界か。……夢だろ、これ。と思い頬をつねってみれば痛みを感じた。起きてるな。ならこれは現実か?


 はぁ、もしこの目の前にまだあるシステムウィンドウってやつが本当だったら、そうだな……じいちゃんは勇者って事になる。じいちゃん、俺達が住んでいたあの家にずっと住んでいたわけじゃないみたいだったし、そしたら以前は……ここ?


 でもじいちゃんも俺も日本人のはず。どうなってんだ?


 ま、それはあとで考えるとして……ひとまずシステムウィンドウをチェックしよう。なんかゲームみたいで結構わくわくするな。



「さてさて、俺のステータスはっと……」

 


 ずっと俺の目の前にあったシステムウィンドウに目を通した。俺の名前があるって事は俺のシステムウィンドウって事だよな。Lv.1みたいだけど……


 さっきは【勇者の孫】の文字に気を取られていたからちゃんと見たわけじゃなかった。だから他も気になるんだが……



 ______________

 STATUS

 名前:奥村留衣 Lv.1

 職業:

 称号:勇者の孫

 ______________

 HP:∞

 MP:∞

 筋力:∞  攻撃力:∞

 速度:∞  防御力:∞

 感覚:∞

 ______________

 【無限倉庫】 【鑑定】

 【魔法無効化】 【絶対領域】

 【剣士の心得】 【五大元素魔法】

 【治癒魔法】 【複合魔法】

 【精霊召喚】 【武器召喚】

 【古代の書】 【全反射の鏡】

 【全域バリア】【超能力】

 【変身魔法】 【陰身魔法】

 ______________

 【天空の女神の祝福】

 【深森の魔女の祝福】

 【深海の人魚の祝福】

 ______________

 物理ダメージ減少率:100%

 魔法ダメージ減少率:100%

 ______________



「……いやおかしいだろ」



 ∞って何だよ、∞って。全部∞なんだが。無限、って事でいいのか? 無限って何だっけ……


 色々と、得体の知れないものが詰め込まれているんだが? おかしいだろ、これ。ゲームだったらこれチートだって。それが自分に? それはそれで嫌なんだけど。だって何するにしても恐ろしい事が起きそうじゃん。面倒事なんて勘弁(かんべん)なんだけど。


 あとこの物理ダメージ減少率と魔法ダメージ減少率。100%って書いてあるから嬉しいんだけどさ、これ意味なくない? 防御力無限だし。まぁもらって嬉しいものは貰っとくに越したことないけど。



「スキルってどう使うんだろ。そうだな……【無限倉庫】」



 システムウィンドウを指さしてそう唱えてみると、いきなり現れた白く小さな扉。しかもいくつもある。なるほど、これが【無限倉庫】か。いいじゃんいいじゃん、使えそう。


 しかも扉の上にはナンバープレートが付いている。扉はデザインが全部一緒だけど、【No.1】【No.2】って書かれているから、どこに何を入れたのか簡単に分かるな。1、2……全部で10個か。結構あるな。


 どうやって開けるんだろ……と、思いつつ試しに触ってみた。扉を人差し指で押すと、システムウィンドウが扉の上に出現した。

 


 ______________

 【無限倉庫】

 【No.1 薬】

 ・漢方薬

 ・HPポーション

 ・MPポーション

 ・麻痺解毒ポーション

 ・解毒ポーション

 ・霊薬

  etc.

 ______________




 ゲームでありそうなものが詰め込まれていた。それにもびっくりだけど、そもそも中身あったんだ。誰が入れたんだろうか、と思いつつ隣の【No.2】を覗いてみたら……


 『ガキから貰った花』


 の欄を見つけた。


 それで分かった、それだけで分かった。


 あぁ、そういう事かって。



「あ、はは……こっちでも遺品整理しなくちゃな……」



 そうだよな、じいちゃんってそういう人だったよな。そっか、ガキから貰った花か。


 試しにシステムウィンドウのその文字をタップするように人差し指で触れてみると、透明な入れ物に入った一輪の小さな花が出てきた。


 この入れ物って、もしかして時間を止めるとか、そういうやつなのかな。全然枯れてない。きっと貰った時のままなのかな。



「なんか、色々と貰っちゃったけど使っていいよな、じいちゃん」



 まぁ、それを聞いたら恐らく超絶痛いげんこつを喰らいそうだけど。


 じゃあ、じいちゃんはこっちの人間って事か。なら、行方不明って言われてた俺の両親って、ここにいるって事?


 でも、俺の家族はじいちゃんだ。それは変わらない。


 もし会えたとしたら、俺、どう思うだろう。周りや学校の先生から両親の事を聞かれても、「いないです」の一点張りにした。自分としては、別に寂しいわけではなかった。記憶の中に両親がいないから。むしろ、じいちゃんがいるだけでよかった。


 もし会える、となったら……気乗りはしないし、どんな人なのか知らないからもしかしたら会えないかもしれない。


 まぁでも、それはそん時考えよう。


 さてさて、他には……



 ______________

 【無限倉庫】

 【No.9 ゴミ】

 ・神聖剣(両手剣) ・神聖剣(片手剣)

 ・神聖剣(双剣)  ・神聖刀(長刀)

 ・神聖刀(短刀)  ・神聖槌

 ・神聖斧     ・神聖弓

 ・神聖杖     ・神聖槍

 ・神聖爪     ・神聖銃

 ・神聖鞭     ・神聖盾

 ・神聖ハンマー  ・神殺しの鎌

 ・太陽神ノ鏡   ・叡智ノ書

 ・虚構ノローブ  ・士魂ノ腕輪

 ・宵闇ノ刀    ・宵闇ノ剣

 ・宵闇ノ短剣   ・深紅ノ剣

 ・深海ノ聖槍

  etc.

 ______________





 いやいやいやじいちゃん、それゴミって言っちゃっていいの? 駄目だろ、罰が当たるぞ、おい。てか一体どこからこれ集めてきたんだよ、ゴミならちゃんと元のところに戻しとけよ。


 こんな扱いされるならちゃんと大事にしてくれる奴の所の方がいいだろ。




 ______________

 【無限倉庫】

 【No.8 貰いもの】

 ・悪魔の心臓

 ・呪術師の魂

 ・巨大龍の心臓

 ・最高級SSSランクの葡萄酒

 ・レテウス鳥の燻製肉

 ・妖精の羽根

 ・精霊の魂の欠片

 ・不死鳥の羽根

 ・ノアの箱舟

  etc.

 ______________





 待て待て待て、何でこんな所に酒と燻製肉が入ってるんだよ。正気か? いや、あんな性格だ、あり得る。でも絶対この扉は開けない方がいい、絶対開けない、うん。見なかった事にしよう。



「じいちゃん……マジで期待を裏切らないわ……」



 けれど、使えるもんは使わせてもらう。いいよな、じいちゃん。



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