君と選ばれた日
まだ『いつか夜になる丘で』も完結していませんが新しく連載です
4月。入学式が終わり数週間が経った霞ヶ丘市立 霞ヶ丘中学校。
「それでは、さようなら」
担任が帰りの挨拶をする。教室を出たのを確認すると徐々にクラスメイトたちが帰り始めた。天城 みおも友人と帰ることになった。
今日は近くのカフェで新作が出るため友人と行く事になっている。
カフェにはいり新作のドリンクとデザートを頼む。桜をイメージしたドリンクとデザート。とても写真映えした。
しばらく楽しみお開きになった。カフェを出て少し歩いた大通り。同じクラスの男子グループがみえる。グループに近づいたとき悲鳴が聴こえた。
甲高い女性の悲鳴。周りに居る人々は声に釣られるように悲鳴の聴こえた方を見る。目に入ったのは真っ黒な服を身にまとった人だった。
でも、刃物を持っているようにもみえない。何故悲鳴が聴こえたのか考えている間に目の前が赤く染まった。
息が詰まる。震える体で逃げようと走る。先程の男子グループも逃げているようだ。
あちこちから悲鳴が聴こえる。小さな子供の泣き声、大人の怒号。たくさんの声や音が混じり合う。
みおが男子グループを追い越そうとしたとき1人の男子が躓き転んだ。それを好機に人だと思っていたモノは黒い触手のようなもので攻撃を仕掛けてきた。
「...ッ!」
みおは咄嗟に庇う形で前に出たため攻撃を受け蹲る。庇われた彼は呆然として震えている。
「な、なあ、なんでかばったんだよ!話したこともねーのに...!」
「グッ...うぅ...それは、誰かが傷付くのなんて見てられないからだよ...」
思っても見なかった返答に彼は困惑している。彼は逃げれるはずなのに逃げようとしない。
その瞬間、目の前が光り周りの時が止まった。目の前にはゲームのような画面が出ている。
そこにはこう書かれている。『あなた方はツインパルスに選ばれました。これから異界の魔物と戦っていただきます。準備が出来ましたらボタンを押してください』
「は?なんだよこれ!?ツインパルスって...確かニュースになってる奴らのこと?なあ、おまえ知ってる?」
「わ、わかんない...ニュース観ないし...でも友達が話してたかも?っていうかどうする?押さないと進まなそうだし」
しばらく会話が止まり決意したように向き直る。双方の考えは...。
『承認しました。そちらは連絡用端末です。真ん中のアプリを押せば変身します』
「変身?ヒーローみたいな感じかな...でも、どうする?」
「あーもー、ここまで来たらやるしかねーじゃん!」
彼は勢いに任せアプリをタップする。釣られてみおも押すと身体が浮かび上がり制服が変わっていく。
みおは短めの黒髪が膝まである三つ編みで水色になった。白いブラウスに黒のコルセット、白のニーソ、水色のメリージェーン。
彼は茶髪がピンク色になり桃色のうさみみリボン、ノースリーブのシャツ、白のアームカバー、ピンクのハーフパンツ、白のブーツ、丸眼鏡。
「はあ!?なんだよこれ!?リボンばっかじゃん!」
「あはは...私のは結構好みかも?あれ、新しくメッセージが浮かんでる?」
『変身が終了しました。身体能力の向上、回復力の向上が完了しました。貴方は今日から「シエル」です。活動中は名乗ってください』
「シエル?かわいい!あなたは?」
「俺?あー『エモ』だって...とりあえずよろしくな、シエル」
「うん、よろしく。それじゃあ...次は?」
もう一度画面を確認すると続きがあった。
『下にあるボタンを押せば時は動き出します。動き出すと同時に魔法武器が与えられます。そちらを戦いつつ使い方を見極めてください。それでは説明を終わります』
困惑しつつもシエルとエモはボタンを押し再び時を進める。人々は逃げ惑い各地から悲鳴が聴こえてくる。
ふと手元を見るとシエルの手には自身の体ほど大きなハサミが握られていた。これだけの大きさなら重いだろうが不思議と重さを感じない。銀色のハサミで水色の宝石があしらわれている。
エモも武器を持っているか見てみると持ってはおらず代わりに背後に大きなピンクのクマのキーホルダーが立っていた。
「これが魔法武器?どうすればいいんだろッ...!」
話の途中で異界のヒト型の魔物が攻撃をしてきたが間一髪で避けることに成功する。
「あっぶな!とりあえず戦ってみようかな」
再び向かってきた黒い触手をハサミで切り刻んでみる。するといとも簡単に斬れた。ヒト型の魔物は呻き声をあげつつ、触手を引っ込めた。
「その武器すごいな...俺のはどう使うんだ?とりあえずここから動くか...ん?こいつも動いてる?なら!」
離れた場所からキーホルダーを操りヒト型の魔物に殴りかかる。エモの考えた通りキーホルダーはエモの動きに連動しており小さな力で力強い攻撃が出来る。
「なあ、シエル!あいつの相手は俺がするから周りのやつらを逃がせ!」
「え?でも危ないよ...!...わかった!気を付けてね」
エモはキーホルダーを操りヒト型の魔物を攻撃していく。シエルはハサミで黒い触手を斬りつつ避難を促す。ある程度人が捌けてきたのでシエルもエモに加勢する。
「てか、これいつになったら終わるんだろ...何かトドメを刺す方法があんのかな?」
そう呟いたとたん通信用端末から音声が流れる。
『トドメを刺すようの呪文を送ります。声に出し読み上げてください』
「呪文?あ、これかな。せーので言うよ?せーの!」
「「違うからこそ、重なる瞬間がある--
《共鳴断絶》!」」
指示通り読み上げると2人の周りに淡いピンクと水色の光の粒が舞い中心付近に集まる。その光景はとても美しくそれでいて恐ろしく感じた。
光は中心で大きくなりヒト型の魔物に向かっていく。動きはさほど早くないがヒト型の魔物は動くことが出来ないのか光に全身を包まれる。
徐々に大きくなった光の固まりが弾けた。中からはパステルカラーの星やハート、宝石が飛び散った。
ヒト型の魔物が居た場所を見てみるとそこには何も居なかった。
「倒したのかな?...よかった...あれ?変身が解けてる?」
「そーみたいだな...はあ、疲れた...これからもやらなきゃなんねーのかな」
「そうだろうね。まあ、そのときはそのときで!じゃーね、また明日!」
「おー、またな」
2人は何事もなかったようにその場で分かれた。空は綺麗な夕暮れ。新たなツインパルスの誕生を祝福しているようにみえる。
魔法少女・少年のお話でした。
これからも少しづつ更新していきます




