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破壊神様降臨


「おお、破壊神様、あるいは魔界神様、我らの祈りが聞こえぬか」


――う~ん。眠い


「ああ、悲しいかな。地上を追われ、地下に潜り息を潜めることしか出来ぬ我らに救いの慈悲を与え給え…ふぅーーーうぅぅん。はぁ~~~~~ンッ!!!」


「ああもううっさいわ。ボケェ! いきなり気持ち悪い奇声あげんな!」


「おおっ! 破壊神様、ついにお目覚めになられましたか!」


「人が気持ちよく寝てる横で、一体なんなのキミさぁ…」


「魔王です。覚えておられませんか?」


「こんな顔色悪いおっさんなど知らん。もう寝ていい? 寝るよ。zzz…」


「起きて下さいませ。どうか今一度我らをお導きくだされ~」


「嫌だよ面倒臭い。ロリ巨乳サキュバスちゃんに頼まれるんならまだしも、何が悲しくてこんな小汚いおっさんの為に仕事しなきゃいけないんだ……」


「そこを何とか……何とぞ…何とぞぉ……フゥゥウウウウウン!」


「うわ……耳元でそれやるのやめろ! ゾワゾワ来るわ」


「やめませぬ。破壊神様がうんと言ってくださるまで決してやめませぬぅ!フゥゥウウウウウン!」


「キレそう」


 ということで、この小汚くてウザくて顔色が悪くて気持ち悪いおっさん。自称魔王に延々ハラスメントされそうだったので話を聞くことにした。


 状況を要約すると、魔界は人間に侵略され、魔族の大半が滅び、生き残りは散り散りに隠れ穴ぐらに隠れ潜むことしかできず、藁を掴む思いで通称破壊神こと小生を復活させたとのこと。

 SRPG風に言うならプレイヤーが大陸の9割支配して死に体ラスボス勢力が1個残ってるような状況で戦力比1万対10とかそんなレベルだろう。


 で、この小汚いおっさんはこの状況を「なんとかしろ」と言ってきたわけだ。


「ふて寝していい?」


「いけませぬ」


「魔王君さぁ……小生封印から自我が目覚めたばかりでレベル1だよ? 肉体とっくに滅ぼされてるから戦うなんて出来ないし、このクリスタルコアの中から一歩も動けないの。分かる?」


「分かりまする」


「しかも信仰パゥワーとかも消えかけのろうそくの火同然、権能の殆どもロックされちゃってるわけ。搾りかすみたいなパゥワーから生成出来る魔物なんてコウモリとか酸すら持ってないスライムとか、頑張ってもゴブリンや死体をゾンビ化させるくらいのものよ? どう考えても魔王君が直接戦った方がマシでしょう?」


「そのですね、私も今封印中でして。戦闘力ゼロなのです。私の妻たちは勇者に目の前で全員寝取られて乱交パーティを…」


「あ、うん。聞きたくなかったな…そういうのは」


「女魔族の大半は力を封印されて奴隷にされ、男魔族は皆殺しに…。浄化と称して魔界の土地に毒を撒かれ……破壊神様が生み出されたロリ巨乳サキュバス達も凌辱の限りを尽くされ…」


「あ~~~あ~~~やめろ。重くて暗いんだよ。そういうの聞きたくない。聞きたくない~」


「私は悔しいのです」


「はぁ…仕方ない。魔王君の気が済むまでは付き合ってあげるよ。所詮神の掌の上で踊ってる人形でしかないというのに」


「おお…我らが神よ。慈悲に感謝致します…」


 悪は必ず負ける。そういう人形劇の登場人物として生み出されたのが魔族という悪役の存在だ。主人公様が絶妙にきもちよ~~く戦えるように、適度に強い奴を適度なタイミングで適度にぶつける。匙加減を間違えた時はあちらが"奇跡"を起こして"調整"するのでどっちみち負ける。


 まぁ、こういうやり取りを何百何千と繰り返してるといい加減ウンザリしてくるものだ。で、今度はどっちが悪役なのかというと、魔王の話を聞く限りでは恐らく人間側ということなんだろう。


 だから小生が起こされたわけだ。はぁ~~~…ああウンザリする。


 こんなシーソーゲームするくらいならもう自然淘汰の絶滅でよくない? いやまぁ、それをやると今度は人間同士の内ゲバで終末核戦争か終末ウイルステロで全人類ゾンビ化なりでグレートリセットがかかるんですけどね。だから人間同士が団結しなきゃいけない程度の"適度な脅威"って奴は必要になるんですよ。それが、魔族なんだよね。


 だからね、もう毎回負けっぱなしですっかり負け犬根性が染みついちゃってるわけですよ。っていうのは魔王君にはナイショね。


「で、魔王君さぁ、現実的な問題としてどうするよ。小生ね、イケニエ無しじゃ何にもできんのよ。この洞窟に自然に入り込んだ虫とか獣の死骸を資源にする程度じゃ精々洞窟コウモリ数匹とかゴブリン一匹しか作れないの。生まれたてのコウモリやゴブリン一匹なんてそこらの農夫一人にも迎撃されて終わりですよ。これが魔物製造カタログね」


洞窟コウモリ:消費MP1 力5 HP3 防御0 コスト1

洞窟スライム(青):消費MP2 力2 HP7 防御2 コスト1

ゴブリン:消費MP10 力21 HP32 防御5 コスト3

ダンジョンワーム(極小):消費MP3 力1 HP1 防御0 コスト0


日間維持費0MP 日間平均収益10MP 維持費=モンスターコスト×個体数 支配力 0/10


「ちなみに、コストはモンスターがその日生きるために必要な食料などの資源をMPで生産した場合にかかる分ね。維持する気が無いなら生産しなくてもいいけど、一日抜いたら能力半減、3日抜いたら死ぬか死にかけだと思っておいてね。支配力を上回る分量のコストのモンスターは生産しても言う事聞かないのと、モンスターの死骸からは10分の1MPを回収できるので、最悪間引きも考えてな」


「あのぉ…」


「なによ?」


「その辺りの管理は破壊神様にやって頂くことは…」


「えぇ……魔王君さぁ…そこも他力本願なのぉ? ちょっと小生どうかと思うよ」


「その、今の私、きっとゴブリンにもナメられますので……」


「……」


「……」


 その後、しばらくお互い何も言う気にならなかった。


「はい、気を取り直して~第一次ダンジョン拡張会議のお時間です。はい、拍手しなさい。魔王君」


「パチパチパチ」


「我々は今、大きな問題を抱えています。何か分かるかね?魔王君」


「ええ、資源が足りません。人材が足りません。支配力が足りません。MPが足りません」


「はい、百点満点花丸をあげちゃいましょう。ダンジョンというのはある種の生き物。良いダンジョンは自然に生態系が整い、ライフサイクルが上手く回るようになっている。モンスターが飽和寸前になったらダンジョンの外へ出して近隣の村を襲撃して資源を奪い、持ち帰った始原をダンジョンの拡張に利用する。これが基本だ」


「流石は破壊神様。お詳しいですね」


「はい、魔王君には0点赤点罰点印をあげちゃいます。これやるの君だよ?そんな他人事じゃ困るよ~。というのはさておき、我々がモンスターが余ったら近隣の村を襲撃するように、人間共もダンジョンを襲撃してきます。これを上手く迎撃出来なかったら残念無念ゲームオーバーになるわけだ。で、現状この迎撃態勢が何一つ整えられないわけだが、何かプランはあるかね?魔王君」


「一先ずゴブリンを量産。でしょうかね?」


「ブッブー赤点です。ゴブリンなんて女攫ってピーしてピーすれば勝手に増える生き物なのでMP使って量産するようなモンスターじゃないんだよね。しかも勝手に増えて支配力が飽和して勝手に近隣の村を襲撃しだしてヤバイ連中に脅威認定される。もうそうなったら終わりだよ終わり。レベル99の勇者とか差し向けられてどうしようもなくなるだけ」


「ではどうすればよいのでしょう? そもそもそれを言ったら近隣の村を襲撃とか無理なのでは?」


「無理。というか人間を相手にして目を付けられたら終わりだよ終わり。我々が真っ先にやらないといけないのは人間にとって全く旨味の無いダンジョンを作ることだ。つまり、無駄にクソ長くて無駄に入り組んでてだるくて何もない…虚無ダンジョンを作ることなのだよ、魔王君」


「……しかしそれではどうやってダンジョンを拡張するのでしょうか? 人間を襲わなければ…」


「人間よりもっと弱くて好き放題いたぶってもいい、殴ろうが凌辱しようが奴隷にしようが何にもやり返してこれないようなどうしようもない連中が居るだろう? 同じく穴ぐらに引きこもってる魔族って奴なんだけどな」


「は、破壊神様……それは……」


「弱い奴はな、もっと弱い奴から搾取するしかないのが自然の摂理なんだよ。だからウンザリするんだけどな、この仕事は」

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