第28話 試す大地(中原)
「ねえ佐々木」
「なんだー中原」
「冬季オリンピックがはじまったね!」
「そうだなー」
「いいよね、ウィンタースポーツ!」
「なんだ、中原、そんなにスポーツに興味あったのか?」
「ううん、わたしは見る専門だよ。だけど、北海道にスポットがあたってるじゃん。常に試される大地の北海道が、四年に一度の世界から注目される場所になってるよ!」
「まあ、冬季オリンピックは、北海道出身者にとっては有利だからなー」
「うんうん。これで、北海道が日本中の冬季スポーター達を試してやる側に回るんだよ」
「なんだ中原、全国に喧嘩売る気か?」
「だってー、嫌じゃん。いつもいつも、試されてるんだよ、北海道はポテンシャル高いはずなのに。ほら」
わたしは、佐々木に、今いる客の方を示した。
「えー、ジンギスカンー? うち、なまぐさいの嫌いー」
「すじこおにぎりだってよー。おれ、いくらって嫌いなんだよねー」
わたしは、どうだ、という顔で佐々木を向いた。
「みんな本物を知らないよね。北海道で食べるジンギスカンの適度ななまぐささとやわらかさ。それに、北海道のすじこは人口じゃないってーの!」
「まあ、確かに北海道の食べ物は味がいいって言うからな」
「でしょー。北海道って、もっと試す側に回ってもいいと思うんだよ」
「試す側って。まあ、おいしいものは、地理的な部分もあるし」
「佐々木は甘いよ。人間だってそうだよ。きっとあの人たち、やらかすよ」
「やらかすって?」
客がやって会計にやってきた。
わたしと佐々木は、それぞれレジで、いつも通りに丁寧に接客をする。
客は帰っていくが、その際に、
「やっぱり北海道はものは一流だろうけど、サービスは二流だよなー」
「そうそう。どこが悪いかは分からないけど、悪いことは分かるよなー」
佐々木を見ると、やや顔にムッとした感が出ている。
「どう、佐々木?」
「どうって?」
「あれだよ。試す側の先入観。北海道はサービス一流、人は二流って、いつからか言われてるでしょ?」
「確かに、よく聞くよな」
「これが、試される大地・ザ・先入観なのだよ」
「勝手な言葉作るなよ」
「とにかく、いつもいつも試されている北海道民は、たまには試す側に回らないとね」
「でも中原、オリンピックで道民の躍動があっても、それは他力本願ってやつだからな?」
「それを言わないでよ、佐々木……」




