第十五話:並び立つ者たち
新たな師匠たちのもと、始まる鍛錬の日々。だがセロには、もう一人の“ライバル”が現れる──。
朝の訓練場には、昨日とは違った緊張感が漂っていた。
リゼル、レンザ、ミュリオの三人がそれぞれの持ち場に立ち、セロはその中央に立っていた。
だがその隣には、もう一人の姿がある。
「……なんでお前がここに」
「おいおい、俺だって強くなりたいんだよ」
笑いながらそう言ったのは、幼なじみのユンだった。
リゼルは静かに告げる。
「強さを求める心に、血縁も地位も関係ない。我らの鍛錬を受けたいという者には、等しく試練を与える」
レンザがにやりと笑った。
「ふたりまとめてぶっ壊してやるよ。覚悟しときな!」
ミュリオは軽く手を振りながらも、視線は鋭い。
「力の形は一つじゃない。比べるな。ただ極めろ」
セロは一瞬、迷うようにユンを見た。
だがユンは、昔と変わらぬ笑顔でうなずいた。
「お前だけ先に行かせるかっての」
その言葉に、セロは拳を握りしめる。
「なら、遠慮はしない」
こうして、二人の若者は、それぞれの「強さ」に挑む日々を迎える。
だがこの日々が、やがて彼らの絆を試すものになるとは、まだ誰も知らなかった──。
セロとユン、二人の関係に新たな色が加わります。友情か、対抗心か。それぞれの道が、いま重なり始めます。次回、いよいよ本格的な修行がスタート!




