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第十四話:師の帰還

イーヴァとの訓練を通じて変化し始めたセロ。しかしその成長の節目に、イーヴァから突然の別れが告げられる──。

昼下がりの訓練場。

いつものように構えを取っていたイーヴァが、ふと真剣な面持ちで口を開いた。


「セロ……私、本部に戻らなきゃならなくなったの」


「え……?」


言葉が喉で止まる。


「上層階層での動きが激しくなってきていて、守護騎士団としての対応が必要なの。ここを離れるのは不本意だけど、あなたならもう大丈夫」


イーヴァのまなざしは強く、そしてどこか寂しげだった。


「でも――」


セロが何かを言いかけたその時、イーヴァは小さく首を振った。


「安心して。この村には、あなたの成長を支えてくれる人たちがいるはずよ」


そう言い残し、イーヴァは旅装を整え、村を後にした。


その日の夕刻、村の入り口に三つの影が現れた。

風をまとった細身の男、巨大なハンマーを背負った武骨な女、そしてその中心に立つ、黒の外套をまとった壮年の男。


「……久しぶりだな、セロ」


「リゼル……師匠……!」


セロが駆け寄ると、リゼルは軽く頭を下げた。


「聞いたぞ。渓谷を越えたんだってな。ならば今度は、我々が“深める”番だ」


武骨な女が口を開く。「私はレンザ。お前には、体術の極意を教えてやる」


細身の男も笑った。「俺はミュリオ。魔術の『繊細さ』ってやつをな、叩き込んでやるさ」


リゼルがゆっくりと前に出る。


「力だけでは足りん。お前自身の“問い”を、技を通して導き出す。それが、これからの訓練の意味だ」


セロは拳を握りしめ、大きくうなずいた。

イーヴァとの別れ、そして新たな師との再会。次回からは“鍛錬編”が始まります。それぞれの分野で、セロの可能性が広がっていく過程をお楽しみに。

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