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第3章: 目覚める力、ユニタリアの陰謀

ユウキとアーカンは、施設の入り口にたどり着いた。施設の外観はとても高層で、金属の壁が空を突き抜けるように立ち並んでいる。看板には「ユニタリア規格研究所」と書かれており、ユウキは思わずその名前に身を固くした。ユニタリアとは、メートル系やセンチメートル系といった非ヤードポンド系の単位を使う者たちを取り締まる組織であり、世界を支配するヤードポンド法を守るために動く勢力だった。


「ここが…ユニタリア規格研究所か。まさか、そんなところに俺が来ることになるとは…」


ユウキは心の中でつぶやきながらも、足を踏み出した。施設の中に入ると、広いホールが広がっており、数十人のスタッフが忙しそうに動き回っていた。どこもかしこも、ヤードポンド法に基づいた規格で満たされている。数メートルごとに巨大な計測機器が配置されており、その一つ一つがヤードやフィートを基準にして動作していることが見て取れた。


「ここで、何をするんだ?」


ユウキはアーカンに尋ねる。


「君の能力を試す場所だ。君が持っているチートスキル、つまり『単位を操る力』が本物かどうかを確かめるために、この施設の一部にある装置を使うんだ。」


アーカンはそう言って、施設内の中央にある大きな装置を指差した。それはまさに、巨大なヤードポンド計測機器で、あらゆる長さを計測できる精密機器だ。アーカンはユウキにその装置に近づくように促す。


「その装置を見て、君がどう反応するかが試されるんだ。ヤードポンド法の世界で、君がどう単位を操るか、それを見せてみろ。」


ユウキは少し戸惑いながらも、装置に向かって歩き出す。巨大な機器の前に立った時、ユウキはそのサイズに圧倒される。しかし、その一方で、何かが体の中で目覚めるような感覚があった。


「自分の中の力を…」


ユウキは自分の体に意識を集中させる。自分が持つべき力、それを感じ取ろうとすると、不思議と体が反応し始める。ふと、視界がぼやけて、周囲の世界が少しだけ変わったように感じた。


「この装置の数字を変えてみろ。」

アーカンが促す。


ユウキは、その瞬間に自分の中に溢れる感覚を使い、目の前にある装置をじっと見つめる。すると、装置の表示がわずかに揺れ、次の瞬間、数値が1フィートから1メートルに変わった。


「えっ?」


ユウキは自分でも驚くほど、簡単にその変化を起こすことができた。だが、すぐにその感覚に気づく。力を使いすぎると、頭が重くなり、どこか違和感を感じた。


「すごい…!」


アーカンが目を見開いて驚いた声を上げた。ユウキもその変化を確認し、実感することができた。自分が思う通りに単位を操ることができたのだ。


「君が持っている力は、どうやら本物だ。だが、力には注意しろ。この力は非常に危険だ。使い方を間違えると、世界を大きく揺るがすことになる。」


アーカンは真剣な顔で続ける。


「君がこれから進むべき道は、簡単なものではない。ユニタリアの勢力が君を放っておくわけがないからな。」


ユウキはその言葉に、再び自分の置かれた状況を理解する。自分が転生した世界では、単位に対する強い制約があり、メートルを使えば捕まる。この力を使えば、ユニタリア勢力をも倒すことができるが、それは世界の秩序を崩すことでもある。


「それに、君の力はまだ不安定だ。この施設には、ユニタリアの特殊部隊が隠れている。君が力を使いすぎると、すぐにでも彼らに察知されるだろう。」


その言葉にユウキは一層警戒心を強めた。自分の力が周囲にバレれば、すぐに捕まってしまう。


「アーカン、どうすればいいんだ?」


「今は、まずその力を完全に覚醒させることが先決だ。しかし、焦るな。慎重に、そして計画的に進めるんだ。」


アーカンの言葉は冷徹でありながらも、どこかユウキを励ますようでもあった。ユウキはその言葉に従い、これから自分がどう進むべきかを心の中で決意する。


その時、施設の一角から足音が近づいてきた。ユウキは冷や汗をかきながら、すぐに隠れる場所を探し始めた。ユニタリアの兵士たちが近づいてきている。


「早く隠れろ!」

アーカンが耳打ちする。


ユウキは慌てて近くの機械に身を潜めるが、心の中では今後の計画を練り直し、次の一手を考えることを決意していた。この力をどう使うか、そしてユニタリアとの戦いにどう立ち向かうか。それが、これからのユウキに課せられた試練だった。

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