第14章: 揺れる秩序、崩れる支配
ユウキとアーカンがユニタリアの支配から脱出し、次なる計画を進める中、ユニタリアはすでに彼らの動きを察知していた。ユニタリアの支配者たちは、その情報をもとに動き出す。だが、ユウキにはもう戻れない一線を越えていた。
「ユウキ、あれを見ろ!」
アーカンが指をさして言った。その先には、ユニタリアの軍勢が集まっており、彼らの目標は間違いなくユウキたちだった。
ユウキはその光景を冷静に見つめながらも、心の中で次の策を練っていた。彼にはもう、ユニタリアの軍勢をただ迎え撃つだけの方法は残されていない。しかし、ここで動けるカードはただ一つ。彼の“単位転送”能力だ。
「アーカン、あれだ! 僕の力であの集団を一気に混乱させる。」
ユウキは、腕を大きく振り上げ、再びエネルギーを集め始めた。手のひらから、いくつかの小さな光が放たれ、それが大気を越え、ユニタリアの軍勢の中に潜り込んでいく。
「今度は何をする気だ?」
アーカンはその行動に不安を覚えながらも、ユウキの意図を理解していた。それは、単位を変換して、敵の認識を混乱させる方法だ。ユウキが放った光の粒は、ユニタリアの兵士たちが計測するすべての物理的な値を変化させ、目の前の世界が違うものに見せかける。
突然、ユニタリアの兵士たちは全く異なる単位系に取り込まれ、目の前に存在する物体やその距離、質量さえもまるで別のものに感じられた。瞬時に、兵士たちの判断が狂い、混乱を引き起こす。
「何だこれ!?」
「距離が…200フィートもある!?」
「重さが10倍に増えてる!? 何かがおかしい!」
兵士たちはパニック状態に陥り、周囲の環境を正しく認識できなくなった。これこそがユウキの“単位転送”スキルの本領だ。全ての認識を変更し、物理法則そのものを狂わせることができる。
「ユウキ、やったな! これでしばらくの間、奴らの動きは止まるぞ!」
アーカンが感心して叫んだ。
だが、ユウキはその後すぐに顔をしかめた。「いや、待ってくれ…」
ユウキは、すぐにその混乱を収束させるために動き出した。なぜなら、今回の行動がユニタリアの中枢に警戒を促す可能性が高いからだ。ユウキがどんなに強力な力を持っていても、無限に続く支配を打破するためには、適切なタイミングで次の手を打つ必要があった。
「行動を急がなきゃ…あのまま混乱を長引かせるわけにはいかない。」
ユウキは、アーカンと一緒に次の目的地へ向かう決意を固めた。
その途中、ユウキたちは計画を練り直しながらも、次々とユニタリアの支配に立ち向かう準備を整えていた。ユウキはまだ見ぬ数々の単位系に触れ、それらを操ることでユニタリアの全体像を解体する方法を見つけようとしていた。
アーカンは心配そうにユウキに声をかける。「ユウキ、この戦い…本当に勝てるのか?」
ユウキはしばらく黙っていたが、やがて強く頷いた。「勝つためには、この世界のすべての単位を自由に使えるようにならなきゃいけない。そのために、今はまだ力を蓄える段階だ。」
アーカンはその言葉に納得しながらも、不安を感じていた。だが、それでもユウキと共に戦う決意を新たにした。
ユウキは、最終的にはユニタリアの支配を打破し、全ての単位系を自由に使える世界を作り出すことを誓っていた。それはただの理想ではなく、彼の力と知識によって実現できる現実だという信念を持っていた。
そして、ユウキたちは一歩ずつ、その理想に近づくための道を進んで行くのであった。