第13章: 単位の力を駆使して
ユウキとアーカンは、標準基準の情報を持って地下道を抜け、外の世界へと向かった。すでにユニタリアの警備は大混乱に陥り、ユウキたちはその隙を突いて、予定通りの道を進んでいた。
「これで、ユニタリアの支配をひっくり返すことができるのか?」
アーカンが少し心配そうに尋ねる。ユウキはその問いに自信を持って答える。
「もちろん。標準基準に関する情報があれば、ユニタリアの支配を覆すための鍵を握れる。それを使って、彼らのルールそのものを無力化する方法を見つけるんだ。」
アーカンは深く頷いた。「確かに、今のユニタリアはその基準によって支配されている。それが崩れれば、支配の構造も変わるはずだな。」
ユウキは歩きながら、思案にふける。だが、ふと視線を鋭くして言った。「だが、それだけじゃ足りない。ユニタリアの力を完全に奪うためには、ただ単位体系を打破するだけじゃなく、それを使いこなすための知識も必要だ。」
アーカンは不安げな表情を浮かべる。「それって…どういうことだ?」
ユウキはアーカンを見てにっこりと笑った。「僕にはそのための計画がある。ただ、少し特殊な方法でユニタリアに対抗しないといけない。」
アーカンは首をかしげる。「特殊な方法?」
ユウキは一歩前に出て、周囲の環境に気を配る。周囲には、ユニタリアの兵士や監視員が巡回しており、計画を実行するには慎重に行動する必要がある。だが、ユウキは冷静に状況を見極め、声を潜めて話し始めた。
「ユニタリアの支配を打破するためには、単位体系そのものを根本的に変える必要がある。そこで僕が使うのは、‘伝説の単位’、つまりこれまで誰も見たことがない、あるいは忘れられた単位だ。」
「伝説の単位?」
アーカンは驚きながらも興味深そうに耳を傾けた。「それは、どんな単位なんだ?」
ユウキは周囲を見回しながら言った。「例えば、‘オングストローム’とか‘天文単位’。これらはユニタリアの規定外の単位だ。ユニタリアが支配する単位体系に組み込まれていない、それゆえにユニタリアが持っている力を無効化することができる。」
「なるほど…」
アーカンは驚きの表情を浮かべながらも、その考えに納得した。「でも、それを使うためには、相当な技術や知識が必要じゃないのか?」
ユウキはその問いに対して、少し考えた後に答えた。「それが、僕が持っているスキルなんだ。」
ユウキは静かに右手を前に差し出し、指を一つずつ動かしていった。すると、周囲の空気がひんやりと変わり、ユウキの指先に微細なエネルギーが集まり始める。そのエネルギーが次第に形を成し、目に見える形で小さな光の粒となって現れた。
「これが、僕の‘チートスキル’…『単位転送』だ。」
ユウキはその言葉を言うと、光の粒を空中に放った。その光は、周囲の物体に影響を与え、計測される物理的な値が瞬時に変化していく。物の長さ、重量、さらには温度さえも、ユニタリアの単位体系に沿った形で瞬時に「転送」され、変換される。
「これで、ユニタリアが使っている基準を無効化し、標準基準を打破できる。」
ユウキは自信を持って言った。
アーカンはそのスキルに圧倒されながらも、納得した様子で頷いた。「これなら、ユニタリアの支配を打破するための強力な武器になるな。」
ユウキは微笑みながら言った。「そうだ。これからは、ただ単位を使うだけじゃない。変換し、操り、支配する。それが新しい世界を作るための鍵になる。」
その言葉を胸に、二人は再び足を進めた。ユニタリアの支配を打破するため、そして新たな単位体系を築くために。