第12章: 標準基準の暴走
ユウキが標準基準のデータを抽出している間、アーカンは必死に警備兵たちの進行を遅らせていた。銃声と足音が近づいてくる中、ユウキは焦りの色を見せず、コンソールに手をかけ続ける。
「あと少し…!」
ユウキは自分に言い聞かせるように呟きながら、画面上のデータをスクロールさせた。標準基準の情報は予想以上に膨大で、ユニタリアの支配を支える根幹がこのデータに詰まっていることがわかる。だが、何よりも重要だったのは、これを手に入れることでユニタリアの力を削ぐための突破口を見つけることだった。
「ユウキ、急げ!」
アーカンの叫び声が響いた。ユウキはその声に反応し、すぐにデータを完全に取り出すと、コンソールを手早くシャットダウンした。
その瞬間、警報が鳴り響き、部屋中に赤い光が点滅し始めた。警備兵たちがドアを開けて突入し、ユウキとアーカンの前に立ち塞がった。
「不正アクセス者を発見。捕まえろ!」
警備兵の一人が冷徹な声で命じる。
ユウキはすぐにアーカンに指示を出す。「アーカン、引き付けてくれ!僕が突破する!」
アーカンは一瞬迷ったが、すぐに覚悟を決めて手に持った銃を構える。「わかった。行け!」
ユウキはその隙をついて、一気に部屋の外に飛び出した。警備兵たちが後を追いかけてくる中、ユウキは地下道を駆け抜ける。すぐにアーカンも合流し、二人は一緒に脱出を図る。
「こっちだ!」
ユウキは地下道の出口に向かって走りながら、アーカンに声をかけた。だが、出口はすぐそこに見えていたにも関わらず、警備兵たちが間に合うほど迫ってきていた。
「くっ、間に合わない!」
アーカンが不安げに言った。
「いや、間に合わせる!」
ユウキは前を見据えて、一度深呼吸をした。そして、彼の目に宿るのは、ただの「決意」ではなく、まさに「覚醒」の瞬間だった。
ユウキの手に力が集まり、次の瞬間、周囲の空気が急に変わった。彼の体から放たれたエネルギーは、周囲の空間を歪ませ、地下道の壁がひび割れ、地面が揺れ始めた。
「これが…!」
ユウキは自分の能力のすごさに驚きながらも、それを自分の力として感じ取った。彼は自分の力で標準基準を手に入れ、ユニタリアを倒すための決定的な一歩を踏み出すことを決意していた。
「さあ、行こう!」
ユウキはアーカンを引き連れて、爆発的なスピードで地下道を駆け抜けた。警備兵たちが彼を追い詰めようとするが、そのスピードと力に圧倒され、ついには追いつけなくなった。
「どうだ、間に合ったか?」
ユウキはアーカンに振り返り、満足げに笑った。
アーカンは息を切らしながらも、苦笑いを浮かべて答えた。「どうにかなるさ。だが、これからが本番だ。」
ユウキは頷きながらも、目を輝かせて言った。「標準基準の情報を手に入れた今、ユニタリアの支配はもうすぐ崩れる。僕の力を使えば、世界を変えられる。」
その言葉にアーカンも強く頷き、二人は一緒に地下道を抜け出し、広がる夜空に向かって歩き出した。ユニタリアの支配に抗い、そして新たな世界を切り開くために。