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98.兄と弟と


『何処かの沼地_戦車』



ドプドプ ザブザブ



学者「もうちょいで沼地抜けやすね…その後17キロでシン・リーンの筈っス」


戦士「霧で全く見通せないから熱探知しながら進んでくれたまえ」


学者「このまま直進して良いんすかね?」


賢者「ダメです…妖精さんに従ってください」


学者「俺っちには妖精が見えんのですが…」


賢者「では私が操縦を担当します」


学者「ほんじゃ任せやす」


闇商人「妖精に付いて行かなきゃいけないと言う事は…やっぱり次元がおかしなことになってるのかな?」


賢者「妖精さんはそれを把握して居ない様です…狭間が深いとだけ言ってます」


闇商人「狭間?」


学者「霧が出てるんでやっぱアーカイブに堕ちる寸前な気がしやすね」


闇商人「ゲスはこの世界がどうにかなってしまいそうなのに怖く無いのかい?」


学者「俺っちはむしろ謎を突き詰めて行きたいんであんま怖く無いっすね…アーカイブの存在を知っちまったって言うのもありやす」


闇商人「そうか…僕は何に怯えて居るんだろう…」


学者「一人になるのが怖いって言ってたじゃないすか…そのまんまじゃないすか?」


闇商人「う~ん…なんか違うな…失うのが怖い様な気もするんだけど…なんて言うんだろう…得体の知れない恐怖を感じる」


学者「心理的なもんすかね?」


闇商人「そうかも知れない…身がすくむと言うか…兎に角経験した事の無い激痛が襲って来そうで怖いんだ」


学者「それって心的外傷後ストレス障害の症状っすね…小さい時に何か経験してたりしやせんか?」


闇商人「生皮を剥がされる夢とかは良く見るんだ…あと四肢がバラバラになる夢とか…血みどろになる悪夢だよ」


学者「なんでそんな夢を見るとか心当たりは無いっすか?」


闇商人「う~ん…生皮を剥がされるのは実際に在った事の様な…でも皮膚は無事だからそんな訳無いとも…」


学者「トラウマありそうなんで心理療法とか薬物療法をお勧めしやす」


闇商人「薬物療法って?」


学者「早い話記憶を思い出しにくくする薬っすね…遠い記憶は思い出さんくなるんすよ…夢を忘れるって言えば分かりやす?」


闇商人「夢…」---もしかして僕は夢幻に怯えているのか?---


学者「あんま考え込むといつまで経っても忘れんので意識的に考えん様にするのも良いっす」


闇商人「まぁ…参考にしとく」


賢者「皆さん…沼地を抜けましたが視界が非常に悪いです…目視できるのは200メートル程度でしょうか」


戦士「ふむ…これは都合が良いのか悪いのか…」


賢者「向こうの戦車のおよその位置情報はこちらが持って居るので有利かと…」


戦士「背後に回る感じで進もうか」


賢者「分かりました…やってみます」




『森』



ヴヴヴヴ ガァァァ… ズルズル



学者「あいやいや…こりゃえらいこっちゃじゃないすか…ゾンビだらけじゃないっすか…」


闇商人「これは火炎放射で焼き払わなければいけない…」


賢者「高熱源が見えて来ました」


戦士「戦車かね?」


賢者「いえ…恐らく何かが延焼していると思われます…複数あります」


学者「バレンさん!戦車の上に乗ったままだと火炎放射に炙られちまいやすぜ?」


戦士「では私は降りて先行しよう…私を追う形で付いて来てくれたまえ」


学者「これゾンビ多すぎやせんか?」


戦士「私は鱗の鎧を装備して居るからゾンビに少々取りつかれても大した事は無いのだよ」


闇商人「ルーデウスの戦車を見つけたらどうするつもり?」


戦士「ふむ…プラズマの銃を貸して貰えるかね?」


学者「お?それ名案っす…この戦車からは離れて使った方が良さそうっス」


闇商人「あとアリの毒袋も持って行った方が良い…きっとゾンビが動かなくなる」ポイ


戦士「それはやりやすい…こちらの方は任せたよ」ノソリ


闇商人「じゃぁ僕とゲスで火炎放射担当しようか…イッコは戦車進める役だ」


賢者「バレンさん…視認できる距離がおよそ200メートルなのであまり突っ走らないで下さい」



ドラドラドラドラァ!! ドドドドド



学者「あらら…行っちまいやしたか…」


賢者「上空から火の玉も降って来て居る様ですね…」


闇商人「…と言う事は気球が運用されてるのか」


学者「この戦車が暴れてるのに気付いて兄貴と合流出来ると良いっすね…派手に行きやすかぁ!!」


闇商人「イッコ!ルーデウスの戦車を探すのは任せた」


賢者「はい…お任せください」




『戦車無双』



ドスドスドス ボボボボボボボボボ



学者「うほほほ…ゾンビは脚部に巻き込まれてあっちゅう間にバラバラじゃないっすか…」


闇商人「なんだこのゾンビの数は…」ボボボボボボボ ゴゥ


賢者「もう付近一帯が火の海で熱探知が機能しません」


学者「炎の向こう側が見えんくなるんで熱探知も万能じゃないっすね…開けた場所以外アテにならんて事っスっよ」


闇商人「バレンさんは見失って無い?」


賢者「大丈夫です…動きが奇妙なので分かりやすいです」


学者「ナハハハ…なんちゅーか逃げまくってビビってるのかと思いきや…いきなり無双始めたり目立ちやすねぇ…」ボボボボボボ ボゥ



ピカーーーーー チュドーーーーン!!



闇商人「あ…どこか高い所からプラズマを撃ってる…」


学者「兄貴っすね…こっちに気付きやしたかね?」


賢者「バレンさんも気付いた様です…進む方向を変えました」


学者「この感じはこの戦車が現れて間一髪救われてる気がしやす…カゲミさんのナイス判断っすよ」


闇商人「まだルーデウスの戦車を見つけて無いから気を抜けない」


学者「確かにそうっすね…火炎放射巻き散らかして上手い事隠れながら進みやしょう」ボボボボボ



-------------


-------------


-------------




『シン・リーン城下』



チュドーン ビリビリ モクモクモク



異形の魔物「だめだ…左側のキャタピラがやられた…また撃たれる前に脱出するんだ」


異形の王「何処から撃たれたのかな?」ノソリ


異形の魔物「上だ…向こうはこの戦車が上方の索敵が出来ない事を知って居たのだな」


異形の王「クソう…プラズマを奪われたのは失敗だったな…」


異形の魔物「どうする?もう弓も矢が無いぞ?」


異形の王「まぁ良いさ…どうせ神秘の体を持つ僕を倒す事なんて出来ない…僕が出るよ」


異形の魔物「賢者の石を手に入れた後に戻る手段が徒歩になってしまうが…お前は確実に戻れるか?」


異形の王「何が言いたい?」ギロリ


異形の魔物「先に離脱する」


異形の王「僕を裏切る訳じゃ無いよね?」


異形の魔物「これ以上損耗するとドリアードまで戻れない」


異形の王「何言ってるんだ…賢者の石でドリアードを復活させれば何度でも生まれ変われるじゃないか」


異形の魔物「まだお前の盾になれと…」ギロリ


異形の王「いや…話し相手が居なくなるとつまらないだけさ…シン・リーンを征服した喜びを分かち合う相手が欲しい」


異形の魔物「もう良い…俺は銃で撃たれたく無いから戦車に残る…早く銃器を持って居る奴を始末してくれ」


異形の王「フハハハ…さて…やられた振りでもして相手を誘ってみるかな?」


異形の魔物「好きにしろ…」


異形の王「僕が不死身だと知ってどんな顔をするのか楽しみだ…」フフフ



魔法の無いこの国はもう何の価値も無い


僕を追い詰める為に魔法を封じたんだろうけど…バカだなぁこの国は


この大陸の真の王は僕だと言う事を思い知っただろうか?


全員残らずゾンビにして僕に仕えさせてあげるよ


光栄だろう?フフフフフ…アッハッハッハ




『ハイディング』



ヴヴヴヴヴ ウガァ… ズルズル



盗賊「くそう…ハイディングが安定し無え…どうなっていやがる…」タッタッタ


ゾンビ共「ガァァァ…」ヨタヨタ


盗賊「このまま破壊の剣で戦車をバラバラにしてやる!!うらぁ!!」ブン スパスパ



ガコン ギギギギ



盗賊「出て来やがったなルーデウス!!覚悟しろ!!」ダダ


異形の王「おやおや…機動隊がその剣を使う話は聞いて居ないな…得意のバヨネッタは弾切れかい?」ノソリ



ターン! ブシュ!!



異形の王「ぐぁ…痛いな…上に居るのは鼻無しの女か」


盗賊「くたばれゴルァ!!」ブン



スパァ!!



異形の王「痛い…痛いいいいい!!」ニョキニョキ ズボォ!!


盗賊「何ぃ!?腕が生えて来る…のか?」タジ



ピカーーーー チュドーーーン!!



盗賊「ラス!ナイス援護…直撃だ!」


異形の王「おのれ…小虫がちょこまかと…」ニョキニョキ ズボォ


盗賊「おっと…どうなっていやがる…なんで手足が何本も…」



女ハンター「アラン!!早く止めを!!」



盗賊「分かってらい!!死ねぇ!!」ブン



スパ スパ スパ スパ



異形の王「うげぇぇ…」ドタリ


盗賊「や…やったか?」


異形の王「…」ニヤリ


女ハンター「もう一体戦車の中に!!ここからじゃ狙えない」


盗賊「お…おう!なんだエライあっさり終わっちまったな…」


女ハンター「待って!!私達の戦車が見えて来た!!一旦引いてゾンビに囲まれない様に動いて!!」


盗賊「おう!ちっとワイヤーで上上がるわ…」パシュン



ブン!! ベチャーー



盗賊「ぐぁぁぁぁ…」ゴロゴロ ズザザー


異形の王「ぅぁぁ…痛みだけはどうしようもないな…この体は…」ニョキニョキ


女ハンター「あ…頭まで生えて…来る?」


異形の王「さて今度は僕の番だ…ワイヤーでちょろちょろ逃げられてしまう前にね!!」



ブン!! ベチャーー



盗賊「ぐへぇ…やべぇ…粘り気が張り付いてて動け無え…」グググ ジタバタ


異形の王「その剣は時の王の遺産だね…僕が持つにふさわしい…わざわざ持って来てもらって嬉しいよ」ヒタヒタ


盗賊「クッソ!なんだお前!!バラバラになって何で元通り生えて来んのよ…」ジタバタ


異形の王「これからゾンビになるお前に知る必要は無い…さて…どうやって痛めつけようか…」


盗賊「これでも食らえ!!」チャキリ


異形の王「なんだろうなぁ?又見た事の無い銃器を持ち出して…そんな物じゃ僕を倒す事なんてムリなんだけどね」ヒタヒタ


盗賊「銀の散弾だと知ってもか?」


異形の王「銀?アハハハ…もしかして僕の事をゾンビか何かと勘違いして居る様だね…悪いけど僕の体はそんな下等な物じゃない」


盗賊「なんだとう?」


異形の王「いいねその顔…ん?まてよ?その顔に見覚えがあるな…お前は機動隊の者じゃ無いな?」


盗賊「黙れクソがぁ!食らいやがれ!」



ズドーン!! ザラザラザラザラ



盗賊「うっしゃぁ!!」


女ハンター「アラン!一旦引いて!ゾンビに囲まれてしまう!!」


盗賊「んな事言ってもネバネバで自由に動けん…ええいクソ!ワイヤーまでべた付いちまって…」ベチャー



ニョキニョキ ズボォ!!



異形の王「僕を倒すのはムリだと言った筈さ…くそ痛いな…もう許さないぞ」ニョキニョキ ムクムク


盗賊「こ…こりゃマジで不死身だってか…」タジ


異形の王「思い出したぞ…お前の顔を…まさか僕を追い詰めようとしていたのは白狼の一味だったというオチなんだろうか?」



ドドドドドド どらどらどらどらぁ!!



戦士「アラン殿ぉぉぉ!!」ドドド


盗賊「おお!!バレン!!良い所に来た!!決着の時だ!!」


異形の王「そ…その声はまさか!!」クルリ


戦士「見つけたぞルーデウス!!もう止めるんだ!!」


異形の王「あ…兄者がどうして…氷漬けになっていた筈じゃないのかぁぁぁ!!」ブン!!


戦士「止めろルーデウス!!落ち着け!!話がしたい!!」


異形の王「うるさい!!どうしていつもいつも僕の邪魔ばかり…今度は白狼の一味とグルになって僕を追い詰めて居たのは兄者かぁぁぁ!!」ブン!!


戦士「ふん!!」ブン!!



バチコーン!! ベチャァァ



異形の王「ぐへぇ…ぶったな?…又僕をぶったな?」ワナワナ


戦士「目を覚ませルーデウス!!エトワイマー卿に幻惑の杖で操られて居るのだろう?目を覚ませ!!」


異形の王「そうさ操られて居るさ…公爵は僕がこの大陸の王になる事を命令したんだ!僕はそれを受け入れた…その邪魔をして居るのは兄者だぁ!!」


戦士「王になる命令…そ…それだけ…か?」


異形の王「それで十分じゃないか…もう良い!どうせ兄者は邪魔だったんだ…今此処で葬り去ってやる」ノソリ


戦士「待てルーデウス!私はお前を救いたいのだ」


異形の王「何から救うのか良く分からないな…救いが必要なのはむしろ兄者の方だね」



ドーン!! チュドーーーーン! ドガーーーン!!



戦士「むぅ!!?」キョロ


異形の王「ハハ…ウハハハハ…最後の砲弾が兄者の戦車に直撃したね…吹っ飛んだぞ?ウハハハハハ…これで僕の勝ちだね」


盗賊「お…おいバレン!戦車にゃ誰が乗って…」ボーゼン


戦士「カゲミ殿とイッコ殿…そしてゲシュタルト殿が…」ワナワナ


盗賊「3人…バレン悪い…ちっと戦車の方見て来る…ルーデウスは任せた」ダダ


異形の王「さて次は兄者の番だ…もう容赦しないからね…ゾンビ共ぉぉ!!兄者を八つ裂きにしろぉ!!」フリフリ



ターン!! バキィ!!



異形の王「何ぃ!!髑髏の杖が…」カランカラーン


異形の王「クソう鼻無しの女め…僕が杖を使うのを待ってたな?」ギリ


異形の王「この杖は貴重な物なんだぞ!!ゾンビをコントロール出来なくなる…どうしてくれるんだぁぁぁ!!」


戦士「目を…覚ませ!」バチコーン ボカ ゴン ドス


異形の王「ぐぁ!!ぶへぇ…」



あの賢いルーデウスは何処に行ったんだ!


お前がこんな風になるのは幻惑されて居るからに違いない!


どうすれば目を覚ます?くすぐれば良いのか?



------------


------------


------------




『破壊された戦車』



ビリリ モクモク



盗賊「ええいクソう!遺体が吹っ飛んでバラバラか…どれが誰なのかも分からん…」ガサゴソ


盗賊「イッコの下半身だけどうにか見分けが付くが…ちぃぃ絶望的だな…3人共即死だ…」ベチャ


盗賊「密閉された鉄の容器の中じゃこんなんなっちまうか…クソう!!」



コロコロ…



盗賊「んん?」


盗賊「これはイッコが持ってたオーブ…」


盗賊「こりゃ遺品として持って帰らにゃイカンな」


盗賊「ホムコに何て説明すりゃ良いのよ」


盗賊「いや…そりゃ後で考える…それよりもあいつをどうやって仕留めるかだ…」ギラリ


盗賊「破壊の剣でバラバラにしても意味無え…プラズマも銀の散弾も利かん…」


盗賊「まてよ?3人共アーカイブに行ってたとしてだ…もしかしたら俺の目を覗いてるかも知れんな…」


盗賊「おい何か良いアイデアは無いんか?」



シーン…



盗賊「そう簡単に行く訳無えか…しかしゾンビはなんでこっちに寄って来無えのか…」キョロ



ピキピキ ミシ



盗賊「ん?何の音だ?」キョロ


下半身の遺体「…」ピキ


盗賊「こりゃ…イッコの下半身が鉄板と同化して行って…」


盗賊「そういやホムンクルスの生体は死ぬ間際に他の物に遺伝子情報を残すとか言ってたな…ほんで石化か…」


盗賊「石化…」


盗賊「ようし…一丁やってみるか…」





『兄弟喧嘩』



そうやって兄者は何も知らない癖にいつも僕に楯突くんだ!もう邪魔をしないでくれ!


済まない…私に脳が足りないのは自覚しているがお前の邪魔をしているつもりは無い…今は只お前を救いたいだけなのだ



異形の王「いい加減に鬱陶しい!!」ブン!! ビターン!


戦士「むむむ!」フラ


異形の王「神秘の肉体を手に入れた僕に兄者はもう太刀打ち出来ない…いちいち歯向かって来るのは無駄だしイラつくだけだよ」


戦士「ルーデウス…分かってくれ…私は楯突くつもりは無いがお前の間違えは正してやりたいのだ」


異形の王「僕の何が間違って居ると言うんだろう?」


戦士「この大陸の王になるのはお前で良い…だがその手段だ」


異形の王「何も知らないくせに偉そうな事を…エルフを生かしておいては人間の世界が無くなるんだぞ!!」


戦士「何?」


異形の王「かつての精霊の計画はそういう事なんだ…それをいつまでも守り続けてるのがエルフなんだ」


戦士「人間の世界を無くす計画をエルフが守って居る…だと?」


異形の王「あああああああああ!!もう説明するのも面倒臭い!!そうやって何も知らないで僕の邪魔をするなぁぁぁぁ!!」ブン!!


戦士「待てルーデウス!それが分かり合えないといつまで経っても私達の思って居る事は平行線だ…詳しく話せ」


異形の王「人間は死んでも又人間に生まれ変われる…その仕組みを精霊が変えようとした…これで兄者は理解出来るのか!?」


戦士「アーカイブの事を言ってるのか?」


異形の王「そこまで知って居るのならその仕組みを変えた時点で人間は只の下等動物に成り下がる…そんな事をして良いと思うのかい?」


戦士「その事実をお前は初めから知って?」


異形の王「だったら何だと言うんだろうね」


戦士「まずお前には謝って置こう…私が無知なばかりに悪い方悪い方へ事を誘ったのかも知れない」


異形の王「もう遅い…そして僕はもう人間に興味が無くなった…裏切者ばかりだからね…だから新しい世界を作る!」



スゥ… ブスリ!



異形の王「ぐあ!!ま…まだ居たのか…白狼のゴミムシめ…」


盗賊「バレン!悪いがこいつは生かして置けん…救うってんならお前も俺の敵になるぞ?」チャキリ


戦士「アラン殿…ルーデウスの罪が無くなる訳では無いのは承知している…だがせめて心だけは救わせてやってくれ」


盗賊「腐り切った心の持ち主の様だが?」


戦士「済まない…それでも私の大事な弟なのだ…見捨てる様な真似はしたくない」


異形の王「勝手に話を進めるなぁぁぁ!!」ブン!!


盗賊「おっと?もうお前の動きは見切った…あと何分持ちこたえられるだろうな?」ブスリ ブスリ


異形の王「そんな小さな剣で僕を倒すのは不可能だ…ちょろちょろと鬱陶しい!!」


戦士「アラン殿…その武器は…私の草薙の剣…」


盗賊「ちっと拝借させて貰った」ニヤリ


異形の王「僕の体は神秘の肉体だぞ…どれだけ損傷してもそこから進化が始まるキマイラなんだ…僕を倒せる訳なんか無い!!」



ピキピキ



盗賊「倒す訳じゃ無え…石になってお寝んねして貰う…こいつはキマイラでも石化させられるのは実証済みだ」


異形の王「な…んだって?」ピキピキ


戦士「ルーデウス!!私の言う事を良く聞くんだ」


異形の王「うるさーーーーい!!」ブン! バキバキ パリーン!!


盗賊「石化した部分を動かすと崩れちまうぜ?」


異形の王「くそう!!謀ったな兄者!!」


戦士「黙って聞くのだ…アーカイブに堕ちた後にお前は私の目を覗いて私を動かせ…そしてこの大陸の王になるのだ」


異形の王「僕が兄者になる…だと?」


戦士「そうだ…私と一つになればお前を失う事も無くなる…私を一人にしないでくれ…もうお前しか居ないのだ」


異形の王「そんなの死んでも嫌だ」


戦士「言う事を聞くんだ…私はお前を見捨てないぞ?私が受け皿になってやるから私の下へ来い…そして真の王になれ」


異形の王「真の王…」


戦士「そうだ…私はお前に従う…但し…今度は正しい手段で王になるのだ」


異形の王「エルフを滅ぼすのは変わらないぞ?」


戦士「正しい道をお前が判断しろ…私はその手助けだけしてやる」


異形の王「くそう…ここは従わないと詰んでしまうか」ピキピキ


戦士「よしそうだ…賢いお前なら最適解を見つけられるな?これをお前に授ける…」スッ


異形の王「乾燥キノコ…こんな物を今僕に手渡すとか馬鹿にしてるんだろうか?」ワナワナ


戦士「お前の大好物だ…そして私も大好物…共にそれを食した幼き頃の記憶を忘れないでくれ…それが私達の絆だ」


異形の王「絆だって?」


戦士「それがアーカイブで私の目を探す鍵になる…確かにお前に授けたぞ」


異形の王「クックック…もうその時点から僕の事を分かって居ない…僕の大好物はニンニクだ…兄者は何も分かって居ない!!」


戦士「やっとお前の事を話してくれたな?ニンニクか…記憶しておく」


異形の王「まぁ良いさ…兄者を乗っ取れると言うならそれはそれで都合が良い…公爵に仕返しをする事も計画出来そうだ」


戦士「やはりエトワイマー卿はどこかで暗躍して…」


異形の王「今エルフ攻めを扇動して居るのは公爵さ…肉体をすり替えながら卑怯な手を使う」


戦士「居場所は?」


異形の王「さあね?何処かで眠ってる本体を始末しないと意味が無い…この体じゃ目立ち過ぎて探しに行けなかったんだ」


戦士「よし!私が探して来よう」


異形の王「それは違う…兄者を操るのは僕さ…すべての歯車を狂わせた公爵には相応の仕打ちが必要だ…僕が裁きを下す」ギラリ



ピキピキ ミシミシ



異形の王「うぐぐ…そろそろ口も動かなくなるか…」


戦士「ルーデウス!私は最後までお前の傍に居るぞ?」


異形の王「泣いて…居るのか?兄者は…」


戦士「弟がこんな無残な姿になって行くのを見て心が引き裂かれそうだ…私を…私を一人にしないでくれ…うぅぅ…」


盗賊「バレン!引き上げ時だ…ゾンビの大群に飲み込まれちまうぞ?」


戦士「私に構わず行ってくれたまえ…弟の最後を見送らせてくれ」


盗賊「ケッ!!勝手にしやがれ!!」


女ハンター「アラン!!上からまたゾンビが降って来そう!!城の中へ入って!!」


盗賊「今行く!!例の地下牢で落ち合うぞ!!」ダダ


女ハンター「移動するわ!」




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